- 特に指定しない限りは理想個体を想定します。
- HP/攻撃/防御/特攻/特防/素早を略称としてH/A/B/C/D/Sと表記します。
- ノーマル/電気/地面/格闘/エスパー/ゴースト/飛行/ドラゴン/フェアリーの各タイプは無/電/地/格/超/霊/飛/竜/妖という略称にて表記します。
- 性格補正をかけて努力値を252振ったものを特化と表記します。
- 本論の調整は一つの案と捉えてください。努力値の詳細な調整は各個で行って頂ければと思います。
- 本論の作成にあたり,主観での偏りが過度にならないよう当サイトの育成論や他サイト、ブログ、PGLデータを参考にさせて頂いております。
- 荒れる原因となるようなコメントは述べられている内容が正論でも削除致します。
導入
ヌケニンは極めて特殊なポケモンである。
貧弱な種族値に加えてHPの実数値が1であり、覚える技も恵まれているとは言い難い。
一方、ふしぎなまもりという特性をもつ。これは「効果は抜群」以外の技ダメージを無効化する非常に強力なものである。状態異常、天候、ステルスロック、ゴツゴツメットなどの定数ダメージは回避できず、HPが1なため即死する。従って、定数ダメージを与える手段がなく、かつ弱点となる攻撃技を持たないポケモンをヌケニンは完封できるということとなる。
現在PGLのポケモンランキングを見ると、ほとんどのポケモンは何かしらヌケニンの突破手段を持っていることが分かる。また、ステルスロックを撒かれる、天候を砂嵐にされるなどの行為でヌケニンは容易に腐ってしまう。これはヌケニンが環境に刺さっていないことを意味しており、残念ながらパーティに採用されることは稀である。
以上の特徴を持つヌケニンを受けループに採用したところ、よく活躍してくれたため若干の考察を加えここに報告する。
尚、受けループとは、耐久や耐性に優れたポケモンでパーティを構成し、回復技を使用して相手の攻撃を凌ぎつつ、毒や地球投げなどの定数ダメージを武器に戦う構築である。受けループによく採用されるポケモンとしてラッキー、ハピナス、エアームド、グライオン、ドヒドイデ、ヤドラン、フシギバナなどが挙げられる。ポケモン対戦における読み合いや択ゲーが発生しづらく安定した戦術をとることができるが、現環境は高性能な積み技やメガシンカ、Z技により火力がインフレしており、受けきれずに崩されることも多い。また、一撃技持ちや滅びの歌、マジックガードなど、所謂「受けル対策」には様々なものがある。
以下、受けループの補完枠としてヌケニンの採用を検討していく。
採用理由
1 特定のポケモンのメタ
まず、PGLのデータを参考にヌケニンで完封が見込めるポケモンを列挙してみる。
オニゴーリ、霊獣ボルトロス、メガルカリオ、メガメタグロス、メガラグラージ、キングドラ、ニョロトノ、カプコケコ、カプレヒレ、デンジュモク、ジバコイル、メガミミロップ
これらの中には受けループで対応困難な相手が多く含まれる。順にみていく。
オニゴーリ構築
オニゴーリは特性ムラっけにより毎ターン能力を上昇させることができる。まもるとみがわりを繰り返しターンを稼ぐと不安定ながらも能力がどんどん上がっていく。火力、耐久、回避率が十分に上がったところでみがわりを盾に攻撃をする戦術である。
受けループはこの戦術に弱い。相手のみがわりを破壊する手段に乏しいため容易にターンを稼がれてしまい、誰も受けられなくなる。ドヒドイデの黒い霧でごまかしながら戦うことは可能だが、フリーズドライや地震を抜群で受け、絶対零度の所持率が高いのも苦しい一因となる。オニゴーリはヌケニンの突破手段を持たないため対策可能である。
カプコケコ(+メガメタグロス)
カプコケコは受けループにとってそこまで苦しい相手ではない。特殊型が多いためラッキーで事足りるケースが多く、フシギバナやグライオンでも対応できる。ただし、ボルトチェンジやとんぼがえりで逃げられることが多いのと、挑発やしぜんのいかりを絡められると厳しいことがある。ラッキーを受け出したらじつは物理型だったということをしばしば経験する。めざめるパワー氷の所持率が上がっており、グライオンでは厳しくなりつつあるように感じている。ブレイブバードさえなければヌケニンで完封でき、ボルトチェンジやとんぼがえりも不発にさせられる。
メガメタグロスは大抵はメガヤドランやエアームドで対応できる。ただし、カプコケコと組んでいるメタグロスはエレキフィールドを生かして雷パンチを所持していることが多く、受けが厳しくなる。カプコケコと併せてヌケニンで対応可能である。
カプレヒレ
受けループの天敵。ミストフィールドで状態異常を遮られ、挑発で回復技を封じられ、しぜんのいかりで耐久に関係なくHPを半分削られる。フシギバナやベトベトンで頑張るしかないが、受け出す度にしぜんのいかりを受けていると苦しい展開となるケースが多い。筆者はレヒレ対策にカプブルルを採用したことがあり、そこそこの手応えだったのを覚えている。
めざめるパワー炎の所持率が10%程度あるが、それ以外のレヒレはヌケニンで完封できる。
霊獣ボルトロス、デンジュモク
ボルトロスはわるだくみ+Z技で、デンジュモクは催眠術Zとほたるびでラッキーが崩される。両者ともヌケニンの突破手段をもたないことが多い。
雨パーティ
雨パのエースポケモンはオムスターを除き、ほぼヌケニンで完封できると考えて良い。ニョロトノもヌケニンで対応できるが、最近はペリッパー始動であることが多い。雨パによく採用されるナットレイのステルスロックに注意が必要である。
尚、メガラグラージはヤドランでも受けられる。たきのぼりの怯みを考慮するとエアームドでは不安定である。キングドラはラッキーで受けられる。
メガルカリオ
ドヒドイデ、ヤドラン、グライオンあたりが担当する。物理型、特殊型、両刀型が存在するが、ヤドランは安定して受けられる。ドヒドイデは剣の舞+地震で、グライオンはわるだくみ+ラスターカノンで突破される可能性がある。エアームドはインファイト2発を耐えないため不適。
イーブイバトン構築
受けループはイーブイのナインエボルブブーストバトンを阻止する手段に乏しく、ドヒドイデの黒い霧、エアームドのふきとばしを狙いにいくこととなる。
ドヒドイデはイーブイのアシストパワーを耐えない。エアームドは比較的安定するが、ふきとばすタイミングでエーフィへ交代されるとマジックミラーでこちらがふきとばされる。
ヌケニンはアシストパワーと妖技の組み合わせで崩されないためイーブイとエーフィの並びを見られる。ピクシーは炎技の所持率が高く、微妙である。イーブイのバトン先は多岐にわたるため言えることはこの程度で、安定はしない。
2 独自の処理ルート
ヌケニンは無効化できるタイプが最多である。この特徴を利用すると、他ポケモンでは不可能な処理ルートをとることができる。以下、メガリザードンXを例に説明する。
リザードンはあまり受けループで相手にしたくないポケモンである。まず、メガシンカ先を読み誤ると崩される危険性がある。XYともに対応できる可能性があるのはドヒドイデだが、メガリザードンXの剣の舞+げきりんを耐えられない。予めステルスロックをまいてゴツメのスリップダメージと併せて突破する、グライオンでうまくがんせきふうじを当てるといった処理ルートはあるが、正直そんなにうまくいかないことが多い。
ドヒドイデとリザードンの対面で、こちらは毒毒を選択する。相手がメガリザードンYであればドヒドイデで受けきることができる。問題はメガリザードンXが剣の舞を積んできた場合。2ターン目の相手の行動はげきりん、雷パンチ、地震であり、ここにヌケニンをあわせていく。3ターン目はヌケニンで守るを選択し、4ターン目は襷で炎技を凌いでかげうち、5ターン目に守るで処理できる。
ヌケニンは襷なしでも役割対象の処理自体には影響は出づらい。
端的に言えば無効タイプを用いて繰り出し、襷と守るでスリップダメージを稼ぐということである。これは無効タイプの多いヌケニンならではの動きとなる。
3 選出誘導
体感だが、ヌケニンをパーティに入れていると、相手は初手でステルスロックを撒きにくることが非常に多い。また、天候ポケモンのカバルドン、バンギラス、アローラキュウコンは必ずといっていいほど選出される。相手の選出を読んでの戦術が組み立てやすい。
4 かげうち、シャドーボール
瞑想+サイコショックでラッキーの受けを許さないラティオス、ラティアス、サーナイト、厄介なゲンガーなどへの打点となる。ラティアスなどはそもそもヌケニンを突破できないケースも多い。
調整
さみしがり
努力値 A252/C252/S4
実数値 1-156-45-82-50-61
技 まもる/かげうち/シャドーボール/どくどくor鬼火
もちもの 気合の襷or防塵ゴーグル
ダウンロード対策で防御<特防としたいため、防御下降補正の性格は確定で個体値は11以下とする。
削れたゲンガーなどを上から処理できるかげうちの火力を伸ばしたいので攻撃に補正をかけてさみしがりとする。
ヌケニンの立ち回り的にどちらかが交換することが多く、素早さが気になることは少ない。最遅ギルガルド(実数値58)の下をとってもいいが、結局シャドーボールでも剣ガルドすら落とせないのと、まもるで剣ガルドを誘導できるのでお好みで。
カプレヒレから挑発をもらったあとに接触技をうつとナットレイやゴツゴツメットで処理されてしまうため、非接触の攻撃技は必須である。ひみつのちからとシャドーボールが候補に挙がるが、ひみつのちからの追加効果で麻痺を引いてしまうと突破が難しくなるケースがあり、今回はシャドーボールを採用した。
どくどくと鬼火は一長一短である。筆者は受けだしてくるナットレイやテッカグヤ、その他多くの物理ポケモンに刺さる鬼火を使っているが、2サイクル目でダメージ蓄積効率に優れるどくどくのほうが良いように感じ始めている。かげうちを切って鬼火とどくどく両採用もいいかもしれない。その場合は特攻に補正のかかる性格とする。
もちものは行動保証のきく気合の襷が安定。防塵ゴーグルを持つとアローラキュウコンに強く出られる他、砂が舞っている状態でもルカリオ等に後出しできるメリットがある。
選出、立ち回り、構築
ヌケニンを使用する上で最も重要なことは選出するかしないかの判断である。
あくまで補完枠なので相手のパーティに役割対象がいる場合にのみ選出するが、補完枠を選ぶことは基本選出が歪むことを意味する。
ミミッキュ+ボーマンダ+ウルガモスなど、こちらで対応できるポケモンが限られるようなパーティを相手にする場合、仮にボルトロスやルカリオがいたとしても基本選出に任せたほうが良いケースがある。カバルドンやアローラキュウコンはまず選出され、初手に来やすいので意識しておく。
選出で悩む分、立ち回りは非常にシンプルで、役割対象に後出しして交換先へ技を選ぶだけである。通常の受けポケモンと異なり交換読みで有効技をうたれると被害が甚大なので、なるべくヌケニンは隠しつつ立ち回りたい。受けループは回復手段に富むためサイクル戦で相手とのダメージレースを制する必要がない。むやみに接触技を使用してゴツメなど触らないよう注意。1サイクル目では役割対象が有効技を持っていないか確認のためにまもるから入っても良い。
受けループの補完枠なので受けループに採用するが、マジックミラーでステルスロックややどりぎのたねを牽制できるメガヤミラミとは非常に相性が良い。メガヤミラミ自体も受けループとの相性は悪くないが、耐久は鬼火やバークアウトを入れてなんとかといった程度である。
ダメージ計算
かげうち
167-100メガゲンガー 43-51%
155-100ラティオス 46-55%
187-110ラティアス 35-41%
153-131メガリザードンX 18-22%
167-170ギルガルド楯 26-32%
167-70ギルガルド剣 61-73%
シャドーボール
167-115メガゲンガー 40-48%
177-150カプレヒレ 14-18%
167-170ギルガルド楯 26-32%
167-70ギルガルド剣 65-77%
被ダメはコメントで希望あれば記載を考慮する。
あとがき
ヌケニンは環境に非常に影響されやすいポケモンであり、PGLのデータやレート帯での雰囲気には常に気を配っていたい。第6世代ではマリルリははたきおとすの所持率が高かったが、現在は18%であり比較的安定すると言える。新作にて教え技が解禁されればまた大きく状況は変わるだろう。尚、筆者は新作で強力な専用Z技が公開されているジャラランガもヌケニンでみられないかと思っている。
最後まで読んで頂きありがとうございました。