わにと申します。よろしくお願いします。
以下の内容に必ず目を通してください。
- 指定のない限りすべてのポケモンは理想個体を想定します
- HP、攻撃、防御、特攻、特防、素早さをH、A、B、C、D、Sの略称で表記します
- その他わかる範囲の略称を用います
- ダメージ計算はトレーナー天国様のツールをもとに計算しています
- ご質問、ご指摘はコメントにて受け付けます
- 育成論に関係のないコメント、無益だと判断したコメントは予告なく削除します
それでは考察に移ります。
概要
水鋼という優秀な耐性と並み以上の耐久&火力を持ち合わせる御三家の一角。パルシェンストッパーとして名高いポケモンですね。
USM環境になり、エンペルト自身に目立った追加要素はありません(なぜか物理技のレパートリーが増えましたw)が、アーゴヨンという新たな役割対象が登場し、採用価値が高まりました。
今回はパルシェンをはじめとした従来の役割対象に加え、新たな役割対象アーゴヨンと環境トップを直走るミミッキュを意識したハガネZエンペルトを考察します。
エンペルトの強み
- 対アーゴヨン
アーゴヨンは龍毒炎という鬼のような技範囲と高い素早さを持ち、さらに悪巧みと特性ビーストブーストにより高い崩し性能、抜き性能を持つポケモンです。テンプレの流星群ヘドロウェーブ大文字悪巧み@ドラゴンZの構成に対して、エンペルトは両一致技を半減、炎技を等倍に抑え込むことができ、受け出しが比較的安定する数少ないポケモンです。他に受け出しが安定するポケモンはミミッキュ、ヒードラン、バンギラス、ツンデツンデ、ダイノーズ(!?)くらい。
- 対水妖ポケモン&パルシェン
エンペルトは水鋼という固有タイプにより、アシレーヌ、カプ・レヒレ、マリルリといった水妖勢に対して非常に高い受け出し性能を誇ります。(水妖の範囲を両方半減出来るタイプは、水鋼、水毒、草鋼、草毒のみ)また、USMから新たにアクアブレイクを習得したパルシェンに対するストッパー性能も全ポケモン中トップクラス(水氷岩の範囲を全て半減以下にできるのはニョロボンとエンペルトのみ)であり、希少な耐性を持っていることが分かります。
- 対ミミッキュ
強力特性化けの皮に加え、剣の舞、さらに専用Z技まで持ちKPトップ層に君臨し続けるミミッキュですが、エンペルトは努力値配分と構成次第で化けの皮が残っているミミッキュに対面から打ち勝つことが可能になります。(詳しくは後述)
他のポケモンに対して明確に役割を持ちつつ環境トップのポケモンに隙を見せないというのは非常に心強いですね。
このように、エンペルトはその独特の耐性と安定した耐久のおかげで他のポケモンでは対処しづらい範囲に役割を持つことができます。
反面、水複合タイプのくせに炎や地面タイプに役割を持ちづらいことは注意が必要です。水枠ではなく鋼枠として扱うべきでしょう。
採用理由・差別化
- 採用理由
- アーゴヨン、マリルリ、パルシェンストッパー
- 鋼枠(対龍、妖、毒、鋼、岩、超、氷)
- 一部水受け
主な仮想敵は、アーゴヨン、ミミッキュ、アシレーヌ、カプ・レヒレ、マリルリ、パルシェン、カプ・テテフ、ボーマンダ、ラティ兄妹、ゲッコウガ、ウツロイドあたり。
これらが重い構築の補完および耐性を生かしたストッパー、サイクルパーツとしての採用が主になります。
- 差別化
アーゴヨンに受け出しが安定し、水妖氷岩の範囲に耐性があるポケモンはエンペルトのみなので差別化は省略します。
持ち物
- ハガネZ
今回の型のコンセプトです。
Zラスターカノンを採用することによってH151D94アーゴヨン、H162D125ミミッキュ、H175D135カプ・テテフ、H185D151ウツロイドを全て確定1発で処理することができます。加えてH206D102マリルリのHPを半分以上削ることができ、腹太鼓後のマリルリを止めやすくなるなど、様々な恩恵があります。先述した仮想敵を改めて見てみると、エンペルトが覚える技範囲の中で鋼技がかなり一貫していることがわかりますね。
このように複数の役割対象に対して一貫する高火力を得られることがハガネZを採用する最大のメリットとなります。
特性
- 激流
水技とのシナジーを考えてこの特性で確定。
物理主体の型ではないため、負けん気を採用するメリットが薄すぎます。
性格
控えめ
役割対象への確定数を確保するためCに上昇補正をかけます。今回の型は耐久調整、S調整を施すため、Aに下降補正をかける控えめで確定。無振り60族付近は激戦区であり、Sに下降補正をかけてしまうとアシレーヌにムーンフォースのCダウンの試行回数を余計に稼がれてしまう、マリルリに抜かれる可能性が増えるなどデメリットが目立つので冷静は非推奨です。
調整
- 努力値
H252/B4/C100/D4/S148
- 実数値
H191/A95/B109/C158/D122/S99
- 調整意図
H:16n−1
HB:A142ミミッキュのZシャドークロー+シャドークロー確定耐え
HD:C179アーゴヨン(C+2)のZ流星群確定耐え
S:準速ミミッキュ(S−1)抜き
C:H151D94アーゴヨンをZラスターカノンで確定
総合耐久意識でHPにぶっぱ(252)。準速ミミッキュを凍える風込みで抜けるようSに振り(148)、余り(108)をCに注ぎ込むと必要な火力を得ることができます。Cを1落としても確定数に変化がなかったので、その分(8)をBDに振り分けたところ、欲しい耐久ラインもピッタリ確保でき、努力値を無駄なく振り分けることができました。
上記のほか、A227メガギャラドスの地震耐え、A216メガボーマンダの捨て身タックル2耐え、C161カプ・レヒレ(C+1)のZハイドロポンプ+ムーンフォース耐え、C211メガリザードンYの大文字耐え、H215D92カバルドンをハイドロポンプで確定1発など、色々ちょうど良い調整です(笑)
今回はミミッキュを意識してかなりSに割いていますが、副産物として無振り60族〜75族帯との撃ち合いに非常に有利になります。このS帯には上を取ることで有利に戦えるポケモン(メガハッサム、カプ・ブルル、ヒードランなど)が多く存在するため火力を削ってでもSに回す価値はあると思われます。
この配分をもとに各自調整していただければ幸いです。
技構成
- 確定技
ラスターカノン
この型の主軸となる技。七世代に入り妖複合タイプが環境に増えたため、一貫性も高く扱いやすい技です。たまに発動するDダウンも強い。Z技の素となる技であるため確定です。ダメージ計算はZ適用時のもの。通常はこれのほぼ半分のダメージになります。
H151D94アーゴヨン:101.3%〜 確1
H185D151ウツロイド:101.6%〜 確1
H206D102マリルリ:68.4〜80.5%(通常ラスターカノン込み確定)
H175D150カプ・レヒレ:54.8〜65.1%
- 準確定技
凍える風
主軸その2。ミミッキュ対面で凍える風+Zラスターカノンと動くことで化けの皮を剥がしつつ突破できます。氷4倍龍への遂行技、後続のサポート、起点回避にもなるため重宝しますが、冷凍ビームと比較してHDメガボーマンダに弱くなる点は注意が必要です。
H201D156メガボーマンダ:43.7〜51.7% 乱2(2.7%)
H196D145霊獣ランドロス:46.9〜57.1% 乱2(87.9%)
H155D130ラティオス:33.5〜40% 確3
H171D120ギャラドス:16.3〜19.2% 乱6
ハイドロポンプ(or波乗りor熱湯)
エンペルトのもう一つのメインウエポン。役割上はあまり関係ありませんが、炎地電などに対する圧力があるかないかで対面性能や仕事の幅が大きく変わるため水技はほぼ確定でいいと思います。HBカバルドンを一撃で倒せるハイドロポンプ、命中火力安定の波乗り、追加効果が優秀な熱湯から選択してください。
ダメージ計算はハイドロポンプで計算。これに対し波乗りは81%、熱湯は72%程のダメージになります。
H153135メガリザードン(晴れ下):47〜56.2% 乱2(69.9%)
H215D92カバルドン:100.4%〜 確1
H207D120バンギラス(砂嵐下):53.1〜63.7% 確2
H167D170ギルガルド:34.7〜41.3% 確3
- 選択技
草結び
メガギャラドスやスイクンをはじめとした体重の重い水タイプに刺さる技。
相性が良い味方として有名なカプ・ブルルとのシナジーもあります。
アーゴヨン+メガギャラドスの並びを意識する場合はぜひ。
H171D150メガギャラドス:56.1〜66.6% 確2
H207D135スイクン:43.4〜51.2% 乱2(3.1%)
H157D65パルシェン:115.9%〜 確1
H218D102トリトドン:64.2〜77%〜 確2
アクアジェット
エンペルト唯一の先制技。ミリ残しや最後ッペに有効。
特性激流の補正が乗るとそこそこの火力がでます。
H155B100メガバシャーモ:28.3〜34.8% 乱3(0.83%)
H177B145グライオン:18〜21.4% 乱5
H161B85ウルガモス:31〜38.5% 乱3(93.5%)
H145B105カプ・コケコ:14.4〜17.2% 乱6
吠える
起点回避およびバトン対策。身代わり持ちのメガボーマンダや水タイプ(メガギャラドスやスイクンなど)に有効。今回は氷技として凍える風を採用しており、HDメガボーマンダに隙を見せるため持っていると安心。
欠伸
流しや詰めの場面で役立ちます。S振りと凍える風のおかげで一般的なアタッカーや起点作りエンペルトよりも上から欠伸を決められる範囲が広く、面白い動かし方ができます。
ステルスロック
流し性能もそれなりにあるため採用価値はなくはないといったところ。
構築上どうしてもエンペルトで撒く必要がある場合に。
色々試してお好みの構成を見つけてみてください。
ダメージ計算
論が煩雑になるのを防ぐためダメ計の追加は基本的にしません。
記載のないものは各自計算してください。
- 被ダメ
(特殊)
C211メガリザードンYの大文字
83.7〜99.4% 確2
C179アーゴヨン(C+2)のZ流星群
84.2〜98.9% 確2
同目覚めるパワー地面
70.1〜82.7% 確2
C161カプ・レヒレ(C+1)のZハイドロポンプ
53.3〜63.3%
同ムーンフォース
27.7〜32.9% 確4
C195アシレーヌの海神のシンフォニア
46〜54.4%
同ムーンフォース
21.9〜26.7% 乱4
C200カプ・テテフのサイコキネシス(PF下)
32.9〜38.7% 乱3(99.51%)
同10万ボルト
58.6〜69.1% 確2
C155ゲッコウガ(変幻自在)@珠の悪の波動
39.2〜47.1% 確3
(物理)
A216メガボーマンダの捨て身タックル
41.8〜49.7% 確3
同地震
78.5〜93.1% 確2
A227メガギャラドスの噛み砕く
49.2〜58.6% 乱2(98.8%)
同地震
82.7〜97.3% 確2
A112マリルリのじゃれつく
27.2〜32.4% 確4
同馬鹿力
97.3〜115.1% 乱1(81.3%)
A156ミミッキュのぽかぼかフレンドタイム
39.7〜47.1%
同Zシャドークロー
59.6〜70.6%
同影討ち
17.2〜20.9% 乱5
A161パルシェン(A+2)のZアクアブレイク
69.1〜81.6% 確2
A132カバルドンの地震
72.2〜85.8% 確2
立ち回り
基本的には役割対象に受け出してZ技で遂行していきます。Z技による負荷、凍える風によるS操作を主軸に立ち回ってください。
優秀な耐性によりサイクルにも参加しやすいポケモンですが、回復ソースに恵まれないので相手にアーゴヨンやパルシェンなど役割対象となる積みエースがいる場合は、サイクル参加を極力控えてエンペルトのHPをしっかり温存しましょう。
また、HDメガボーマンダや瞑想カプ・レヒレなど、型や技構成次第で逆に起点にされる相手もいるのでその点は注意してください。
相性の良い味方
- カプ・ブルル
相性補完に優れる有名な並び。特性グラスフィールドによりエンペルトの弱点を緩和することができます。またフィールドの回復効果や宿り木の種によってサポートすることも可能です。
- ネンドール
電気の一貫を切りつつトリックルームを展開できる唯一のポケモン。トリックルームによりHPが削れたエンペルトを再展開できます。相性補完にも優れ、エンペルトの弱点である電闘地を全て半減以下に抑え込みます。
- 霊獣ランドロス
こちらも有名な並び。威嚇や蜻蛉返りにより、エンペルトのサポートが可能。ミミッキュに対してさらに厚くすることができます。
- メガボーマンダ
相性の良いメガ枠。電気が一貫しますが、エンペルトが役割を持てない炎(バシャーモ等)に対して強く、地面技も無効にできます。メガ前の威嚇によるサポートも強力。
あとがたり
ここまでご覧いただきありがとうございました。
エンペルトはアーゴヨンの環境への参入により相対的に強くなったポケモンだと思います。アーゴヨン自体がまだまだ開拓余地のあるポケモンであり、今後この型の有用性が問われることなるかもしれないので、ピンポイントな考察にならないよう心掛けてみましたがいかがだったでしょうか。
アーゴヨンに対抗できる力を持ったポケモンであることは間違いないと思うので、エンペルトに興味が湧いた方はぜひ使ってみてください。
この育成論が何かの参考になれば幸いです。