前書き
ここに投稿するのは初めてのPrimarina.Yukiと申します。
今回、誓いパというギミックに用いられるポケモンどころかそこそこ掲載数があるにも関わらずダブル用のアシレーヌの考察すらこのサイトには掲載されておらず、投稿に踏み切りました。
ここで察した方もいるかと思いますが、どんな構築でも採用できるような汎用枠や補完枠ではなく、特殊な構築に於けるギミック始動要員としての考察である事を把握した上でご購読願います。
初めに
- 指定のない限りすべてのポケモンは理想個体とする
- HP/攻撃/防御/特攻/特防/素早さをそれぞれ順にH/A/B/C/D/Sと表記
- タイプはノーマル/電気/エスパー/ゴースト/格闘/地面/飛行/ドラゴン/フェアリーをそれぞれ順に無/電/超/霊/闘/地/飛/龍/妖と略称を使う
- 技、特性、持ち物等に一部略称を使用
- ダメ計は個体値&ダメージカリキュレーターを使用
概要
そもそも誓いパがどんな構築か、知らない方もいるものと思います。その為ここで解説しますがご存知の方はこの項を読み飛ばして頂いて構いません。
誓いパについて
誓いパとは、通常は御三家、三猿、シルヴァディのみが覚える事が可能(例外的にドーブルも習得可能)な技「草の誓い」「炎の誓い」「水の誓い」を使用したギミック構築の事である。
この技は揃って威力80/命中100/PP10と普通の攻撃技として見ると至って平凡なスペックなのだが、ダブルで横に並んだポケモンがそれぞれタイプの違う誓いを使用すると行動が2匹で1回になる代わりに威力が150まで跳ね上がり使ったタイプの組み合わせによって4ターン(炎+草の組み合わせ以外は仕様上実質3ターン)続く追加効果が発生するというとても強力な効果が発生する。
それぞれの追加効果は以下の通りである
- 水+炎で味方側に虹が発生し4ターンの間味方側のポケモンの追加効果発生率が上がる
- 炎+草で敵側が火の海に包まれ4ターンの間炎タイプのポケモン以外はターンが終わる度に最大HPの1/8ずつダメージを受ける
- 草+水で敵側に湿原が発生し4ターンの間素早さを1/4にする
この中でも素早さの操作が可能な草+水の組み合わせがダブルに於いては特に強力で、これを利用した構築は俗に湿原誓いパと呼ばれる。(本論ではこの湿原誓いに焦点を当てた解説を行う。)
また、技のタイプとダメージの仕様も特殊で、技のタイプは組み合わせたタイプの内有利な方(例としては草+水の場合草タイプの方)が適応されるのだが技のダメージは2匹の使用者の内、行動順が遅い方のポケモンのC実数値に依存すると中々ややこしい。
更に技の攻撃対象は、技のダメージに適応されたポケモンで対象に選んだ相手になる。(ただしこの仕様は2匹共に同じ相手を攻撃対象に選んでいれば気にする必要のない要素である。)また、技にどちらのポケモンの種族値が適応されたかには関係無く一致補正が適応される。(例としては水タイプのポケモンのCが適応された状態で草+水の誓いを使用し攻撃時のタイプが草であっても一致扱いとなる。)
ちなみに隣の味方にぶつけて追加効果を通常とは反対側に発生させる事も出来る。(この場合も攻撃対象は上記の仕様が適応されるため、行動順の速い方に技が入る)
ただしこれで攻撃対象に選んだポケモンが守るや特性の効果で完全に無効化してきた場合は追加効果諸共不発になるため、細心の注意を払いたい。
以上の点を踏まえると、仕様についてちゃんと把握していないと失敗しやすい構築であるため、比較的上級者向けではあるが、コンボが決まった時のリターンは大きい構築と言える。
採用経緯
湿原誓いパの性質上、草御三家orシルヴァディ&水御三家の組み合わせが必須であり、火力が高く素早さが相方の草御三家を下回るポケモンとしてアシレーヌの採用に至った。
メガカメックスとの差別化
差別化が必要な対象は誓いパのギミックに於いて天候ギミックを無視した上でのダブル適正が強いメガカメックスのみと判断したため、それ以外のポケモンとの差別化は割愛させて頂く。
- 差別化についてだが
・猫騙しが扱える(誓い以外の展開の補助が可能)
・S種族値が高い(相方の草御三家より低ければ充分なので、S種族値がある程度高くても大きな支障は無い)
・アシレーヌと比較した際にB方面の数値で勝る(D方面はほぼ同等)
・全体攻撃の最高火力(HP満タン時の潮吹き)
・叩き落とすで弱体化しない
以上の点に於いてメガカメックスが勝るのだが、それに対しアシレーヌは
・道具が固定でなく自由度が高い
・メガ枠を消費しないため構築の自由度が高い
・一致技の等倍範囲が圧倒的に広い
・道具補正が入れば安定して全体攻撃で高火力を出せる(道具補正が無い場合はハイパーボイス=濁流なので潮吹き非考慮でも僅かに火力が下回るが、濁流は命中85なので期待値はこちらが上)
・耐性が優秀(弱点の数こそこちらの方が多いが半減以下に出来るタイプの数もこちらの方が多い)
・龍技を無効にできる(完全なメタ要素だが龍技や音技無効のポケモンを2匹並べる事によりジャラランガのZによる展開を阻止する事ができる)
これらの点で勝る。相方の草御三家やシルヴァディ、構築そのものとの相性もあるため一長一短だが、基本的にアシレーヌは他にメガ枠を確保したり、ジャラランガに厚い構築にしたい時、ビジュアル的にメガカメックスよりアシレーヌを使いたい時に採用する事となる。
特性
ほぼ潤いボイスで確定。泡沫のアリアを普通に使った時に横にダメージ入るのを気にせず専用Zをぶっ放したい、火傷を回復する追加効果に期待したいといった場合激流で良いのだが、味方に入らないハイパーボイスで打点を稼ぐ方が扱いやすいのは間違いないので、ここではそのハイパーボイスを一致水技にできる潤いボイスで確定とする。
Sラインについて
基本的には相手側に追い風と湿原が同時に発生している時のSを基準に調整するものとすると、
- 最速100族(メガリザードンY、サンダー等)抜きの28振り
- 最速110族(メガメタグロス、カミツルギ等)抜きの76振り
- 最速120族(メガボーマンダ 、ジュカイン等)抜きの116振り
- 最速130族(メガゲンガー、カプ・コケコ、プテラ等)抜きの164振り
この辺りが調整ラインとなる。確定欄はメガメタグロスサンダーの並びを意識した76振りとしているが、意識する相手に合わせて調整の変更する余地はある。追い風を考慮しないなら無振りでも構わない。
持ち物
持ち物に何を選択するかによりS以外の努力値配分が大きく変わる。
- 命の珠
確定欄はこちら。攻撃する度に1/10ずつダメージを受けるせいで実質的に耐久が落ちるのは難点だが、全ての攻撃技を1.3倍の威力で撃つ事ができる。行動に制約が設けられないため技の使い分けが効き、高い火力と柔軟な対応が両立出来る。
- 拘り眼鏡
特殊技の威力が1.5倍になるとあり補正倍率は圧倒的。ただし1度引かないと同じ技しか撃てなくなるため行動の自由度が低く、安易な立ち回りを許されない。
その他にも有用な道具はあるが基本的に上記の2つを上回る倍率補正を安定して超える事の出来る道具は存在せず、汎用性に欠けるためここでの考察は割愛させて頂く。どうしても道具の競争率が高いのであれば考えるべきだが、恐らく上記の道具が両方とも他のポケモンに取られる事はあまりないだろう。
S以外の努力値配分
上記の持ち物の項で述べた通り、S以外は道具次第で調整先が変わる。
- Cについて
基本的には環境トップメタでありあらゆる構築に入り、アシレーヌが役割対象とする事の出来るガオガエンを基準として調整していく。ちなみにS14に於いて、ガオガエンの持ち物として6割強が混乱実であるため、H252振りであると仮定する。
・命の珠の場合
残念ながらダブル補正の入ったハイパーボイスで無傷のガオガエンをワンパンする程の火力を出す事は不可能なので、コンボ無し水の誓いを使った場合の確定ラインを確保したい。
確定欄の156振りの場合は最高乱数から上2つを切った87.5%の乱数1発になる。
確定1発にしたい場合は196振りまで振る必要があるため、Sか耐久をある程度落とす事となる。
・拘り眼鏡の場合
ハイパーボイスでガオガエンをワンパン圏内に入れられる。
ただし確定1発にする場合236振りが要求され、Sや耐久をかなり落とす必要が出てくる。
最高乱数から上1~3つを切った196~220振りで妥協すれば、多少は他への努力値も大きく配分でき、自身の道具の効果で実質的な耐久を落とさない事を活かせる。2つとも道具を使い分けたいが育成が面倒という場合は取り敢えず196振りしておこう。
ちなみにコンボ無し誓いで確定1発を取る場合は20振るだけで良いのだが、流石にここまで落とすと眼鏡で使う意味が薄れるため非推奨。
- 耐久について
基本は余った努力値を総合耐久意識で全てHに回し、端数が出てきたらBDに振り分けるといった感じで構わない。確定欄ではC-Sが156-76振りとそこまで大きく確保していないためHに252振った上で余った24をそれぞれBDに均等に配分している。
一応確定欄の場合の耐久指数は物理、特殊それぞれ17952、25806である。
この耐久で物理はA252振りメガメタグロスの雷パンチを、特殊はC無振りのメガゲンガーのヘドロ爆弾や特化メガリザードンYのソーラービームをそれぞれ確定で耐える程度には硬いので、多少無理な対面でも余裕を持って居座り攻撃をかける事ができる。
以上を踏まえ、確定欄は252-0-12-156-12-76とする。
技構成
水の誓い/ハイパーボイス/選択/選択
選択枠の内1つは一貫性が高い水でない方の一致技としてムーンフォース、マジカルシャインから選択、残り1枠は道具に合わせるといった感じか。
- 確定技
・水の誓い
コンセプトであるため確定。
・ハイパーボイス
高威力全体攻撃でありダブル用のアシレーヌにおいては外す理由がない。通常のタイプは無だが、潤いボイスの効果で水に変更される。スキンのように威力そのものへの補正が入ったりはしないので注意。
- 選択技
・マジカルシャイン
こちらも全体攻撃技。威力はハイパーボイスより10低いものの、一貫性が高く相手の2体の並びに対する総合ダメージではこちらが勝る対面がしばしば発生する。
ちなみに4倍弱点相手(ジャラランガ等)はこの技でも充分ワンパン可能。
・ムーンフォース
高威力で一貫性が高い単体攻撃で、片方を的確に狩る事については秀でる。こちらは極端に硬くない2倍弱点相手(メガボーマンダ、ガブリアス等)を確定にできる。
マジカルシャインと選択。
・守る
命の珠を持たせるならほぼ確定。逆に眼鏡を持たせる場合は技スペースの無駄になるため不採用。
ダブルに於ける汎用技で、相手の攻撃技による展開を防いだり、天候やトリルのターンを枯らしたりと用途は様々。
・サイコキネシス
メガゲンガーやモロバレルに刺さる。ウタン持ちモロバレルを考慮するなら冷凍ビームの方が良いが、そもそもウタン持ち自体多くなく、冷凍ビームは水や妖と範囲がかなり被るため非推奨。
・エナジーボール
メガラグラージやトリトドンに刺さる。かなりピンポイント気味だが眼鏡で使う場合は技スペースが余るためサイコキネシスと選択になる。
他にも有用な技はあるが、ここでは割愛させて頂く。
ダメージ計算
※確定欄の物で、最低限のみ載せる。他のポケモンを相手にした場合、他の持ち物を持たせた場合、調整を変更した場合等の計算は各自でして頂くものとする。また、努力値配分の項で耐久指数を載せたため与ダメのみの掲載とさせて頂く。
- コンボ草の誓い
H252ランドロス(霊獣) 102.6%~120.9%
耐久無振りカプ・テテフ 102.1%~120.7%
耐久無振りカプ・コケコ 145.5%~171.7%
- ハイパーボイス(コンボ無し水の誓いは約1.18倍の威力)
H252ランドロス(霊獣) 92.9%~110.2%
耐久無振りメガメタグロス 44.5%~52.9%
耐久無振りメガゲンガー 57.8%~68.9%
晴れ下耐久無振りメガリザードンY 43.1%~52.3%
- マジカルシャイン(ムーンフォースは約1.58倍の威力)
耐久無振りジャラランガ 176.0%~208.0%
耐久無振りメガボーマンダ 85.9%~102.4%
H252カプ・レヒレ 29.4%~35.6%
なお、ハイパーボイスとマジカルシャインは相手が残り1匹になった時、範囲技扱いでは無くなるため実質的に威力が約1.33倍される。
相性の良いポケモン
コンセプト上、草の誓いが使えるポケモンがいないといけないので当然ではあるが、構築によって誰を使うかは選ぶ必要があるため、それぞれ特徴を纏めておく。
- フシギバナフシギバナ
晴れ下での素早さは随一だが、晴れでなければ中速帯。メガリザードンYに対して出し、上から誓い展開をする事もできるが、状況がかなり限定的な上このポケモン自身はメガリザードンYに圧倒的に不利。
- ジュカインジュカイン
素の種族値によるSだけ見れば草御三家ではトップ。また、メガ進化や夢特性の軽業で更にSを上げる事ができるため1番上から誓いを決めやすい。
猫騙しをファストガードで阻害したり、メガ後の避雷針でアシレーヌを守ったりとかなり器用。
ただしこのポケモン自身の火力は高い方ではなく、単体性能が低いのが難点。
- ジャローダジャローダ
S種族値はそこそこ高い方であり、ジュカイン程で無いにしろ安定して上から誓いが撃てる。特性の天邪鬼も相まって単体性能も高く、最悪誓い展開をせずとも戦える。
ただし単体性能の高さは能力上昇後前提であり、ターン制限が短い誓いとの相性自体は良いとは言い難い。
- ジュナイパージュナイパー
S種族値は高い方ではないのだが、霊タイプを持ちガルーラやメガミミロップ以外の猫騙しで妨害されない。
追い風によって初速をカバーできる他、専用技の影縫いで有利対面を固定したりもできる。先制技や蜻蛉返りも扱え、対面に於ける隙が少ない。
ただし物理耐久が高くないのが難点。
- シルヴァディシルヴァディ
何故か3種の誓いの内草の誓いだけ習得可能。草御三家との最大の違いは間違いなくタイプである。タイプ別の差別化を掲載する。
- 炎、龍、岩
草御三家はタイプ上メガリザードンYに不利だが、こちらはタイプを変えるだけで耐性を付けられる。メガリザードンYの炎+草の範囲を受け切る事を考慮するなら炎or龍、一致弱点で攻めるなら岩。
- 霊
猫騙しに妨害されない、追い風を習得できるという所までジュナイパーと被っているが、こちらは素のSで勝る。
- 妖
- 低速~中速の高火力アタッカー
主にメガクチート、バンギラス、非スカーフのカプ・テテフ等
単純に普段上から押し付けられない火力を上から押せるようになるのは強い。
- ジャラランガジャラランガ
ここまでの解説で散々虐めてきたが、逆にこの構築に於いては1度Zで展開すると手が付けられない化け物と化す事ができる。
また、炎技が扱えるので、誓いの並びで崩しにくい鋼や草を崩しにいける。
苦手な相手
- ヤレユータンヤレユータン等
展開前に阻害出来ないトリル構築は基本的に苦手。中でもヤレユータンは弱点を突きにくく、1発確実に耐える程度の耐久は持ち合わせているため特に苦手。
誓いパについての項で少し触れたが、味方側に誓いを撃つ事で反対側に追加効果が発生する仕様を利用して、S関係を逆転させれば予想外の逆襲ができる。
撃ち合いだけで優位に立てそうな構築であればそこまでする必要は無くなる。
初手からファストガードが効かない程のSから猫騙しで阻害した上で追い風をされると誓いの展開すらさせてくれずに〆まで持っていくため、非常に苦手。
裏選出で対応するか、ジュカインで軽業を発動させて無理矢理上を取るかくらいしか明確な対策が無い。
終わりに
かなりの長文となってしまいましたが、この論によりダブルでアシレーヌを使う時、また誓いパを組む時の参考となれば幸いです。
非常にクセが強く、慣れるまでは中々難しい構成かもしれませんが、ハマれば本当に強いので是非活躍させてみて下さい。
↓こちらは実際に活躍した際のBVです
GJLW-WWWW-WWX6-T7V5
AAUG-WWWW-WWX6-T8WG