どうも、そろそろムクホーク研究家を名乗ってもいいんじゃないかと思い始めたファイドです。ちなみに一番好きなポケモンはメガジュペッタです。
- 指定のない限りすべてのポケモンは理想個体とする
- HP、攻撃、防御、特攻、特防、素早さをそれぞれHABCDSと表記
- ポケモン名やタイプ、持ち物に一部略称を使用
- ダメ計にはトレーナー天国様のものを使用
- 蛇足の項は読み飛ばし推奨
- フォーク元を先に読むことを推奨
はじめに
以前書いたフォーク元の論において、
「このポケモンは対面構築には合うか」
という質問を受けた。筆者はサイクルでしか使ったことがなかったが、「目の前の相手を確実に倒す」という対面構築のコンセプトには合致していると判断した。
しかし本当にそうだったのか。気になった筆者は補完枠として紹介したスカーフムクホークをあえて軸に据えた上でサイクル寄りの対面構築を組んだ。時間がなく多くは潜れなかったが、そこで感じたのは「物足りなさ」である。
高いSからほとんどの相手を上から吹き飛ばせるとはいえ狙った相手に当てられるとは限らない。邪魔な相手を落とすことで後続の一貫を作るのが役割なのに早々に自殺して仕事をこなしきれないことも多々あった。
そこで今回は起点作成ルートを増やした型を考察する。
この型の強み
- 誤魔化し+追い風
追い風込みで2回の行動保証を持つことで、裏の一貫を作るだけでなくSも上げて一気に制圧することが可能である。若干Sが足りないポケモンに行動保証を持たせられる他、ポイヒキノガッサやオニゴーリ等の展開も容易になる。
- 豊富な自主退場手段
ムクホークは命がけによる強引な1-1交換、高火力反動技、また放置された場合のがむしゃらと有用な自殺技が揃っている。これをタスキ追い風と組み合わせることで相手を落としつつ最長ターンで追い風を繋ぐことが可能である。
他の追い風要員とは遂行速度、火力、自主退場手段で差別化できる。
例えば置き土産エルフーンなどは相手を流すことはできても結局能力値ダウンは引けば消えてしまうため実質3vs2の状態から戦わなければならない。対してこの型なら最低限裏の先制圏内までは削れるため数的不利を取りにくい。
また追い風+命がけを使えるのはスケッチ野郎を除けばカモネギ(笑)のみである。さらに積み技や特殊な条件を抜きにした純粋なブレバの火力はムクホークが全ポケモン中最大であり、他の技も含めて起点にされることはほぼない。
フォーク元との比較
行動保証からの削りという点では共通しているが、追い風によるサポートを役割に含めたことである程度不利対面でも腐りにくくなった。3種類もの実質的な1-1交換手段を持つため自殺の対応力が高いのもポイントだろう。
また大きな違いとして動きの単純さが挙げられる。フォーク元はダメージ感覚や構築の有利不利、クッションへの切り替えなど精密な判断を必要とし、動きが死ぬほどシビアである。慣れてしまえばどうということはないのだが、毎試合の選出の時点からあれこれ考える必要がなくなるので精神的にはやはり楽であった。
一方デメリットとしては、
などがあり、役割が大きく変わってくるため構築に合わせて選択すべきである。
採用理由
ここまでの内容より、
- 追い風始動
- 地、霊の一貫切り
- 豊富な技での誤魔化し
以上の理由で採用が可能である。
持ち物
確実に追い風を打つためタスキで確定
特性
捨て身もしくは威嚇だが、筆者は捨て身の方が使いやすいと考える。
理由としては、
- サイクルを回さないためそもそもの発動機会が少ない
- 下手に物理火力を削ぐと中途半端にダメージが入り命がけもがむしゃらも撃ちづらくなる
- ブレバの火力が上がるため確1を取れる範囲が広がるとともに、反動ダメが大きくなり退場しやすくなる
などが挙げられる。
対して威嚇の場合特化ランドロス(霊獣)ガブリアスの岩封を確3にすることができ、スカーフ持ちであってもがむしゃらでダメージを入れられるようになる。(詳しくは後述)
技構成
確定技
追い風
コンセプトより確定、詳しい動きは後述
命がけ
このポケモンの最大にして強烈な個性
相手が悠長に積んできたり交代してきたりした際に強引に道連れにすることができる
がむしゃら
タスキと相性がいい削り技
自分でトドメを刺すことはできないがSが逆転した後相手に致命傷を負わせることができる
ブレバor捨て身
特性を活かした高火力打点であるため確定
基本的には弱点が突けて通りもいいブレバを推奨するが、捨て身ならカプ・コケコやFCロトムが中乱数で落ちるため一考
火力は珠カプ・コケコのEF10万程度
今回は以上で枠が埋まるので他の候補の考察は省略する
調整
意地
努力値 H244/A148/S116
実数値 H191/A174/B90/C-/D80/S135
H 16n-1
A 余り、メガリザードンYが中乱1
S 最速キノガッサ抜き
タスキ前提のためほとんど耐久は必要ないが、フォーク元の通りHのラインだけは確保している。ちなみにB個体値を9以下にする事でダウンロード対策になるが、削れた後でも命がけでそれなりにダメージが入る場合もあるためそれ以上個体値を下げるのはオススメしない。
Sラインはこの調整の他に 追い風後スカーフカミツルギ抜きのS100振り、追い風後1舞準速メガボーマンダ抜きの76振り等が考えられる。この場合余りはAに振ることでブレバの乱数が大きくズレる。
なおAラインを出来るだけ下げたくないため、また裏の先制でトドメを刺すことを前提としているためH252振りは候補に入らない。
運用方法
基本的には初手に出して追い風を打つのだが、この時の相手の行動によって2ターン目の動きが変わる。
- 相手が殴ってきた場合
ダメージ量によってどの技を打つか判断する。目安としてはこちらが相手のHPの半分以下になったらがむしゃらを撃つ。微妙な時や相手が低耐久の時はとりあえずブレバを撃つのが良い。
- 相手が積むか交代するかでノーダメージの場合
ブレバで相手を倒せるならそれでいいが基本的には命がけで即退場する。
その他相手によって一部行動が変化する。
選出画面である程度の型は判別できるが、特性捨て身を選択しスカーフ持ちと対面した場合動きが変わる。
ムクホーク対面ではほぼ確実に岩封を撃ってくるため、追い風後こちらが上を取ることができない。この時、
なおこれは威嚇を選択していれば回避できる。
胞子から剣舞で起点にされるのが厄介であるため、初手からブレバを撃つべきである。相手の体力を削ってしまえばどれだけ積まれても後続の先制技で倒しきることができる。
この場合追い風を諦めることになるが、こちらも裏に草タイプやカプ・コケコカプ・レヒレ等を置き胞子を防ぐことで回避できる。そのときはガッサの相手を他に任せ、Sを抑えて火力を上げるのが良いだろう。
普通の思考なら初手は守るかタスキ剣舞だが、いきなり殴ってきた場合詰む。(次のターン相手の守るでSが再逆転するため)
威嚇を撒けば剣舞を誘え、威嚇を撒かない(=捨て身でアタッカーであると思わせる)ことで守るを強いることができるため特性がどうあれ普通は問題ないのだが、相手が変態でないことを祈るしかない。
- 先制技持ち
この手のHP1で戦うポケモンに共通する弱点である。ただしムクホークは、おそらく現環境で一番飛び交っているであろう影うちを無効化できるためある程度は動きやすい。
基本的な動きは、裏で対応できない場合のみ追い風を捨てて殴りにいく。ただし初ターンこちらが追い風を打ちタスキまで削られた場合、次はほぼ確実に先制技を撃ってくるためそれを読んで交代するプレイングも可能。
ちなみにゲッコウガ程度の耐久なら余裕で確殺できる。
相性の良い味方、構築
対面構築から着想を得たが、どちらかというと展開構築や積み構築との相性が良いといえる。
エース枠としては
中〜高速かつ高火力な
カプ・テテフカミツルギメガガルーラ
などが挙げられる。
また運用方法の項で言及したが、キノガッサ対面ではブレバを撃たざるを得ない。そのため削り残したキノガッサを無傷で突破するために、
- S実数値135以上または霊の先制技持ち
もしくは
- 優先度+2以上の先制技持ち
等を組み込む必要がある。
ダメージ計算
特性は捨て身で計算している。
それぞれダメージの目安として分かりやすいもののみを記載する。これ以外は適宜推測、計算して頂きたい。
性格補正込み252振りを"特化"と表記
- 与ダメ
ブレバ
ゲッコウガ 110.2%〜130.6%、確1
H4ミミッキュ 108.3%〜128.2%、確1
メガリザードンY 94.1%〜111.7%、中乱1
H252メガゲンガー 85%〜100.5%、超低乱1
- 被ダメ
特化ランドロス(霊獣)岩封 57.5%〜68%、確定2
ガブリアス岩封 48.1%〜57.5%、高乱2
特化キノガッサマッパ 26.7%〜31.9%、確4
C252珠ゲッコウガ手裏剣 10.9%〜14.1%、計7発耐え
終わりに
今回はこの型と合わせてクッション性能を高めた型も考察した。育成論サンムーン/1887
抜きエースから初手展開まであらゆる役割をこなすムクホークがシングル環境にほとんどいないのは甚だ疑問だが、構築記事を漁っているとそもそもここまでこいつを研究している人はほぼいないのだと痛感した。というか筆者自身そこまで好きでもないのに一体何をやっているのだろうか。