注意
本論では、ステータスに関してはHP、攻撃、防御、特攻、特防、素早さの順に、HABCDSの略称を使用します。
ダメージ計算に関してはトレーナー天国様のツールを使用させていただきました。
また本論のポケモンは特に注意がない限りすべて理想個体を想定しています。
背景
カプ・コケコは強力な特殊アタッカーとしての運用が現在主流ですが、高いSからの壁張り要員としてもパーティに組み込む事が出来ます。
壁を張る場合特殊も良いですが、どちらかというと物理の方がシナジーが有ります。
エレキフィールド下のワイルドボルトで相手に打撃を与えながら自らも退場(反動+相手の攻撃により、自害)でき、壁の恩恵を後続に長く与えられるというのがその理由です。
上記の役割だけならば無用な居座りを防ぐ意味でもAS全振りでタスキか光の粘土を持たせておけばいいのですが、
今回はそれに加えて、エレキシードとHB振りをきかせてガブリアスに対して役割を持たせて、かつどろぼうによって太い骨を盗めるようにすることで、選出段階で呼ぶRFガラガラを安定して倒せるように工夫しました。
RFガラガラは通常のコケコの技が通りにくいうえに、個体によってはかわらわりで壁を割ってくる壁張りコケコの天敵といえる相手です。
壁張りの場合、RFガラガラを倒せるように工夫をするのは必要かつ自然なことです。
他の壁張り要員との差別化
まず、強力な壁張り要員を抜き去る素早さがあります(今回は特化ではありませんが)。
RFキュウコン109、エーフィ110、ライコウ115、ジャローダ113、アグノム115、ラティオス110などに対して130であり、この点で採用価値があります。
壁を先制で張ることでそのターンに受ける相手の攻撃を半減できるため、素早いことはそれだけで有利です。
エレキシードも意外と強力な持ち物で、物理にしっかり振ってエレキシードを持たせておけば物理技で一撃で落ちることはまずほとんどありません。
型が読まれにくく、挑発を打たれることは皆無です。また挑発を打たれてもそれほど困りません。
Zやきあいのタスキなどを消費する型と比べて持ち物がかぶりにくく後続の持ち物を自由にできます。
加えてカプ・コケコ自身の突破能力がエレキフィールドの補助と恵まれたAのおかげで比較的高いです。
上記がこのポケモンの差別化と採用理由です。
持ち物
本論ではエレキシードとしています。
エレキフィールドが張られている時に自動的に消費されBを一段階上げるアイテムです。
消費アイテムにすることで太い骨を盗めるようになります。
実のところ、はじめは光の粘土で考えていたのですが、実験すると残念ながら消費アイテムではありませんでした。
タスキ発動後にはじめて泥棒ができるようになるのではうまくいかず、行き詰っていたところ、レートでエレキシードコケコを見かけました。
これで壁を張ったら強いのでは? と考えて、今回の型を着想するに至りました。
場に出ると自動で消費され物理耐久を上げる効果はカプ・コケコを強化し、強力な物理アタッカーを前にしても仕事を遂行できるようになります。
性格、努力値
素早さの調整先とHBの振り方で数パターン考えられます。
いずれでも、意地っ張りより陽気の方が努力値の効率がよくなります。
ただAの実数値が2変わるだけなので陽気が用意できなければ意地っ張りでも妥協可能とは思います。
- 陽気H108 A228 B68 C0 D4 S100
確定欄の振り方です。
まず、先発でしばしば対面するRFキュウコンは抜けないとアンコールを打たれて困ります。
今回Sは、最速110族抜きでS100振り、実数値179にしてあります。
Hは実数値を159(16n-1)にしつつ、B68とすると、エレキシード込みで特化ガブリアスの地震を確定耐えします。
意地っ張りスカーフガブリアスが地震を打ってきた場合でも一回行動できるという事です。
その場合リフレクターを張って裏のギャラドスやマッシブーンに交代、容易に起点にすることができます。
またリフレクターを先制で張れた場合、ハチマキでないガブリアスの地震なら2耐えするという計算です。
この場合はリフレクター→どろぼう→光の壁として持ち物を奪って落ち、後続に繋ぎます。
(どろぼうをしてさめはだのダメージで落ちた場合は持ち物を奪えないという仕様があるようです。)
ダメージから考えて相手がハチマキっぽければ、または裏にゴツメを持ったポケモンや壁下でガブリアスを受けられるポケモンが居れば、リフレクターを張った時点で交代して起点にしてしまっても構いません。
最後にDに余りを振っています。
ダメージ計算はこれで記載します。
- 陽気H0 A244 B164 C0 D0 S100
H0B164にすることで確定欄と同じ物理耐久となり、努力値を12だけ節約できますので、Dに振ったあまりとともにAに回しました。
特殊耐久は落ちてしまいます。
このカプ・コケコは壁を張るまでは敵の攻撃を耐えてほしいが、壁を張った後は逆に一刻も早く落ちてほしいので、相対的にワイルドボルトの反動ダメージを上げるという意味で、このようにHに振らない型もアリだと思います。
Aの実数値が2だけ増えています。
ここでAの実数値が伸びることで乱数が大きく変わることはないですし、特殊耐久でポリゴン2などへの安定性が変わりますので、一長一短と思います。
意地っ張りで作るとAの実数値が1だけ低くなります。
- 陽気H0 A164 B164 C0 D0 S180
重要なSの調整先として、最速メガボーマンダ抜き(196)までSを上げた型です。
耐久調整してあるBからは回せませんのでその分Aが削られてしまいます。
先制でリフレクターを張ることが可能です。
ただボーマンダだと威嚇が入るのでワイルドボルトの威力は落ちてしまいます。
これでもどろぼうでH252RFガラガラは確3が取れ、最低限の攻撃力はクリアしています。
コケコとメガボーマンダは本来あまり役割関係にないと思いますので、メガボーマンダの対応は他に一任することとし、こちらは採用しませんでした。
ただパーティ単位でメガボーマンダに負担をかけたかったり、中間の素早さにいる相手を見る必要がある場合はこのようにSを調整することができます。
他にも、先発で見たい相手次第で素早さを調整することになると思います。
技候補
- リフレクター
- ひかりのかべ
壁張りコケコとして必要なところです。
基本的には先制壁張りから展開して、状況や後続次第で両壁にしたりワイルドボルトを打ったりしていきます。
防御はエレキシードのおかげでかなりあるのでどちらの壁から張るか迷った時はひかりのかべにするとそのターンで落ちるリスクが少なくなります。
- ワイルドボルト
メインウェポンかつ自己退場(反動による自殺)技です。
ダメージ計算は後述します。
- どろぼう
RFガラガラの他に輝石ポリゴン2、食べ残し、ゴツメなど持ち物に性能を依存している相手に対して強力です。
まれに、タスキや突撃チョッキ、ひかりのねんどを奪って有効活用できることもあります(とはいえタスキを疑った場合はわざわざ盗むよりワイルドボルトでつぶしてしまった方がたいていの場合良いと思いますが)。
上記のように意外と汎用性があります。
なおギルガルドの弱点保険は発動させてしまうので、明らかに弱保ではない場合を除いて、ギルガルドには打たないほうが無難です。
こだわり系アイテムを奪ってしまうとどろぼうしか打てなくなりますが、こだわり系アイテムを持っている相手は普通積み技を持っていないので、即起点にされることはありません。壁を張った後ならそのまま落としてもらうか、有利なポケモンに交代して、あとでワイルドボルトを打つ機械として再登場させても構いません。
あとZクリスタルやメガストーン持ちには無効なので気を付けてください。
- とんぼがえり
壁を張った後、攻撃しながら退ける点は魅力的ですが、1回しか発動しないエレキシードとは相性が悪いのでタスキを持たせる場合などには有りかと思います。
- ブレイブバード
電気受けで出てくるたいていの相手に等倍以上で通り第二の自己退場(自殺)技にできますが火力は足りません。
カプ・ブルルやマッシブーン、ダダリンも見るなら必要ですが、彼らが相手でも普通十分な壁は張れますので(かわらわりを持ったマッシブーンもいるのかもしれませんがほとんど見たことはないです)今回のカプ・コケコは反動技がメインとなり、さすがに抜きエースとしての性能は期待できないので、ガラガラをしっかり倒して役割を遂行することを優先させた方がよいと思います。
壁を片方だけにして持たせるという選択肢はあるかもしれません。
- しぜんのいかり
対処しがたい相手を後続圏内にする技です。
見れる範囲があまり広くない技構成なので選択肢には入りますがスペースが足りません。
ダメージ計算
- ワイルドボルト エレキフィールド込
抜群
H252カプ・レヒレ 105%-125.4% 確1
補正ありH252B252 カプ・レヒレ 77.9%-92.6% 確2
*フィールドが書き換えられてしまうので実際はこの2/3です。
H252メガギャラドス 96%-113.8% 乱1 (75%)
上記 威嚇込み 65.3%-77.2% 確2
H252テッカグヤ 100%-118.6% 確1
等倍
H4RFキュウコン 88.5%-104.6% 乱1 (25%)
H4メガボーマンダ (威嚇込み)33.3%-39.1% 確3
H252 ギルガルド盾 44.9%-52.6% 乱2 (21.9%)
H252 輝石を盗まれたポリゴン2 59.3%-70.3% 確2
上記輝石あり 39.5%-47.3% 確3
H4 カプ・テテフ 90.4%-106.8% 乱1 (37.5%) (相手がスカーフでフィールドを奪えた場合を想定)
半減
H4 カプ・コケコ 40.4%-47.9% 確3
基本的には壁張り用ですがエレキフィールドのおかげでカプ・コケコ自身にも上記のようにそれなりの突破性能が有ります。
- どろぼう
H252RFガラガラ 34.7%-41.9% 確3
具体的なRFガラガラに対する運用としては、裏にRFガラガラが居ても、壁を張るか有利対面なら遠慮なくワイルドボルトを打ちます。
もしガラガラが出てきたらそこではじめてどろぼうをします。
後述の耐久計算も見ていただければわかるとおり、結果的に壁なしでも、先読みなし対面からどろぼう連打で確実に倒せます。
途中で逃げられても持ち物を失ったガラガラは死に体なので後続でいかようにも処理できます。
倒した後は壁を張るか、後続にワイルドボルトを打って落ちます。電気無効が2匹も3匹もいるパーティは現環境では少ない(しそういう場合はさすがにコケコを選出すべきではない)ので後続にワイルドボルトが刺さって2抜きできることもしばしばあります。
- 耐久
エレキシード込
A252補正ありガブリアス 地震 84.2-99.3% 確2
A252補正あり太い骨を失ったRFガラガラ フレアドライブ 36.3-43.3% 確3
同地震 41.5-49% 確3
A252補正ありメガボーマンダ 地震 60.3%-71.6% 確2
後攻で壁を張った場合高乱数でもう一発耐えますからワイルドボルトを当てて落ちて後続の圏内にしてつなぎます。
ただ初手竜の舞をされた場合は厄介です。リフレクター下でも、ワイルドボルトの反動があるから地震を2回は耐えません。
リフレクターの力を借りて後続の物理受けで処理します。
特殊
C4 C+1(ダウンロード) ポリゴン2 れいとうビーム 45.9%-54% 乱数2発 (47.3%)
同 トライアタック 61%-72.3% 確定2発
先攻で壁を張ると半分になります。
光の壁→どろぼう→ワイルドボルト当てて後続圏内へ くらいの余裕があります。
補正なしC252カプ・テテフ サイコフィールド下サイコキネシス 90.5%-107.5% 乱1 (50%)
スカーフでなかった場合を想定。この場合は先手で光の壁から展開します。
エレキフィールドを奪われているのでワイルドボルトは確2。
ちなみにワイルドボルトは反動が有るので壁を張っても一発しか当てられません。壁を残して後続につなぎます。
眼鏡の場合はダメージが壁下でも異常に多いのでわかるはずです。後続を誰にするかの参考になると思います。他にも有用そうなアイテムを持っている場合は盗んでしまいましょう。
補正なしC252カプ・コケコ マジカルシャイン 43.3%-51.5% 乱2 (7.8%)
同 ボルトチェンジ 28.3%-33.9% 乱3 (0.63%)
ミラーの場合間違いなく先手を取られます。裏にガラガラが居る場合は通常は素早さ勝負を嫌って素交代してくると思いますが、特にスカーフコケコの場合などボルトチェンジからガラガラに交代してくる可能性もあるのでボルチェンのダメージやガラガラが地震を持っていた場合なども考えれば先にリフレクターから張った方が安定するかもしれません。ここだけ読みが必要になる場面です。
といってもマジカルシャインを2回受けてもほとんど死なないので読み違えがあってもリフレクターから両壁張ることが可能です。
苦手な相手
自分より素早い特殊アタッカーに弱いです。
メガゲンガーにはどうやっても勝てません。
特殊耐久を切ってあるので同族にも弱いです。
メガボーマンダも苦手といっていいと思います。
相性のいい味方
壁があると動きやすい後続全般です。
まあまあ相性補完のあるメガギャラドス、どくZナマコブシやイーブイなどの積みバトン、地震の通らないマッシブーンなどが挙げられます。
ガラガラでマッシブーンを見ているようなパーティにはよく刺さります。
テッカグヤはあまり壁を必要としませんが相性補完があります。
メガプテラは技範囲が広く不安な耐久を補助することで強引に突破できるパワーが増しますから相性がいいです。不安なゲンガーにも強いです。
その他の特殊アタッカーも瞑想を積みやすくなります。
結語
壁張りもエレキシード泥棒型もGoogleなどで検索しているとちらほらひっかかります。
ただ今回は壁張りとエレキシード、泥棒を組み合わせることでこれらがかなりポジティブにかみ合い、より多くのポケモンに役割を持てるようにし、物理型カプ・コケコをZ技なしに実戦レベルまで引き上げたといえると思います。
同じ調整で壁を張らない型と比べても、倒しきれない相手を壁を残して後続に任せることができるという点でかなり動かしやすい印象です。
そういう理由で今回本論をまとめさせていただきました。
最後に特殊型との比較です。
特殊型とはほとんど別のポケモンといってもいいような様子になっております。
それでも比較するならば、一般的な特殊型の10まんボルトと比べて、ワイルドボルトの決定力は遜色ありません。
ただ多彩な持ち物を持てないこと(といっても壁がありタスキを持っている以上に固いですが)、威嚇の影響を受けること、エレキシードをしっかり活かせるラインまで耐久に振っている分素早さが犠牲になっている事が、主な弱点になります。
またフェアリー技がないので本来強気に出れるポケモン相手になかなか押していけません。
最初特殊型と違う癖のある感じに戸惑うかもしれませんが、相手の対策が手薄なことにも助けられてと思いますが想像以上に粘り強く働いてくれます。
本論は以上です。