- 指定がない限りお互いに6Vであるとします。
- HP/攻撃/防御/特攻/特防/素早はH/A/B/C/D/Sという略称を用います。また、タイプのノーマル/電気/地面/格闘/エスパー/ゴースト/飛行/ドラゴン/フェアリーは無/電/地/格/超/霊/飛/竜/精という略称を用います。
- 努力値の後の±は性格補正を指します。
- 技名の前の↑↓はランク補正を指します。
前置き
どうも、はかばです。投稿は5回目になりますので、育成論を毎日かかさず見ている方の中には私の名前を覚えてくださった方もいるのではないでしょうか(甚だしい思い上がり)。今回はシーズン3末に上位陣で流行した襷アシレーヌについての型紹介ですね。諸々の許可等は一切とっていないため、私が自分で考えた型ではない、ということだけ明言しておきます。
アシレーヌとは
第7世代初登場の水妖ポケモン。今作の水御三家であり、可愛らしい見た目や専用Z等なにかと推しが強いことで有名です。そのタイプ相性からサイクルに参加させやすく、専用Zの高火力により相手のサイクルを崩すこともできるため、サイクルパにおいて高い採用率を誇ります。バシャやギャラのストッパーになれることも評価を高めている要因ですね。
採用理由
アシレーヌの強み
1.高い耐久力
アシレーヌの種族値は80-74-74-126-116-60。そこそこ高いCも目に付きますが、耐久、特に特殊耐久が相当高いことがわかります。水妖のタイプ相性も優秀で、抜群3、半減6、無効1、中でもエースとして採用されやすいメガルカ、メガギャラ、メガバシャに対して高い耐性を持ちます。
2.専用Zの存在
今作の御三家は全員専用のZ技を持っています。アシレーヌのZ技わだつみのシンフォニアは威力195の水技で、その火力は指数にして5万越えとかなりのもの。水技は通りもよく、相手に大きな負荷を与えることができます。
3.水妖の技範囲
アシレーヌは水技としてうたかたのアリア、妖技としてムーンフォースを覚え、これを両方半減以下で受け切れるポケモンはナットを始めとしたごく少数に限られます。
4.特性発動の容易さ
特性激流は体力が三分の一以下になると水技の威力が1.5倍になる、というもので、耐久が高いことは上述の通りですが、それにより激流圏内に入りやすいことも強みとして挙げられます。Hに振るだけで並の一致抜群技も耐えきるため、特性の発動機会は多いと言えるでしょう。
5.対害悪性能
うたかたのアリアは音技で身代わり貫通、さらに補助技としてほろびのうた、アンコールを覚えるためグライオン、オニゴーリといったいわゆる害悪に対して高い耐性を持ちます。アシレーヌがパーティにいるだけでそういったポケモンの選出抑制にも繋がります。
アシレーヌの弱み
1.Sが低い
高い耐久、火力を強みとして挙げましたが、反面S種族値は60と低く、トリル等Sの低さを活かすこともできるとはいえアシレーヌの欠点の一つと言えます。これにより上から殴られることが増え、何もできずに退場することも少なくありません。
2.微妙な耐久
高耐久とは言っても、物理方面は努力値を振らなければ役割対象の攻撃を受けきれず、特殊方面も役割破壊の抜群Z技を受けきるほどではありません。総じて惜しい、一歩足りないといった印象です。
3.読まれやすい
アシレーヌは6割〜7割が専用Z、残りが回復実や眼鏡持ちで、持ち物や型がバレやすいです。
以上からわかる一般的なアシレーヌ対策は「上から高火力で潰す」というものです。Zは受けきれない、なら打たせる前に倒そうというわけですね。
そういったアシレーヌ対策に対して、なるべく汎用性を落とさずに強くなるために気合いの襷を持たせます。
アシレーヌに襷を持たせるメリット
1.読まれにくさ
アシレーヌの襷率はPGLのデータでは12%程度(6月29日現在)で、読まれないとまではいきませんが、襷前提の行動をされることはまずありません。襷からの激流を警戒して弱い技を打ち、Zが飛んできたときの取り返しがつかないためです。
2.襷による行動保証、タイマン性能
襷を持たせることにより、激流による高火力、先制技、行動保証を両立できるようになり、高いタイマン性能を得られます。これにより役割破壊のZ技に強くなる、明確な出し負けがほとんど無くなるといったメリットが生まれます。
3.特性発動の確実化
襷により不意の高火力に潰されることがなくなり、確実に激流状態のアシレーヌを場に残せるようになります。
以上3つに合わせ、それに伴うアシレーヌメタ(高速電気、メガゲンガー、メガリザY等)への切り返し、サイクル崩しが主目的となります。
総括
通常アシレーヌメタとして組み込まれるポケモンを含めあらゆる偶発対面においてアシレーヌの強みを強引に押し付け、相手に高い負荷をかけていくために襷を持たせた襷アシレーヌについて考察していきます。
差別化
襷はただでさえ取り合いになりやすいアイテムであるため、他のメジャーな襷持ちとの比較を行います。ただし、襷を持つことで得られる共通のメリットであるタイマン性能、ストッパー性能は各々の強みから除外しています。
- キノガッサ
1番最初に襷を持たせたくなるポケモン。襷+胞子によって対策なしだと確実に1体以上を機能停止に追い込むことが可能。A130とテクニシャンにより火力も高く、タネガンにより対襷、対害悪にも強く出ることができ、岩封によるS操作も可能、さらにラム以外のカバルドンにも有利に立ち回れる。
- マンムー
襷を用いた確実なステロ撒きとして採用される。氷と地面の組み合わせは通りがよく、また襷を消費した後も氷4倍勢に対して礫で仕事を持てるため非常に腐りにくい。連続技持ちで対襷、対害悪(ry。ついでに電気の一貫切りの役割も担える。
- ミミッキュ
ばけのかわと合わせて2回の行動保証がある稀有なポケモン。トリル始動要員や後出し可能なストッパーとして採用される。霊妖の技範囲から、確実に積める抜きエースとしての運用もでき、仕事の幅が広い。先制技があるのも偉い。
- アシレーヌ
水妖の技範囲と激流により、相手に与える負担が大きい。またメインウェポンが音技で対害悪において圧倒的な優位性をもつ。ステロ撒きとして採用されやすいカバ、ドラン、マンムー、ガブ等にも比較的強く、ステロを撒かれて襷が残るか、ステロを撒かせず襷が潰れるか、交代されるかというこちらに有利な択に持ち込める。先制技も完備。
他の襷持ちとアシレーヌの差
◯火力があり、技の通りがいい。
◯相手のステロ撒きに強い。
×味方の補助ができない。
×襷が無くなった後にほぼ仕事がない。
以上より、襷アシレーヌは他の襷持ちと比べて味方の補助ができない代わりに攻めに重点を置いたアタッカーであると言えます。役割が完全に異なり単純な比較はできませんが、アシレーヌを襷枠の選択肢に入れるには十分なメリットです。
持ち物
採用理由から持ち物は気合いの襷で確定とします。
アシレーヌ全体としての考察ならば専用Z、眼鏡、回復実が候補に挙がりますが、それらのアイテムではアシレーヌメタのメタという本育成論の目的からズレてしまうため候補外です。
特性
今のところ激流しかないため確定。HPが三分の一以下のときに水技の威力が1.5倍になります。
夢特性のうるおいボイスにもメリットがあるのかもしれませんが、激流でなければ火力が足りないためこの型が成立しません。そのため解禁後も激流一択です。
努力値、性格
性格 おっとりorうっかりやorひかえめ
努力値 A4 C252 S252
実数値 155-95-84-195-136-112
調整意図
A4 余り
C252 ぶっぱ
S252 ぶっぱ
耐久は襷でカバーできるため下手に振らずにCSぶっぱ。差別化の項で述べた通り通常のアシレーヌよりもアタッカーの面が強く、先発での運用が主になるためSが不安定なロトム、レヒレ、ドラン、メガヘラ等抜ける相手を増やした方が役に立つ場面が多いです。
性格はアクジェの火力を上げるためAではなくBかDに下降補正をかけるおっとりかうっかりや。どちらでもいいですが下降幅が小さいおっとりを確定欄にしています。同じ理由でAはV推奨です。この振り方でも無振りリザYに対して激流アリア+アクジェが中乱数なのでAを落とすのはあまりオススメしません。
しかし耐久を落とすことで対襷ガブ、襷マンムーにおいてかなり乱数がからむようになるため、ひかえめも十分選択肢に入ります。その場合はアクジェの火力が若干下がるので注意してください。
技
確定技
- うたかたのアリア
威力90命中安定のメインウェポン。音技で身代わり貫通のため害悪対策にもなるということで確定。あまり発動機会がありませんが相手が火傷していると火傷を治す効果もあります。レベル技。
- ムーンフォース
威力95命中安定のメインウェポン2。水との相性補完に優れ、マンダやガブへの遂行速度を考えると外せません。Cダウンの確率は本当に10%なのでしょうかCダウンは30%です。積極的に狙いましょう。レベル技。
- アクアジェット
コンセプト的に先制技が無ければ成り立たないため確定です。アシレーヌ自体のAがそこまで高くないため威力はそれほどでもありませんが、役割対象へのダメージは足りてます。レベル技。
準確定技
2つから選択。
- めざめるパワー炎
ナット、メガッサムピンポ。ナットがよく後出しされるため、優先度は高めです。カミツルギは激流アリアで倒せるため仮想敵には入りません。技マシン。
- ほろびのうた
オニゴーリやポリ2、その他こちらに2体以上が残った状態でのラス1対面で有用です。またバトン等ギミック系の構築への解答にもなるため打つ機会も多く優先度は高め。タマゴ技。
選択技
- アンコール
アシレーヌを起点にできるポケモンはそう多くなく、タイマン性能を重視したこの型で打つ機会はあまりありません。レベル技。
- ハイドロカノン
積みの起点になる危険がなく、かつアリアやムンフォでは火力が足りない場合に打ちます。一応Zを使わない上での最大打点ですが、安心して打てる場面はあまりありません。教え技。
ダメ計
- 与ダメ ()内は激流発動時
うたかたのアリア
D4カプ・コケコ 71%〜84.8%(106.2%〜126.2%)
H4ボルトロス 64.5%〜76.1%(95.4%〜112.9%)
H252メガゲンガー 52%〜61.6%(77.2%〜91.6%)
D4メガリザードンY(日照り下) 47%〜56.2%(70.5%〜83.6%)
H4カミツルギ 71.8%〜84.4%(107.4%〜126.6%)
H244ポリゴン2 30.3%〜36.1%(45.5%〜53.9%)
アクアジェット
無振りカプ・コケコ 14.4%〜17.2%(21.3%〜25.5%)
H4ボルトロス 16.1%〜19.3%(23.2%〜27.7%)
H252メガゲンガー 13.1%〜16.1%(19.7%〜23.9%)
無振りメガリザードンY(日照り下) 13%〜16.9%(20.9%〜24.8%)
ムーンフォース
H4メガボーマンダ 112.2%〜133.3%
D4ガブリアス 108.1%〜127.8%
H252アシレーヌ 40.6%〜48.6%
H252ロトム(水) 53.5%〜63%
めざめるパワー炎
H252ナットレイ 72.9%〜86.1%
H236D140+メガハッサム 68.5%〜82.2%
ハイドロカノン
H244ポリゴン2 50.2%〜59.6%(75.3%〜89.5%)
D4メガルカリオ 124.8%〜147.5%
ハイドロカノンは激流アリアより少し強いくらい。激流アリア+激流アクジェで並〜中耐久は吹き飛ばせます。
- 被ダメ
物理
特化ミミッキュ Zシャドークロー 94.8%〜112.2%
A252メガルカリオ インファイト 68.3%〜80.6%
A252メガボーマンダ すてみタックル 122.5%〜145.1%
特化メガバシャーモ とびひざげり 65.8%〜77.4%
A252メガギャラドス じしん 60%〜70.9%
無振りカバルドン じしん 58%〜68.3%
特殊
C252カプ・コケコ 10万ボルト(EF込み) 108.3%〜127.7%
特化ボルトロス(霊) 10万ボルト 104.5%〜123.8%
特化メガリザードンY ソーラービーム 100.6%〜118.7%
無振りメガゲンガー ヘドロ爆弾 92.9%〜109.6%
特化アシレーヌ ムーンフォース 49%〜58.7%
特化カプ・レヒレ ムーンフォース 41.2%〜49%
特化カプ・テテフ サイコキネシス(PF込み) 72.2%〜85.8%
運用
基本的には以下2つ。
1.先発、もしくは死に出しで場に出す。
2.相手の攻撃を襷で耐え、激流アリア+アクジェで1:1交換以上を狙う。
「ステロに弱いがステロ撒きには強い」という特徴があるためよほどのことがない限りは先発運用を推奨します。動き方としては一人で一体以上を持っていく、という対面構築に近いもので、その中でも「相手を誘って狩る」地雷枠としての採用となります。耐久を襷に頼っているため受け出し機会が多いサイクルパとは相性があまりよくないかもしれません。
明確な出し負けはほとんどないので大体はアリア+アクジェを打っていく形になります。ポリ2やクレセ等突破できない相手と当たった場合のみ、襷を温存するために交代という選択肢が生まれます。
苦手な相手
苦手というよりは、耐久を落とすことで従来のアシレーヌより不利になる相手をいくつか挙げておきます。
- メガギャラ、メガルカ、メガバシャ
対面からなら不利ではありませんが、後出しからの対処が不可能になる、乱数がからむようになる等、大きく優位性が失われます。耐久振りのアシレーヌと同じ感覚で扱うと痛い目にあうので気をつけてください。
- カプ・テテフ
Zアシレーヌであれば殴り合いで押し勝てましたが、わだつみのシンフォニアと激流アリアとではかなり火力に差があるため普通に耐えられます。激流アリアを過信しないように。
- アシレーヌ
上から動くことはできますが、こちらのムンフォは耐久振りアシレに確3、特化アシレーヌのムンフォはこのアシレに高乱2であるため、よほど運が良くないと勝てません。
その他キノガッサ等従来のアシレーヌと有利不利の差がほとんどないポケモンがわりといます。襷を除いた耐久がかなり低いこと、瞬間的な大火力が出ないことの2点だけ確実に押さえておいてください。
最後に
いかがだったでしょうか。冒頭で述べた通りこれは私が考えた型ではないため、補完という形で捉えていただければと思います。じわじわ増えてきている型でもあるため、その強みや目的を伝えられていれば幸いです。
それでは、最後まで閲覧いただきありがとうございました。