わにと申します。9回目の投稿です。よろしくお願いします。
以下の内容に必ず目を通してください。
- 指定のない限りすべてのポケモンは理想個体を想定します
- HP、攻撃、防御、特攻、特防、素早さをH、A、B、C、D、Sの略称で表記します
- ポケモン名やタイプ表記、道具名などに一部略称を用います
- ダメージ計算はトレーナー天国様のツールをもとに計算しています
- ご質問、ご指摘はコメントにて受け付けます
- 育成論に関係のないコメント、無益だと判断したコメントは予告なく削除します
追記修正履歴
2017.7.17:いただいた意見を参考に育成論を大幅に変更しました。
それでは考察に移ります。
ガブリアス(以下ガブ)と彼を取り巻く環境(2017年7月時点)について
レートの守り神。
激戦区100族を抜き去る素早さとA130という高い攻撃、高速アタッカーに不釣り合いなほどの高い耐久値を持ち、さらに優秀な特性、耐性、技、攻撃範囲まで持つ、まさに主人公ポケモン。初登場以来レート環境で高い使用率を誇っていましたが、七世代になって使用率が停滞気味に。
その主な理由は、
- 強力なフェアリー、鋼、飛行が環境に増えたことによる一致技の一貫性喪失
- A種族値130という高い数値が霞むほどの火力インフレ環境(メガ進化、Z技など)
- 対面から上を取られて不利を取る相手の増加(メガボーマンダ、メガメタグロスなど)
- 地面枠(カバルドン、ドリュウズ、マンムー、霊獣ランドロス、グライオンなど)の競合
こんなところ。一致逆鱗および地震の火力と一貫性の高さが売りだったガブにとって特に1の要素は非常に大きく、負荷をかけづらい環境にあるため、地面枠+αの仕事をこなしやすい他の地面枠に票が流れているように感じます。
また、現環境におけるガブの型は、AS襷、ASスカーフ、ASドラゴンZに大別され、その攻撃性能やアタッカーとしての汎用性を重視した型が多い中で、ガブ全体の使用率が落ちているということは、ASベースのガブが環境に合わなくなってきている可能性が考えられます。加えて、襷、スカーフ、Zクリスタルの競合率の高さも関係しているでしょう。(あくまで個人の主観です)
そこで今回は攻撃面ではなく、優秀な耐久と耐性に目を向け、より炎、電気への役割を重視した突撃チョッキ型を考察してみたいと思います。
地面枠(≒電気無効枠)としてのガブリアスを考える
ここで言う『地面枠』とは電気技を無効にし、多くの電気タイプに役割を持てるポケモンとして考えてください。アタッカーとしての性能ではなく、耐性、耐久からガブリアスというポケモンを紐解いていきます。
- 耐性
地面枠としてガブを捉えたときに目を引くのが炎耐性。炎タイプ(技)は環境に蔓延するフェアリー、鋼に強いことから高い採用率を誇ります。それに対して耐性があることは他の地面枠にはない大きなメリットです。さらに地面枠にとって痛手になりやすい水、草技を等倍で受けることができる点も評価できます。反面、氷技が四倍で入るため、サブウエポンに多く採用される目覚めるパワー氷には注意が必要です。
- 耐久
耐久種族値はH108B95D85と高水準で纏まっており、生半可な不一致弱点技は素で耐えてしまうほど。さすがは600族。
特にD方面は先に挙げた地面枠のどのポケモンよりも高く、特殊主体のポケモンが多い電気、炎タイプへの受け出しに適していると言えます。この耐久に加えてA130S102という高い攻撃性能を持つので遂行能力、遂行速度も十分確保できます。
以上のことから役割破壊の氷技に注意すれば、地面枠として高い性能を持っていることが分かります。
何故突撃チョッキを持たせるのか
- 特殊耐久および役割遂行能力の強化
特殊耐久の底上げと役割破壊技への耐性を付けることが主な理由です。
役割対象である電気、炎タイプのポケモンは役割破壊のために目覚めるパワー氷を採用していることが多く、通常であれば致命傷になってしまいますが、幸いもとの威力が低く、タイプ不一致での採用がほとんどなので、数値を底上げすることで、耐えることが可能になります。これにより役割対象への後出しが安定し、さらに一致弱点技すら耐え切る耐久を得ることが出来るため、対特殊ATに対する対面性能が大きく向上します。
蛇足ですが、ガブにはもう一つ数値を底上げできる持ち物が存在します。メガストーン、ガブリアスナイトですね。物理耐久がおよそ1.2倍、特殊耐久がおよそ1.1倍、火力がおよそ1.3倍になる強力アイテムですが、今回の型は補完的に採用されるものであり、補完枠にメガ枠を割くことは選出パターンの圧迫に繋がります。また一度場に出してメガ進化をしなければ数値が上がらない点も役割対象への後出しを想定している今回の型と合っていません。メガガブリアスについても最近考察しているのでまた別の機会に紹介できればと思います
採用理由・差別化
- 電気無効+炎耐性(水、草等倍)
- 削り、対面、受け出し性能がいずれも高水準な汎用アタッカー
- 対特殊クッション、ストッパー
同じような耐性を持つポケモンに、フライゴン、バクーダ、ランターンなどがいますが、汎用性、数値の高さで十分差別化が可能です。
仮想敵は主に電気タイプ全般、特殊炎タイプ、その他特殊アタッカー(メガゲンガ―、ギルガルド、ウツロイド等)です。これらが重い構築の補完枠としての採用が主になります。
ヒート(ウォッシュ)ロトムに受け出しが成立する点、炎耐性によりメガリザードンY、ウルガモス、ヒードラン等の高火力炎にもしっかり役割を持てることが他の地面枠との差別化要素になります。
しかし、汎用性という見地からすると、全体的な数値が高い上に弱点が少なく、威嚇+蜻蛉返りによりクッション性能に優れる霊獣ランドロスの壁は高いと言わざるを得ません。
ですが、七世代に入り、耐性以外に霊獣ランドロスとの明確な違いが生まれました。それは『フィールド効果を得ることが出来る』という点。特にミストフィールドは催眠メガゲンガーや鬼羽ウルガモスなどの状態異常技を絡めてくる特殊ATへの受け出し時の安定性を大きく高めることができます。また弱点である龍技を半減で受けることも出来る点も好相性です。
カプ系とのサイクルを形成する場合はチョッキガブにも十分な採用の余地があると言えるでしょう。(強引)
持ち物
- 突撃チョッキ
今回の型のコンセプト。上述の理由から確定。
特性
- 鮫肌
発動機会が多く、汎用性も高いこの特性で確定。
砂隠れはそれに特化したコンセプトパや対砂パに特化する以外採用余地はないでしょう。
性格・調整
- 性格
意地っ張り
役割を安定させるために耐久に大きく努力値を割く必要があり、不足しがちになる火力を補うためにA上昇補正は確定。受け出し、対面性能を売りにしている型なので耐久に下降補正をかけるのは論外。また、岩石封じ後に抜ける範囲を増やしつつ低中速帯(最速60〜準速70族付近)を抜き去るためにS下降補正は候補外とし、今回は意地っ張りで確定です。
- 努力値
H188A76B4D196S44
- 実数値※()内は突撃チョッキ込みの数値
H207A176B116C90D130(195)S128
- 調整意図
H:16n−1
S:準速75族抜き、最速ゲッコウガ(Sランク−1)抜き
A:余り
- 耐久目安
C200カプ・テテフ@こだわり眼鏡のムーンフォース+ステロ高乱数耐え
C232メガリザードンYの晴れ大文字+目覚めるパワー氷耐え
C179ウツロイドの目覚めるパワー氷超高乱数2耐え
C147カプ・コケコ@命の珠のマジカルシャイン高乱数2耐え
A170C222ギルガルド(ACランク+2)のシャドーボール+影討ち耐え
A156ミミッキュのじゃれつく+影討ち耐え
A177メガガルーラの猫騙し+捨て身タックル耐え
A200カプ・ブルルのGFウッドハンマー超高乱数耐え
電気、炎への役割を意識しつつ、極力幅広い攻撃を耐えるように調整し、対面性能を伸ばしました。ちょっと頭おかしい耐久であることがお分かりいただけると思います。
Sラインは岩石封じ込みで最速ゲッコウガ抜きに設定。
C155一致冷凍ビームを耐え、サイコフィールド下であれば水手裏剣を受けないので、条件こそ厳しいですが、襷ゲッコウガにすらワンチャン掴むことができます。
また準速75族を抜けるため、毒突き採用時カプ・ブルルに対して上から倒すことが可能になります。
(H177B135ブルルに対し31.3%の低乱1。ウッドハンマーの反動or鮫肌込みで確1)
ここまで来ると、一般的なASガブと比較して、もはや全く別の生き物ですね。
調整についてはまだまだ一考の余地があると思いますので、これをベースに各自微調整していただければ幸いです。
技構成
- 確定技
地震
命中、威力安定、非接触のメインウエポン。
ゲンガー、カプ・コケコ、ウツロイドなどの役割対象を考えても外す理由がありません。
岩石封じ
Sを大幅に落としているため、ダメージを与えつつS操作できるこの技は非常に重宝します。自身の対面性能向上はもちろん、味方のサポートや一部電気、炎タイプへの遂行技にもなるため確定です。
- 選択技
アイアンテール
フェアリーに対する役割破壊技。命中に難があるものの、アイアンヘッドだと無振りカプ・テテフやミミッキュすら確定で倒せず、Sを落としているこの型では怯みもそこまで期待できないため、この技が候補入り。補助技での火力補強ができないこの型にとって、三割のBダウン追加効果がとても優秀。この三割のために採用するまである。なお二割五分で当たらない。
逆鱗
起点にされるリスクがあり、行動を制限される技は補完枠のポケモンにはあまり採用したくないですが、等倍範囲の広さと技威力が一番の魅力。
FCロトムへの遂行技でもあり、強化アイテム無しのサザンドラ、ラティオス、眼鏡以外のキングドラにも対面から殴り勝つことができます。
ドラゴンクロー、ダブルチョップは威力不足、ドラゴンダイブは与える負荷と命中率の釣り合いが取れていないので候補外です。
炎の牙or大文字
範囲補完技。呼ぶ鋼タイプに刺さりますが、威力には期待できません。
エアームド等のBに厚い鋼や接触技を嫌う場合は、大文字にする選択肢もあり。
火炎放射はエアームドにすら乱数が絡んでしまうので候補外です。
毒突き
フェアリーに対する役割破壊技その2。アイアンテールに比べて威力は低いですが命中安定で鋼等倍のフェアリー(カプ・レヒレ、アシレーヌなど)や地震を半減する草タイプ(カプ・ブルル、ジャローダ等)に刺さります。追加効果の確率も高く、毒状態にできればダメージレースを有利に運ぶことが出来ます。呼ぶ鋼に一貫しないことが最大の弱点。
この他に、空元気、ドラゴンテールあたりが候補に挙がるかと思いますがいずれも用途がピンポイントなので考察は省きます。
ダメージ計算
論が煩雑になるのを防ぐためダメ計の追加は基本的にしません。
記載のないものは各自計算してください。
- 与ダメ
地震
H167B100メガゲンガー
119.7%〜141.3% 確1
H175B135カプ・レヒレ
42.8〜50.2% 乱2(1.2%)
H167B170ギルガルド
69.4〜83.8% 確2
H207B183スイクン
26.5〜31.8% 確4
H131B100ミミッキュ
76.3〜90% 確2
H187B110アシレーヌ
48.6〜57.7% 乱2(94.9%)
岩石封じ
H155B90霊獣ボルトロス
58〜68.3% 確2
H161B85ウルガモス
116.7〜139.1% 確1
H185B111メガリザードンY
77.8〜92.9% 確2
H171B151メガボーマンダ(威嚇込み)
21〜25.7% 乱4
H147B87ゲッコウガ(氷)
62.5〜74.8% 確2
アイアンテール
H145B95カプ・テテフ
96.5〜114.4% 乱1(81.3%)
H177B135カプ・ブルル
56.4〜66.6% 確2
逆鱗
H157B127ロトム(FC)
59.8〜71.3% 確2
H215D187カバルドン
29.7〜35.3% 乱3(18.6%)
H171B151メガボーマンダ(威嚇込み)
63.1〜74.8% 確2
H147B87ゲッコウガ(水)
92.5〜110.2% 乱1(62.5%)
炎の牙
H204B123テッカグヤ
34.3〜41.1% 確3
H181B201ナットレイ
48.6〜59.6% 乱2(97.3%)
大文字
H172D90エアームド
48.8〜58.1% 乱2(98%)
H181D168ナットレイ
48.6〜59.6% 乱2(97.3%)
毒突き
H175B135カプ・レヒレ
44.5〜53.7% 乱2(33.2%)
H181B115ジャローダ
50.8〜60.7% 確2
- 被ダメ
(特殊)
C200カプ・テテフ@こだわり眼鏡のムーンフォース
81.1〜95.6% 確2
C232メガリザードンYの大文字(晴れ下)
26.5〜31.8% 確4
同目覚めるパワー氷
54.1〜63.7% 確2
C172ロトム(FC)の目覚めるパワー氷
40.5〜48.3% 確3
同Zハイドロポンプ
44.9〜52.6%
C197霊獣ボルトロスのZ気合い玉
35.2〜41.5%
同目覚めるパワー氷
44.4〜54.1% 乱2(37.5%)
C155ゲッコウガの冷凍ビーム
81.1〜94.6% 確2
C147カプ・コケコ@命の珠のマジカルシャイン
≒C187メガライボルトの目覚めるパワー氷
42.5〜52.6% 乱2(9.4%)
C179ウツロイドの目覚めるパワー氷
42.5〜50.2% 乱2(0.39%)
C205ウルガモス(Cランク+1)のZ虫のさざめき
75.3〜88.8%
C222ギルガルド(Cランク+2)のシャドーボール
49.7〜59.4.% 確2
(物理)
A170ギルガルド(Aランク+2)の影討ち
32.3〜38.1% 乱3(96.3%)
A156ミミッキュの影討ち
14.9〜17.8 乱6
同じゃれつく
66.6〜79.2% 確2
A177メガガルーラの猫騙し
16.4〜20.2(+4.1〜5.0)%
同捨て身タックル
49.7〜59.4(+12.4〜14.8)%
A200カプ・ブルルのウッドハンマー(GF下)
84.5〜100% 乱1(6.3%)
A207メガギャラドスの氷の牙
86.9〜102.4% 乱1(12.5%)
A182メガリザードンXのドラゴンクロー
89.8〜105.3% 乱1(31.3%)
立ち回り
基本的には後続に据え、役割対象に繰り出します。回復ソースを持たないので極力半減技、無効技を読んで繰り出していきましょう。ときには交代読み交代なども駆使しながら、なるべく負担を軽減することを意識して立ち回ってください。また、生半可な特殊攻撃や役割破壊技、Z技ですら余裕で耐えるので、特殊エースに対するクッション、ストッパーとしても役立ちます。相手はスカーフや襷を想定しているので、持ち物を偽装した立ち回りをして攪乱するのも面白いですね。
ただ、仮想敵の中にも霊獣ボルトロスのような受け出しが困難な相手や回復木の実などでこちらの遂行を妨げられる場合も当然あるため、ガブに一任した構築、選出、立ち回りをしないよう心掛けてください。
【仮想敵の中で厳しい相手一例】
- 霊獣ボルト全般(C特化、珠、悪巧みが特に無理)
電気技を読んでなるべく無傷で対面させたいところ。
- カプ・コケコ(カプZ、瞑想+フェアリーZ)
こいつの崩し性能高すぎませんか!?
Z技を消費させたと割り切るしかありません。
- HBベースめざ氷持ちFCロトム@回復木の実
岩石封じが抜群で入るヒートはともかく、ウォッシュは逆鱗で削って後続に託すしかないです。
などなど
先にも述べましたが、ASガブとは全く別の生き物ですので、新種のポケモンだと思って使ってあげてください。
相性の良い味方
- カプ・レヒレ
チョッキ地面枠と相性抜群の相棒。ガブレヒレの並び。
特性ミストメイカーによってガブをサポートでき、ゲンガー、ウルガモス、ロトム等に対して安定するようになります。また、ガブに飛んでくる龍技を半減できるのもポイント。相性補完自体も優れており、ガブの役割対象である電気タイプを呼び込み、ガブの弱点である氷、龍技を受けることができます。
- テッカグヤ
ガブが苦手なフェアリーを受けることができ、炎、電気タイプを呼び込むため、こちらも相性補完に大変優れています。また、宿り木で回復ソースのないガブをサポートできます。
- ナットレイ
こちらもテッカグヤ同様フェアリーへの後出しが利き、宿り木でガブのサポートができます。鮫肌と鉄の棘で接触技主体の相手をゴリゴリ削り、味方の攻撃圏内に入れやすいのも良いところ。上記のカプ・レヒレとも相性抜群です。
最後に
ここまでご覧いただき誠にありがとうございました。
チョッキガブリアスいかがだったでしょうか。ネットで色々調べてみてもチョッキガブリアスに関する考察記事はほとんどなく、開拓が進んでいない型なのだと感じ、今回の投稿に至りました。
今回は、型の直接的な考察に入る前に長々と説明が入ってしまい、冗長になってしまったかもしれませんが、この育成論がガブリアスの型のさらなる開拓のきっかけになれば幸いです。がんばれガブリアス。