はじめに
こんにちは。むちころ犬と申します。
今回はかなりマイナーではあるものの、独自の個性を持つポケモンであるバチンウニについて考察していこうと思います。著者はつい最近まで"パ"チンウニだと思っていました
強力な特性と、鎧の孤島で得た事実上の専用技を持つものの、低種族値+絶望的な種族値配分というダブルパンチでなかなか環境的には苦しいポケモンですが、可能な限りランクマッチ上位でも戦える構築を目指します。
採用理由と役割
エレキメイカーと独自の立ち回りにより活躍の場はありますが、「それなりの事故率」と「コンボ必須」という課題が残るため、"負けない事"が重要になってくるランクマッチ上位において単体で強い廚ポケ(特にパッチラゴン)を押し退けてまで投入する旨味は少なく、基本的に採用理由は愛とさせて頂きます。
バチンウニバチンウニの弱み
いきなりですがまずはバチンウニがなぜマイナーなのかを考察した上で、今回の型の説明に移ろうと思います。
このポケモンがランクマッチでほぼ見かけない原因は
- 低種族値かつ両刀よりのステータス、加えてBDに比べて露骨に低いHといった配分の悪さ
- 攻撃技のレパートリーの少なさ
主にこの2点が原因かと思います。
というより、むしろ強みは特性だけと言っても過言はないです。
育成において各々の「強みを活かす」運用は鉄板ですが、この手の致命的な弱点を複数持つポケモンに関しては、まず「弱みを消す」事に重点を置かないと「強みすら活かせない」場面が顕著となり、結果としてパーティにこそいるものの、選出自体ほぼ出来ないという事なりかねません。
そこで、以下の方法によりバチンウニの弱さの根本を可能な限り緩和していきます。
- エレキシード、じゅうでんの採用による耐久力の補強
- エレキメイカー+じゅうでんライジングボルトによる対特殊方面の強引な突破力
まず1についてですが、エレキメイカーと合わせて即時発動となるエレキシードを組み合わせ、開幕からBを一段階上げる事で「じこさいせい」込みで物理に対して厚い役割を持たせます。
加えて技「じゅうでん」によってDを補強する事で、特殊に対してもある程度有利に打ち合いが出来る耐久を確保します。
続いて2ですが、技範囲の狭さ自体はどうしようもない問題であるため、Dを上げるついでに威力倍のライジングボルトで無理矢理高負荷を掛けようという結論です。
無振りでも、EF(エレキフィールド)+じゅうでん+2倍ライジングボルトの火力指数は凄まじく、参考程度に無振りのゴリランダー程度の耐久なら半減でも最大85%程のダメージが入ります。
これらを踏まえた上で『耐久ポケモン並みの固さと、それなりに高い突破力を持った特殊電気アタッカー』としてのバチンウニを紹介していきます。
立ち回りが少々複雑なため、ある程度対戦に慣れた方向けのポケモンとなります。
特性
エレキメイカー
確定です。
現状バチンウニ唯一の個性であり、「ライジングボルト」の性能を最大限使うための鍵になります。
今回の型では後述するエレキシード発動のためにも必須になります。
EF展開によってあくびループを止められる点も地味に優秀です。
持ち物
エレキシード
確定です。
B特化で育成する事で、タイプ強化アイテム持ち、特化125族、一致120技まで高確率で2発耐える事が出来ます。
イメージ的には『特化ヌオーより一回り固い』くらいの感覚で大丈夫です。
耐性面で優秀な電気タイプであるため、「じこさいせい」と合わせてなかなかの粘りを見せてくれます。
性格
ずぶとい
バチンウニの種族値的に「のんき」でも対した違いはありませんが、ずぶといでさえ低個体値ならトリル化ではほぼ間違いなく先制が出来るため、「イカサマ」のダメージ低下を意識して性格はこれで確定とします。
努力値配分
H252
B252
C4
物理耐久に特化した配分とし、余りをCに振っています。
理由は最初に触れたように『バチンウニの弱点を消し、選出機会を作るため』です。
C特化強化アイテム持ちバチンウニのライジングボルトは、半減でさえH振りのフシギバナが2発で溶ける程の火力が出ますが、H振りだけ=『無振りウインディ程度の耐久に絶望的なS』となってしまい、高火力が飛び交う現環境ではそもそも行動する事すらままなりません。(トリックルームを用いた専用構築をするなら別ですが、それ以外で火力追究をするなら、物理特殊の違いはありますがパッチラゴンを使用した方が遥かに安定します)
Cがほぼ無振りでも、「じゅうでん」からの「ライジングボルト」で高火力自体は出せるため、専用構築を組まない場合は扱いやすさ的にこの配分がベターかと思います。
「じゅうでん」を使う以上D振りでも良さそうですが、環境が物理偏重である事+エレキシードが即時発動である事を踏まえてBを優先しています。 種族値の関係上それでも厳しい場面が多々ありますが、愛で乗り切って下さい。
技構成
確定技
ライジングボルト
事実上{パチンウニ}専用技。というかバチンウニのため"だけ"に作られたと言っていいレベルの主力技です。相手EF下で威力が2倍になるため、飛行、ふゆう以外に対して威力140+1.3倍の補正となります。
後述する「じゅうでん」と合わせて耐久型としては異常な火力を実現出来ますが、フィールド展開が5ターンである以上、無制限に何発も撃てる訳ではないです。この技の圧力が高いためか、半減出来ない相手に対面から積みの起点にされる事はあまりありません。
ただ、この技だけを持ってパッチラゴンとの差別化とはいかないため、下記の技で違いをつけていきます。(あちらは物理受けだろうと無理矢理突破出来る火力があるため、物理か特殊か程度の違いでは差別化に乏しい)
じゅうでん
足りないDを補いつつ、ライジングボルトの火力を増強します。相手の物理の交換際に撃てると、半減特殊が相手でもまともに打ち合える耐久と火力を得る事が出来ます。
ただ「読み」を必要とする点がネックです。
効果は単発なので、物理に対しては「ライジングボルト」を2発打つのと変わりませんが、回復を連打してEFを枯らそうとする不届き者を一撃で落とせる場合があります。
じこさいせい
対物理に対して強く出られるようになります。
EFが切れたとしても、後述するねっとうと合わせる事で物理受けとしての機能は維持出来ます。
ある意味パッチラゴンとの最大の差別化要素になります。
以下選択技です。
ねっとう
物理受けとしての遂行技+苦手な地面に対する役割破壊を兼ねます。
ただ元々の火力が悲惨なため、この技ではH振りカバルドンすら確定3発となってしまいます。
ハイドロポンプ
地面タイプに対する役割破壊に重点を置く場合に。
これでようやくカバルドンが中乱数2発になります。
おきみやげ
サポートも兼ねる場合に。地面タイプには極端に弱くなりますが、物理受けという役割的には、後出しからアタッカーを止め、弱体化させて退場という動き自体はかなり強く、また成功率も高いです。加えてEF展開によって「あくび」等が入らなくなるため、エースが催眠対策を取らなくて良くなるのも評価点です。「ライジングボルト」の印象が強いため「ちょうはつ」も受けにくく、この手のポケモンにしてはよく通る印象です。
素の火力がなさすぎるため、「ねっとう」や「ハイドロポンプ」が焼け石に水になる場面(D振りカバルドンやトリトドンなど)もあるため、割りきって味方に託す方が活躍の場を増やせるかと思います。
ふいうち
コメント欄より御意見を頂いたので記載します。
無充電ライジングボルトの微妙に足りない火力の補強、及びがんじょう、襷対策として。
これを投入する場合は性格を「のんき」にして下さい。火力の補強とはいっても、Aに努力値を振っていないためこれで確定がとれるという場面は少ないですが、無振りエースバーンに22%以上のダメージ(格闘以外)が見込める事から、ダイマ消費後なら後出しから勝てる目があります。
注意点としては、対地性能の低下と搦め手がなくなる事で「本当に何も出来ない」という場面が増える事でしょうか。
何でも一人でこなせるようなポテンシャルがなく、耐久をエレキシードに頼っているため交代も悪手になりやすいバチンウニにとって、「味方に繋ぐ」という行動を取れる点は特筆すべき点ですので、確定欄は『ライジングボルト』『じゅうでん』『じこさいせい』『おきみやげ』とします。
立ち回り例
超火力は難しいですが、並程度の物理アタッカーならエレキシード込みで受けきれる場面が多いため、これらに対しての後出し、もしくは遂行速度の遅いドヒドイデアーマーガア等の受けに対する後出しを狙います。
じゅうでんライジングボルトを積極的に狙うなら、被弾のない死に出し、もしくは先発で運用しましょう。
一つの試合で役割をスイッチする場面も出てくるため、今が「受けとサポートをメインとする」時なのか「じゅうでんライジングボルトで負荷を掛ける」時なのかを的確に判断して運用して下さい。
ちなみに対面でのフィールドの取り合いとなった場合、Sの関係上確実にEFを展開出来ます。
与ダメージ計算
(小数点以下は四捨五入とします)
ライジングボルト EF込み
じゅうでん時は約2倍のダメージとなります。
無振りエースバーンエースバーン…78%〜93%
無振りゴリランダーゴリランダー…36%〜43%
無振りミミッキュミミッキュ…72%〜84%
無振りドラパルトドラパルト…37%〜44%
無振りウーラオス(いちげき)ウーラオス(一撃)…82%〜97%
同連撃…165%〜195%
無振りトゲキッストゲキッス…52%〜64%(飛んでいるため)
H252ウインディウインディ…58%〜69%
H252ハッサムハッサム… 65%〜77%
H252ドヒドイデドヒドイデ…90%〜107%
H252ポリゴン2ポリゴン2…35%〜41%
H252ニンフィアニンフィア…38%〜45%
無振り「じゅうでん」なしでもかなりのダメージが期待出来ますが、全体的にもう一歩感は否めません。
最も、耐久型と考えれば十分な数値ですので、EF下であれば広範囲の物理アタッカーに対し、対面有利と言えそうです。
「じゅうでん」ありなら半減でも凄まじい火力を叩き出します。
ハイドロポンプ()内はねっとう
H252カバルドンカバルドン…47%〜56%(34%〜41%)
無振りドリュウズドリュウズ…60%〜70%(43%〜52%)
D252ドサイドンドサイドン(ハードロック)…70%〜82%(51〜60)
H252バンバドロバンバドロ…44%〜51%(32%〜38%)
ふいうち
Aが無振りであるため、ダメージは参考程度に。
無振りエースバーンエースバーン…22%〜25%
無振りゴリランダーゴリランダー…17%〜20%
無振りドラパルトドラパルト…42%〜50%
無振りウーラオス(いちげき)ウーラオス(連撃)…8%〜10%
被ダメージ計算
対物理
エレキシード込みの計算となります。
Bを一段階上げてギリギリの耐久となる事が多いです
A252ゴリランダーゴリランダー@命の珠
ウッドハンマー…43%〜50%
10まんばりき…45%〜54%
ドラムアタック…28%〜34%
A252エースバーンエースバーン@命の珠
とびひざげり…43%〜51%
かえんボール…40%〜47%
ギガインパクト…50%〜60%
A252ウーラオス(いちげき)ウーラオス@命の珠
インファイト…43%〜51%
ウーラオス(いちげき)に関しては、Bを上げてもそれぞれ確定急所技によって2発で突破されます。
A252ミミッキュミミッキュ@命の珠
シャドークロー…21%〜25%
じゃれつく…26%〜31%
かげうち…12%〜15%
A252ドラパルトドラパルト@命の珠
ドラゴンアロー…35%〜41%(2発分)
ゴーストダイブ…31%〜37%
とんぼがえり…16%〜19%
特化ハッサムハッサム@命の珠
バレットパンチ…11%〜14%
とんぼがえり…28%〜34%
特化ギャラドスギャラドス@命の珠
たきのぼり…31%〜37%
じしん…52%〜62%
特化マリルリマリルリ
たきのぼり…27%〜33%
じゃれつく…31%〜37%
対特殊
特化FCロトムロトム
()内は「じゅうでん」を撃った場合
オーバーヒート…77%〜92%(52%〜62%)
ハイドロポンプ…66%〜78% (45%〜53%)
厳しい数字ですが、交換際に「じゅうでん」を打てれば回復連打で対抗は可能です。
C252ドラパルトドラパルト
りゅうせいぐん…54%〜65%(37%〜43%)
シャドーボール…34%〜40%(22%〜27%)
特化ギルガルド(シールド)ギルガルド
シャドーボール…59%〜69%(39%〜47%)
「じゅうでん」を利用して耐久が出来るのはだいたいこの辺りの火力帯までとなります。
特化アシレーヌアシレーヌ
うたかたのアリア…60%〜72%(41%〜49%)
ハイドロポンプ…74%〜88%(50%〜60%)
相性の良い味方
ウルガモスウルガモス
強力な積み技である「ちょうのまい」を覚えるため、「おきみやげ」採用時には優秀な組み合わせとなります。
ウルガモスの苦手な物理、特に飛行を半減できる点も評価点です。
ギャラドスギャラドス(いかく)
物理に対してバチンウニが非常に強くなる組み合わせです。「おきみやげ」による「りゅうのまい」のサポートに加え、バチンウニの耐久をいかくによって擬似的に上げる事で物理流し性能に磨きを掛け、じゅうでんライジングボルトを決めやすくもなります。弱点の補完も○です。
カメックスカメックス
確定欄の構成では地面に対する打点がないため、それに対する解答として優秀です。
扱い方はギャラドスに近いですが、こちらはEFの催眠無効の恩恵を受けますので、採用率が高いカバルドンに対してとても強くなります。
バチンウニでカバルドンを釣り出し「おきみやげ」で退場する事で、カメックスが安全に「からをやぶる」からのダイマックスに繋げる事が出来ます。
扱う上での注意点
低種族値故に、このバチンウニはエレキフィールドがあってようやくまともに戦えるポケモンです。
ダイマックス技等でフィールドを張り替えられると、エレキシードによって最低限の物理受け性能は残りますが、相手に与える圧力が「おきみやげ」くらいしか本当にありません。
「ダイマックスを切られる」と察知出来た時は、残り体力に関わらず「おきみやげ」を押す思い切りも、時には必要になってきます。
耐久力をエレキシードに頼っているため、EFが切れても無策で引っ込める事はおすすめしません。
おわりに
いかがだったでしょうか。
前作で暴れまわった守護神のおかげで大幅な弱体化を受けてしまった「エレキメイカー」ですが、ライジングボルトの追加もあり、なんとかギリギリ実用に耐えうる性能にはなっているかと思います。
数値的に足りない部分はどうしてもあるので、愛と実力と控えでなんとかカバーしてあげて下さい。