はじめに
- この論に出てくるポケモンは特に記述がない限り理想個体を想定しています。
- ダメージ計算はVS SWSH及びSoldier Calc.を使用しています。
- 一般的に認知されている程度の非公式な略称や単語を使用します。
DM=ダイマックス
- 本育成論の充実のため、コメントでのご提案・ご指摘お待ちしております。
- 構築や立ち回りの相談等はTwitterのDMの方に送っていただけますと幸いです。
役割
- カプ・レヒレが元々持っている役割
・水・妖の優秀な耐性と高めの耐久力によるサイクル能力
特に両ウーラオス(いちげき)ウオノラゴンエースバーンヒヒダルマ(ガラル)等受けにくいポケモンへの受け出し性能がある程度保証されているのが優秀です。
・ミストメイカーによるあくびループ切りを始めとした状態異常対策
カバルドンラグラージユクシー等あくびで起点作りを狙ってくるポケモンを阻害・牽制でき、後続のアタッカーも火傷・麻痺に怯えることがなくなります。後続に擬似的に竜耐性を付与できるのも地味に強力。
- スカーフを持たせることによって得られる役割
・スカーフ込みS実数値225による上からの撃ち合い、終盤のスイープ性能、役割破壊
最速フェローチェドラパルトアーゴヨンエースバーン等の高速アタッカーや、準速S+1(スカーフ)ランドロス(霊獣)ウーラオス(いちげき)ファイヤー(ガラル)や最速S+1(スカーフ)ウオノラゴンパッチラゴンカイリューバシャーモ等のS上昇中速組、ダイジェット前提でSを落としているサンダー等の上から抜群技で負荷をかけていくことができます。またこれらのポケモンの安易な後出しを許しません。沈みにくいそこそこの耐久と確定2発には持っていけるだけの最低限の火力、そこにフェローチェ以上の素早さが加わることで、撃ち合い性能が飛躍的に向上します。
主な役割対象:エースバーンランドロス(霊獣)ウーラオス(いちげき)ドラパルトウツロイドウオノラゴンカイリュードリュウズフェローチェアーゴヨンガブリアスファイヤー(ガラル)ボーマンダパッチラゴンバシャーモカプ・コケコ(使用率50位以内順位順)
・スカーフトリックによる受け・起点作り(・積み)ポケモンの機能停止
対受けループ・展開構築の手段も持ち合わせています。スカトリだけで受けループを壊滅させることはできませんが、崩しの取っ掛かりを作ることが可能。その他、性能を持ち物に頼っているポケモン(輝石、弱保持ちなど)を弱体化させられるのもポイントです。
注意点もありますが、詳しくは技構成の項目にて。
主な役割対象:ポリゴン2カバルドンナットレイテッカグヤドヒドイデラグラージクレセリアエアームドラッキーピクシーカビゴンヌオーサニーゴ(ガラル)(使用率順)
以上に挙げた役割やその対象を参考に、ご自身の構築の穴埋め(補完枠)として採用する形が主になるかと思います。
構成
- 持ち物
こだわりスカーフ
コンセプトのため確定。カプ・レヒレの持ち物としては現在2位(投稿時)ということもあり、意表は突けないと思っておく方が賢明です。
- 調整
臆病 C252 D4 S252
最速フェローチェドラパルト、準速S+1(スカーフ)ランドロス(霊獣)ウーラオス(いちげき)ファイヤー(ガラル)、最速S+1(スカーフ)ウオノラゴンパッチラゴンカイリューバシャーモ等まで意識した調整。S上昇をしていないほぼ全てのポケモンの上を取れます。スカーフ込みS実数値225。
なるべく負荷をかける為Cに252ぶっぱ。与ダメージ計算をご覧いただければ分かりますが、これでもかなりギリギリです。
余りはDに振ることでC172振りウツロイド(ビーストブーストでSが上がる調整)のヘドロウェーブを確定耐えできるようになる為そちらを推奨します。
※本論末尾「補足」にて調整別案を記載。気になる方はご覧ください。
- 特性
ミストメイカー
「役割」の項目でも述べた通り、相手の状態異常戦法をカットできる強力な特性です。
※本論末尾「補足」にてテレパシーについて言及。気になる方はご覧ください。
- 技構成
確定欄の4つでほぼ固定です。
・ムーンフォース
中威力命中安定のタイプ一致技。外す理由がありません。特殊アタッカーに対して3割でCダウンを引けると、対面性能・サイクル性能共に上がり美味しいです。
・波乗り
タイプ一致技2枠目。眼鏡や瞑想といった火力アップ手段が無いスカーフ型ですが、ダイストリームの雨によるゴリ押しも可能です。型の性質上、対面的な立ち回りであれば複数回連続で同じ技を撃ち相手を突破する為、またサイクル的立ち回りであれば技外しによるプラン崩壊のリスクを避ける為、命中不安のハイドロポンプは候補外とさせていただきます。
そもそも期待値(威力×命中)は波乗り>ハイドロポンプですし…。
・冷凍ビーム
環境にぶっ刺さっていると評される氷技枠。水技枠と同様、命中率の問題で吹雪は不採用となります。水・妖と若干技範囲が被っていますが、氷4倍勢ランドロス(霊獣)カイリューガブリアスボーマンダや、後出ししてくるサンダーゴリランダー等へかなりの負荷をかけることができます。
・トリック
「役割」の項目でも述べた通り、これを持つだけで役割範囲がグッと広がります。また、DM権をカプ・レヒレに切る場合のダイウォール枠としても便利です。
注意点として、安易にトリックを打ってはいけないことが挙げられます。「持ち物」の項目で述べたようにスカーフカプ・レヒレはもはやメジャーであり、スカトリはかなり警戒されます。また相手の裏に「スカーフを持つことで役割対象になる相手(役割の項目参照)」がいるにも関わらずスカーフを手放してしまえば、その後の立ち回りが非常に厳しいものとなってしまうでしょう。
剣舞ミミッキュや瞑想カプ・レヒレのような火力の上がる積み技を持つ相手にも注意。積み技で拘らせても、DMを切られると上がった火力で普通に殴られます。またドヒドイデにトリックを打つと、黒いヘドロを押し付けられ耐久がガツガツ削られてしまうので、体力管理を考えて選択すると良いと思います。
※本論末尾「補足」にてその他の技について言及。気になる方はご覧ください。
ダメージ計算
技を拘っている関係上、相手に対して最適な技を選択できない状況が多々起こります。全てを想定して記載すると膨大な量になってしまう為、ある程度省略させていただきます。
- 与ダメージ
・ムーンフォース
※ダイフェアリーは約1.37倍、目安として73%×1.37≒100%
無振り水ウーラオス(いちげき) 113.1~133.7% 確定1(悪に対しては2倍)
無振りドラパルト 103.0~121.4% 確定1
無振りウオノラゴン 95.7~113.9% 乱数1(75.0%)
H4フェローチェ 187.7~221.7% 確定1
無振りファイヤー(ガラル) 66.6~80.0% 確定2
無振りパッチラゴン 106.6~127.2% 確定1
無振りカプ・コケコ 57.9~68.2% 確定2
H252カプ・レヒレ 29.3~35.5% 乱数3(19.31%)
H252バンギラス(砂下) 43.4~52.1% 乱数2(5.85%)
・波乗り
※ダイストリームは約1.45倍、目安として69.5%×1.45≒100%
D4エースバーン(炎) 100.6~120.0% 確定1
H252ランドロス(霊獣) 77.5~91.8% 確定2
H252D4カバルドン 75.3~89.3% 確定2
H4D76ウツロイド 51.8~61.6% 確定2
無振りドリュウズ 95.1~113.5% 乱数1(75.0%)
H4カミツルギ 54.0~64.4% 確定2
H252ヒードラン 60.6~72.7% 確定2
H252ドサイドン 135.1~159.4% 確定1
無振りバシャーモ 108.3~127.7% 確定1
無振りマンムー 100.5~120.0% 確定1
H252ヒートロトム 73.8~89.1% 確定2
・冷凍ビーム
※ダイアイスは約1.45倍、目安として69.5%×1.45≒100%
無振りサンダー 54.5~65.4% 確定2
H252サンダー 45.6~54.8% 乱数2(53.9%)
H252ランドロス(霊獣) 123.6~145.4% 確定1
H252ゴリランダー 54.1~63.7% 確定2
H4カイリュー 50.2~59.8% 確定2(マルチスケイル込み)
H4アーゴヨン 72.4~85.9% 確定2
H4ボルトロス(霊獣) 65.8~77.4% 確定2
H4ボーマンダ 119.2~140.3% 確定1
- 被ダメージ
※「↑」=性格補正
A252悪ウーラオス(いちげき)
暗黒強打(インファイト) 31.7~37.2% 乱数3(87.76%)
不意打ち 18.6~22.0% 乱数5
毒突き 56.5~67.5% 確定2
毒突き+不意打ち 確定耐え
暗黒強打(インファイト)+毒突き 78.91%耐え
A252↑ウオノラゴン
先制エラがみ 57.2~67.5% 確定2
先制エラがみ+後攻エラがみ 97.27%耐え
A252珠エースバーン
跳び膝蹴り 41.3~48.2% 確定3
ダイジェット 83.4~97.9% 確定2
ダストシュート 150.3~179.3% 確定1
A252↑ヒヒダルマ(ガラル)
氷柱落とし 38.6~45.5% 確定3
地震 60.6~71.7% 確定2
C172ウツロイド
ヘドロウェーブ 82.7~99.3% 確定2
C+1メテオビーム 78.6~93.1% 確定2
C252↑サンダー
10万ボルト 91.0~107.5% 乱数1(37.5%)
ダイジェット 70.3~83.4% 確定2
C252アーゴヨン
ヘドロウェーブ 88.2~104.8% 乱数1(25.0%)
A252↑フェローチェ
トリプルアクセル(全弾命中) 23.4~28.9% 乱数4(99.65%)
跳び膝蹴り 38.6~45.5% 確定3
毒突き 63.4~75.8% 確定2
トリプルアクセル+毒突き 84.18%耐え
A252↑ランドロス(霊獣)
ダイジェット 81.3~95.8% 確定2
C252珠カプ・コケコ
10万ボルト 91.7~107.5% 乱数1(37.5%)
苦手なポケモン
対面で勝てない相手はもちろん多く存在しますが、本論のカプ・レヒレの役割を踏まえた上で、その遂行が困難な相手のみ記載しています。
(初手やお互い体力満タンな対面では勝てないが、ステロやサイクルの中で最終的にカプ・レヒレによる突破がある程度容易な相手は省略。例えば珠アーゴヨン等)
上から耐え難い弱点技を突きつけられます。ゴリランダーに関しては、後出しでフィールドを奪えれば1発撃ち込むことは可能です。
有効打が無いことに加え、スカーフトリックが成功しても黒いヘドロを押し付けられてしまうデメリットがある為、なるべく他の味方で処理したいところです。
- 攻撃的な技を持つ特殊受け チョッキバンギラスヤドキング(ガラル)(いわゆる非純正受けポケ)
スカーフトリックをしても機能停止までは追い込めず、こちらが高火力というわけでもないので数値受けを許し、殴り負けます。チョッキバンギラスをカプ・レヒレで処理しなければならない場合は、DMを切りダイストリームで天候を奪いつつ押し切りましょう。
相性の良い味方
- 耐久ナットレイ
完璧な相性補完が取れたポケモンです。特にカプ・レヒレの苦手とするレジエレキゴリランダーに強く出られるのが高評価。宿木+ステロでダメージを蓄積させ、スカーフカプ・レヒレのスイープを補佐します。
使用率1位のサンダーにDMを切られてもサイクル崩壊を起こさないようにする要員として。この場合ゴリランダーが重くなるので、上記のナットレイと同時採用すると安定したサイクルを組めます。
- サイクル仕様ランドロス(霊獣)
こちらも相性補完が優秀且つ威嚇・とんぼ返り・ステロといった優秀なサイクル要素を持ちます。
※あくまでもカプ・レヒレ視点での「相性の良い味方」ですので、必ずしもこれらのポケモンの入った構築に本カプ・レヒレの相性が良いとは限りません。また逆にこれらのポケモンを入れないと真価を発揮しないというわけでもありません。「役割」項目を参考にして、構築への採用を判断していただければと思います。
終わりに
役割が多いというのはすなわち選択肢が多いということであり、使い慣れていない方にとってそれはデメリットになることもあるかもしれません。カプ・レヒレ単体で考えるのではなく、パーティ全体で相手を崩していくことを念頭にプランを立てることをお勧めします。
以下「補足」では、論の本筋から逸れ、本論に挿し込むと煩雑になってしまうと判断した情報を補足的に記載しています。テンプレのスカーフカプ・レヒレを扱うにあたって絶対に必要な情報というわけではありませんので、お読みいただかなくても特に問題はありません。
ご高覧いただきありがとうございました。
補足
という名の蛇足
- 調整別案
スカーフを持つことでより多くの相手に上から圧力をかけていく為、CぶっぱのCSベースが基本となります。以下の調整別案は、Sを下げその分を耐久に回した場合に、一応メリットを得られるものを記載しています。
調整別案1
臆病 H60 C252 S196
HOMEのデータ上半数以上のフェローチェが最速個体では無いことから、Sラインを最速ドラパルト抜きまで抑え、余りを耐久に振ることで被ダメの乱数を抑えた調整。Hに60振るだけで例えばC252↑サンダーの10万ボルトが乱数1(12.5%)と信頼できる数値まで抑えることができます。しかしながら、最速ドラパルト抜き(実数値214)は他のポケモンにとっても大きなSライン調整先である=激戦区である為、抜けない相手が出てきてしまいます。
調整別案2
控えめ H76 C252 S180
Sラインを最速アーゴヨン抜きまで抑え、耐久が上がるだけでなく性格補正分火力も上げられる調整。サンダーに対し冷凍ビームで確定2発取れるようになることから、特に対サンダー性能が格段に向上します。が、抜ける相手が減った分役割対象も格段に減ってしまう為、非推奨です。
- 特性テレパシーについて
ご存知とは思いますが、シングルバトルにおいてテレパシーはいわゆる死に特性です。本文にてミストメイカーの利点を述べましたが、採用するパーティが以下のような場合は、そのままデメリットとして返ってくることがあります。
・カバルドンドヒドイデなどで状態異常を積極的に狙っていく戦術を取る
・ドラパルトカイリューパッチラゴンなど竜タイプのエースを通したい
・根性発動や眠るによる体力管理を必須とするポケモンがいる
こういった場合でなおかつ他の役割3点を満たすポケモンを採用したい際、特性テレパシーのスカーフカプ・レヒレを採用すると良いでしょう。
またこのとき技候補として熱湯が新たに加わります。
- 他の技候補について
確定欄4つの技を抜いてまで入れる価値があまりありません。
・草結び
H252ラグラージを1発で落とせません。ミスフィールドのおかげで起点作成型ラグラージに対してそこまで焦る必要はないですし、ヌオーやトリトドンに対してもスカトリで再生技を封じてしまえばムーンフォースで十分です。
・シャドーボール
タイプ的に通りは悪くありませんが、中威力タイプ不一致ということで全く火力が期待できません。皮の剥がれた無振りミミッキュを1発で落とせないので、特に採用する理由は無いと思われます。
・熱湯
特性をテレパシーにした場合、波乗りと選択になります。3割の火傷効果が強力であることは言わずもがなですが、エースバーンウツロイドドリュウズバシャーモマンムーに対する確定数に関わる乱数が大きく落ちる為、ダメージレースを重視するならばやはり波乗り推奨です。