序論-対面性能とは
「対面性能」の意味が分かる人は読み飛ばしてください。
また配分だけ知りたいという方は「各種データ」の項目まで読み飛ばしてください。
バトルで勝てるかどうかは勿論プレイヤーの立ち回りやパーティによるところも多いですが、初手対面の良し悪しも戦況に大きく響いてきます。初手対面が不利であれば、こちらは交代という隙のある選択を強いられる為、そのターンに相手に無償で行動を許してしまうからです。
相手の初手がドラパルトだったけど、自分はフライゴンを出してしまった。フライゴンがやられるのは嫌だから交代しないといけない…相手のドラパルトは一ターン無償で行動できるので、この時点で既に相手にとって有利な試合展開になってしまうわけです。
では、初手対面を有利にするためにはどうすればよいのでしょうか。答えは簡単です。「対面性能」の高いポケモンを出せばいいのです。
対面性能とは、なるべく広い範囲のポケモンを相手にできる性能のことです。多くの相手と戦って勝てることを対面性能が高いと言います。
対面性能が高いポケモンは、得てして「行動保証」を持っています。行動保証とは、不特定多数の相手の前で何らかの仕事ができることを言います。耐性や耐久力を活かして攻撃を耐えて切り返すタイプの行動保証、高い素早さをもって相手より先に行動するタイプの行動保証、特性「化けの皮」や持ち物「気合の襷」によって得られる行動保証、主にこの三つのタイプの行動保証があります。
ミミッキュは最高峰の対面性能を誇るポケモンとして知られていますが、これは特性による行動保証に加え、広い範囲に等倍で通せるフェアリー+ゴーストの技範囲・ゴリ押しによる突破可能範囲を広げられる剣の舞など、多くの相手と戦うにあたって有利な要素を多く兼ね備えているからです。
前述の通り、対面性能の高いポケモンは先発に向いています。初手対面を有利に運ぶことで、試合の設計がやりやすくなるからです。
というわけで、対面性能の高いポケモンは初心者の方に特にお勧めですし、もちろん上級者の方にとっても使いやすく頼もしい存在でしょう。
本論で紹介するジュラルドンは、持ち前の耐性を補強し対面性能を高めることで、ミミッキュドラパルトギャラドスを始めとした多くの相手と互角以上に戦えるようカスタマイズしたものとなっています。
余談ですが、対面性能の高いポケモンを六匹集めたパーティを「対面構築」といいます。対面構築はどんな相手にも比較的安定して勝てる為、ポケモン対戦が本格化した2010年前後からずっとポケモン対戦界の頂点に君臨し続けています。
考察経緯ジュラルドン
ジュラルドンは鋼/ドラゴンという優秀なタイプと高めの物理耐久力を有し、タイプ一致の地震やインファイトでもない限りはほぼ確実に一撃耐えてくれます。
特攻のステータス自体はやや高めである程度ですが、高威力技である竜星群+これを無効にするフェアリーへ弱点を突ける鋼技を覚える為、攻撃性能も上々です。
「水/飛行半減」「竜でありながら竜技等倍」「鋼でありながら炎技等倍」「鋼タイプで物理耐久が高め」などのポイントを踏まえ、特にミミッキュドラパルトギャラドスの3体に対して強く出られる型を目指します。
一方で、ジュラルドンには見過ごせない欠点があります。まず挙がるのが著しく低い特防で、一致等倍技で致命傷を負ってしまうほどです。ドラパルトは特殊型もいる為、一発すら受けられないようではドラパルトに強く出られるとは言えません。
また、素早さ種族値はいわゆる中速帯に位置しており、ミミッキュには追い抜かれてしまいます。物理耐久が高めであるとはいえミミッキュの等倍最高火力を受けきれるほどではない為、これも解決しなければなりません。
逆に申しますと、これらの欠点を解決できるならば、ジュラルドンは攻撃性能も防御性能も素早さもそこそこの水準を達成したポケモンとなり、ミミッキュドラパルトギャラドスの3種族のみならず、他のポケモンとも幅広く戦えるようになるはずです。
そこで、不足する特防と素早さを補う為、とつげきチョッキとがんせきふうじを搭載しています。これにより上記の欠点を克服して仮想敵(ミミッキュドラパルトギャラドス)に安定し、さらにある程度の対面性能を獲得したことで、先発登板・対面戦闘をある程度こなせるようになりました。具体的な仮想敵は一つ下の項目で例示します。
対面構築寄りのパーティに採用する場合、対面構築において重要なアイテムである気合の襷・命の珠を使わずして対面性能を有している点も強みの一つとして挙げられます。
他のポケモンにこれらの強力なアイテムを回せることで、自身の対面性能を確保しつつパーティの総合力の向上にも一役買っているというわけです。
採用経緯は以上です。
仮想敵
二度目ですが、まずミミッキュドラパルトギャラドス。
他ではウォッシュロトムゲンガーインテレオンオーロンゲニンフィアなども有利に戦えると言っていいでしょう。
また、竜+鋼の技範囲と物理特殊ともにある程度の水準を満たしている耐久力により、相手を倒すまで行かなくとも、広い範囲に打点を持つことが可能である為、今挙げたポケモン以外にも不特定多数を相手にすることができます。
逆にナットレイドリュウズギルガルド(シールド)などの鋼タイプやヌオーサニーゴ(ガラル)などにはこちらから有効打が無い為、明確に不利です。
またバンギラストゲキッスには弱点を突けるのに負けます。それどころか下手にラスターカノンを撃つと弱点保険発動の契機を与えてしまいますので、逃げが賢明です。
各種データ
HP/攻撃/防御/特攻/特防/素早さをそれぞれHABCDSと表記しています。
〇性 格:おくびょう
〇特 性:ライトメタル
〇努力値:H60 B4 C100 D116 S228
〇実数値:H153 A103 B136 C153 D85 S147
〇持ち物:とつげきチョッキ
〇技構成:[りゅうせいぐん/ラスターカノン/10まんボルト/がんせきふうじ]
- 特性について
特性はライトメタルで確定です。けたぐり・草結びの威力を下げるためです。他の特性には特にメリットがないように思われます。
- 個体値について
性格は臆病ですが、物理技・特殊技ともに使うため個体値は6Vです。
- 努力値について
- 素早さ
先行ダイマックス(以下「DM」と略します)地震で突破されるのが嫌だったので、最速ギャラドス抜きまで振りました。
岩石封じ1回で最速ドラパルトも抜けるようになります。但し、ドラパルト対面は岩石封じではなく竜星群から入った方が良いです。特性クリアボディにより素早さが下がらない点に加え、相手の型によっては岩石封じ→竜星群が決まらないからです。詳しくは後述します。
もっとも、ジュラルドンvsギャラドスの対面でDMを切られたことは無かったので無意味かもしれません。ジュラルドンにはステルスロック等を使う補助型もいれば、DMを切ったところで攻撃を耐えられない拘り眼鏡型もおり、何をするのかわからないので貴重なDMを切りたくなかった、という心理があるように思われます。
- 耐久
物理方面は陽気A252振りギャラドスの命の珠地震を最高乱数切って(93.8%で)耐え調整です。
特殊方面は臆病C252振りドラパルトの拘り眼鏡竜星群を乱数上から二つ切って(87.5%で)耐える調整です。
珠ギャラドスと眼鏡ドラパルトでは前者の方が個体数が多いだろうという予想に加え、竜星群の命中は9割ですので、防御ではなく特防の乱数を甘えました。
- 火力
H4振りミミッキュを化けの皮ダメージ+ラスターカノンで乱数を下から二つ切って(87.5%で)撃破できるラインです。
実際にはミミッキュは命の珠を持っていたり事前に砂嵐等のダメージがが入っていたりするので、落とせなかった経験はありません。
いずれも乱数が絡むギリギリの数字である為、調整ラインはこれで全て確定とします。
- 技について
徹底抗戦(鉄帝光線?)は高火力ですが、反動ダメージで相打ちになる場合が多い上、ミミッキュに一度逃げられると次のじゃれつくが受からなくなってしまうことを鑑みてラスターカノンを優先しました。
しかし、不特定多数のポケモンに対して高火力が出せる為、対面性能の向上という面ではラスターカノンより優れている面もあるので、ここは読者の皆様に委ねます。
竜星群/10万ボルト/岩石封じに関しては変更の余地はありません。全て役割遂行に必要な技です。
各論
- vs.ミミッキュミミッキュ(意地/AS252/命の珠)
【ダメージ計算】
じゃれつく 49.0-59.4/乱数2(99.6%)
かげうち 22.8-28.1/乱数4(56.3%)
ラスターカノン 87.0-102.2/乱数1(18.8%)
→+化けの皮スリップダメージで乱数1(87.5%)
【立ち回り】
対面からじゃれつく+影撃ちを耐え、岩石封じ+ラスターカノンでH4振りミミッキュを確定撃破です。
DMを切られるとラスターカノンが半分しか入りませんが、「DM残り2ターン/化けの皮無し/S1段階下降/体力残り半分」のミミッキュなど脅威ではありません。後続で処理してしまいましょう。
なお、HP振りミミッキュは化けの皮スリップ+ラスターカノン+珠ダメージを耐えてきます。耐久に厚い個体が増えるようであれば、徹底抗戦の採用も視野に入るかもしれません。
- vs.ドラパルトドラパルト(陽気/AS252/命の珠)
【ダメージ計算】
ドラゴンアロー 30.7-36.6/単発
ふいうち 28.7-33.9/乱数3(0.9%)
りゅうせいぐん 144.7-170.5
【立ち回り】
特性クリアボディで岩石封じの素早さ下降を防がれてしまうのに加え、もしすり抜けだったとしても陽気珠型のドラゴンアロー+不意打ちは50%程度の乱数とかなり不安ですので、ドラパルト対面は岩石封じではなく竜星群から入りましょう。
襷持ちに竜舞されても、1段階上昇ドラゴンアローをジュラルドンは耐えます。ドラゴンアロー2連だけやばいです。
- vs.ドラパルトドラパルト(臆病/CS252/拘り眼鏡)
【ダメージ計算】
りゅうせいぐん 86.2-101.9/乱数1(12.5%)
シャドーボール 53.5-63.3
【立ち回り】
物理型と戦う場合と行動を一貫させる為、初手から竜星群でいいでしょう。
相手の最高打点を高確率で耐えるので何ら問題ありません。
- vs.ギャラドスギャラドス(陽気/AS252/命の珠)
【ダメージ計算】
じしん 84.9-100.0/乱数1(6.3%)
10まんボルト 102.9-121.6
【立ち回り】
相手が最速でもジュラルドンの方が早いので10万ボルトで処理します。岩石封じを挟む必要はありません。
- vs.水ロトムウォッシュロトム(控え目/HC252/拘り眼鏡)
【ダメージ計算】
ハイドロポンプ 41.1-49.0
りゅうせいぐん 56.0-66.8
10まんボルト 26.1-31.2
【立ち回り】
相手の最高打点を2発耐えるので、相手がジュラルドンより遅ければ3回行動できます。
技は10万ボルト2回から入ります。相手がオボン持ちであれば10万ボルトを2発撃った段階でオボンが発動しますが、この場合はハイドロポンプを3発耐えますので、さらに続けて10万ボルト→竜星群で突破できます。相手が拘り眼鏡持ちであれば、3発目に竜星群を撃って倒してしまいます。
最速ウォッシュロトムには抜かれますが、耐久無振りならば10万ボルト+竜星群で撃破できます。抜かれた場合は2発目は10万ボルトではなく竜星群を撃ちましょう。
なお、ほとんどの場合ボルトチェンジで逃げられるので、以上の細かい想定はラス1対面以外では全く役に立ちません。
- その他
インテレオン→ジュラルドン(臆病/CS252)れいとうビーム 31.3-37.2/乱数3(82.7%)
ジュラルドン→インテレオンがんせきふうじ+10まんボルト 19.3-22.7 + 85.5-100.6/確定撃破
対面から岩石封じ+10万で問題なく撃破できます。対面したことないですが。
オーロンゲ→ジュラルドン(意地/HA252)ばかぢから 66.6-79.7
馬鹿力なんて撃たれたことありませんが、一応持ってても大丈夫ではありますね。
トゲキッス→ジュラルドン(控え目/HC252)はどうだん 58.8-70.5
徹底抗戦を持っていてもDMを切られると落とせません。技構成的にトゲキッスの弱点保険に触れない術がありませんので、ひたすら岩石封じを連打して素早さ上昇を食い止めつつ後続の高速ポケモンで処理するのが最善手でしょう。
相性のいい味方
ジュラルドンで1体持っていき、ゲンガーの道連れで1体持っていき、最後にミミッキュでラス1勝負に勝って締めるという魂胆です。
これは最初に紹介した「対面構築」の基本の勝ち方でもあります。
サニーゴ(ガラル)などジュラルドンが逆立ちしても突破できない連中を倒せるのに加え、ゲンガーに不意打ち・ミミッキュに影撃ちを仕込むことで、ジュラルドンの不足する火力を補ったり、狩り残しを漏らさずに取ったりできます。
ドリュウズに地震撃たれてるだけで3体とも吹っ飛ばされるので、後ろ3体は地面技を押さえられるポケモンにしましょう。
- バルジーナバルジーナ【育成論ソードシールド/21】
お前バルジーナ大好きかよ
地面を無効化できるのであればバルジーナである必要はないですが、ドリュウズやギルガルド(シールド)への安定性という面ではバルジーナが最も優れています。
リンク先の論には無いですが、挑発か叩き落とすを仕込めばサニーゴ(ガラル)を無力化することもできます。
- ギャラドスギャラドス
ドリュウズを牽制できる枠として優秀です。
バルジーナよりも受け性能で劣る分対面性能で優れていますので、ジュラルドンの型と適合しているのはむしろこちらの方であるともいえます。
ナットレイを誰も崩せないので大文字を仕込むことをお勧めしておきます。
余談
既に論の基本は完結していますので、以下は参考程度にどうぞ。
コメントにて岩石封じを切って悪の波動を入れてはどうかとのご提案があり、それに関して読者の皆様から多くの意見が出されましたので、僭越ながらまとめさせていただきます。
- 悪の波動採用メリット
〇ゴースト勢への打点になる
〇DMを切ることで特防ダウンを付与し、突破力向上と対応可能範囲拡大につながる
- 反論
〇ギルガルド(シールド)サニーゴ(ガラル)に対しては火力不足、ゲンガーに対してはむしろ岩石封じの方が効果的
〇そもそも先発向きジュラルドンとDMの相性が悪い上、ある程度対面性能のあるこのジュラルドンにDMを切るより後続に切ったほうが勝利をつかみやすい
〇岩石封じは襷潰し・素早さ下降・ダイジェット含む積みの阻害・相手後続への妨害などを一枠でこなせる有用な技であり、これを切ることはむしろデメリットである
- 調整について
岩石封じがなくともミミッキュに勝てるように防御を上げたうえで、個体数の少ない眼鏡ドラパルトを意識した特防は実用性に乏しいからもう少し下げてみてはどうか?とのご提案です。
→トゲキッスニンフィアや悪波で拘ったサザンドラなど対面しうる特殊ポケモンは多いので、特防はあるに越したことはありません。