エンペルト - ポケモン育成論ORAS・XY

この育成論ではHP、攻撃、防御、特攻、特防、素早さをHABCDSという略称で呼び、また能力値の性格補正については上昇補正を↑、下降補正を↓で表します。。また、ポケモン名等についても、略称を用いることがあります。ダメージ計算は、今回試験的に、このサイトでも育成論を投稿されているplayerさんがつい先日公開された計算機『every』を用いています。海外有名サイト『smogon』の管理人が3DSをかち割って調べた結果に基づいているそうです。また、ことわりのない限り理想個体を想定しています。

　第4世代の御三家ポケモンです。水・鋼という固有タイプを持ち、ある程度のCから冷凍ビームが打てるということで、シュカや風船を持たせて竜対策をする型が印象的なポケモンです。しかし、カイリューのA特化ハチマキ逆鱗を耐えられない等数値がかつかつで扱いが難しく、使用率はそこまで高くないと思います。
　そこで、今回はxy環境で活躍させやすそうなステロあくびエンペルトについて考察してみたいと思います。

　ステロあくびとは、ステロを撒いた状態であくびを連打するだけで、交換してステロダメか、居座って眠りになるかという厳しい択を相手に毎ターン迫ることを指します。この戦法単体ではステロあくび要員に火力がないため、相手に眠りになる択を選ばれた場合、大きなアドをとることができません。そこで、基本的には強力な積みエースを同パーティー内に採用し、ステロあくび要因はそのポケモンのためのお膳立てとして使われます。具体的には、エンペルトが倒れるタイミングであくび効果で相手に眠りを発生させ、エースを死に出しして安全に積めるようにし、ステロで積みポケの微妙に足りない火力を補います。
　ここまでで、ステロあくびについてはだいたい分かったかと思いますので、次にxy環境への刺さり具合を考えてみたいと思います。ステロあくびで痛いのはやはり催眠を対策されることです。そして、催眠対策といえばやはり胞子対策です。また、xyからは粉系の技が草タイプと特性防塵と防塵ゴーグル持ちに無効化されるという仕様が加わりました。
　何を言いたいかというと、要は胞子対策しかできていないパーティーが増えたということです。「催眠対策？メガバナ突っ込んどけ」、「防塵バルジーナで余裕」、「ゴーグルガルドならバレにくい」といったあくびへの対策が甘いパーティーが蔓延しているように感じます。また、寝言の採用率も高くないため、不意を付かれることも少なくなっていると思います。以上より、ステロあくびは以前よりも安定して仕事ができるといえます。砂弱体でもカバルドンが環境に居まくるのがそれを象徴しています。

　このポケモンの採用理由はタイトルを見れば分かる通り、ステロで後発の火力の補助を行い、あくびで積みの起点を作ることです。しかし、似たような仕事ができる有名なポケモンにカバルドン、キモクナーイラグラージ、ユクシーがいます。これらとの差別化を行うためにエンペルトのメリット・デメリットを並べます。

• メリット

1耐性が非常に豊富
　上記ポケモンを差し置いてエンペルトを採用するという上ではこれが一番の決定打になると思います。11の半減・無効というギルガルドに次ぐ豊富な耐性となっています。特にパーティーを組んだ時に一貫しやすいノーマル・岩・飛行・フェアリーを半減できるのが大きく、相性面での穴埋め役として一役買ってくれます。

2ステロあくびが苦手とする一部ポケモンに強い
　まず、ゴツメアローに強いことが挙げられます。カバルドンやラグラージでは鬼火・挑発を入れられるためアローに粘られてしまいがちです。残してしまうと抜きエースもアローを苦手としているため厄介です。しかし、エンペルトは少しCに振るだけでH252D4アローをドロポンで確一にてきるため逃さず刈ることができます。
　また、ステロあくびミラー（最もベーシックなカバを想定）でもやや有利に立つことができます。理由はドロポンで育成論ORAS・XY/359のようなDに補正をかけていないオボンカバを確2にできるため、ちゃんと当ててくれれば相手にステロのみしか撒かせなくて済みます。

3挑発を受けにくい
　新参の方はどう感じるのかはよく分かりませんが、他のステロあくび要因とは違い、エンペルト＠シュカor風船　水技/冷凍ビーム/草結び/アクアジェットというカバ、ラグ、ユクシーよりも明確なフルアタの形があるため、他の3体よりは型ばれするまで挑発をもらいにくいです。実際、PGL統計でも上位4つがこの技構成でステロ率が26.7%となっています。他3体のステロ搭載率はカバルドン82.2%、ラグラージ63.0%、ユクシー93.8%とその差は歴然です。(4月23日確認)

• デメリット

A電気が無効でないこと(弱点)
　ステロあくび要因としては、割と手痛いデメリットとなります。まず一つに電磁波を受けてしまうということが挙げられます。つまり、麻痺バグによりあくびループが途切てしまう可能性があるということです。さらに、電気が弱点なのでボルトロスには滅法弱いです。
　もう一つは蜻蛉ルチェンに非常に弱くなってしまう点です。他のステロあくび要因も眠らせずに倒されてしまうので苦手としていますが、地面タイプの場合ボルチェン無効なので、相手は蜻蛉に頼るしかなく、ステロダメを多く蓄積することができます。対して、エンペルトはおおよそ蜻蛉ルチェン1セットで倒されてしまうといえるためステロダメが少なくなってしまいます。

B耐久種族値が劣ること
　4体の種族値を並べると、
カバルドン 108-112-118-68-72-47
ラグラージ 100-110-90-85-90-60
ユクシー 75-75-130-75-130-95
エンペルト 84-86-88-111-101-60
となります。耐久方面の種族値を見ると、エンペルトが明らかに劣っています。単純に考えて他の3体よりも等倍で確2、抜群で確1となる場面が増えてしまうといえます。やはり、タイプ耐性を生かした立ち回りが重要となりそうです。

　したがって、他の3体と比べた時のメリットデメリットは以下のようになり、十分差別化できていると思います。
カバルドン…1〜3で勝る、AとBで劣る
ラグラージ…1〜3で勝る、AとBで劣る
ユクシー…1〜3と吠えるでの起点回避で勝る、Bと素早さ(バルジ、ムドー等に挑発される前に行動できる)で劣る

並程度しかない物理耐久を補うため、図太いで確定とします。

あくびとステロを両立させる都合上、激流で確定です。

風船かオボンの選択です。個人的には風船推奨です。
風船
サブウェポンに多い地震を無効化することで豊富な耐性をさらに生かすことができ、他のステロあくび要因と一味違ったものにしやすい。シュカではなくこちらを紹介している理由として1.エンペルトに対し地震しか有効打が無い相手(カイリュー、ガブ、グロパン切りガルーラ等)の前で少ない消耗で1回動くことができるので、次に繰り出す時に豊富な耐性を生かしやすい2.メッセージが表示されるので相手を流しやすく、その隙に仕事がしやすい3.襷ガブに対して、最悪突っ張られても2回動けるので襷潰しができることが挙げられます。

オボン
単純に場持ちが良くなるアイテム。鉢巻きファイアローを強く意識したい場合やあまり地震を打たれないパーティー構築となった場合には候補になり得ます。

風船型
実数値
191-×-144-133-129-81
努力値
H252 B180↑ C12 D60 S4
H-B A252ガブの岩石封じ+地震を確定耐え
H-D C252↑ミトムのメガネボルトチェンジ
C H252D4ファイアローをハイドロポンプで確1
H252D252カバをハイドロポンプでオボン込確2
S余り
B方面に関しては風船を生かし、ガブに対して2回行動できるようにしてみました。D方面は先発で様子見で偶発しやすいロトムに対して最低限ステロを撒けるようにしてみました。本当はH実数値を2落としても耐久調整が崩れないのですが、他に振るところも無かったのでぶっぱになっています。16n-1だからというのは内緒

オボン型
実数値
189-×-149-131-128-80
H236 B220↑ D52
H 4n+1
H-B 意地ハチマキファイアローのフレドラ超高乱数2耐え
H-D C252↑ミトムのメガネボルトチェンジ最高乱数以外耐え
ファイアローに対してさらに余裕を持って行動できるようにしてみました。ハチマキを意識したため、波乗りでも反動込で落ちることを想定してCからも努力値を割かせてもらいました。

• 確定技

ステルスロック
採用理由の一つ。微妙に足りない火力を補ったり(色々ダメ計してるとよくありますよね)、襷・マルスケ潰しをすることにより、エースを止まらなくするのは周知の事実。

あくび
こちらも採用理由の一つ。相手を眠らせることにより、味方が積む隙を作ります。こちらが倒れるタイミングで相手を眠らすのが理想。

ほえる
ライコウやスイクンなどの身代わり系に簡単に積む隙を許してしまうので、ほぼ確定。相手にボルチェン持ち等がいて厄介なときでも、上手いタイミングで使えるとダメージの蓄積を狙いやすい。ステロ吠えるドランのイメージに似てますね。

• 選択攻撃技

ハイドロポンプ
命中不安ですが、HDオボンカバ(補正無し)をオボン込み確2にでき、面倒なミラーを楽にできるので私はこれを採用しています。後、H振りアローも確一にできます。

波乗り
ミラー対策とはいっても命中80は無理という方は。ファイアローは挑発持ちでも引く場合が多く、そうだと割り切れるなら、ステロ込みで余裕で倒せるのでこちらで十分。これを採用する場合、Cを別のところに回してください。

冷凍ビーム、凍える風
どうしてもガブが重いという方には。対面で珠・メガ以外に勝てます。冷凍ビームでガブを確一にはできないため、挑発持ちに対して連打した後、挑発が切れる頃にはエンペルトが先手でステロやあくびを使えるようになる凍える風の採用もあり。タイプ的にエースが苦手とするアロー(ブレバ)耐性を生かした方が個性が出ると思うので、優先度は少し低め。これを採用する場合、Cを別のところに回してください。

• 与ダメ

ハイドロポンプのみC12、他はC無振りで計算してあります。

• ハイドロポンプ

H252D4ファイアロー 186(100.54%)-218(117.83%)
H252D252カバルドン 134(62.32%)-158(73.48%)
カバルドンをオボン込で確1にできます。

D4ガブリアス 78(42.62%)-93(50.81%)
H252ハッサム 84(47.45%)-99(55.93%)
等倍相手には十分な火力がでません。

H252パルシェン
63(40.12%)-75(47.77%)

• 波乗り

H252D4ファイアロー 150(81.08%)-176(95.13%)
H252パルシェン 51(32.48%)-60(38.21%)
D4マンムー 168(90.81%)-198(107.02%)

• 冷凍ビーム

D4ガブリアス 168(91.8%)-200(109.28%)
H4ランドロス 180(109.09%)-212(128.48%)

• 凍える風

D4ガブリアス 104(56.83%)-124(67.75%)

• 被ダメ

すべて風船型の調整で行いました。先発が多いのでいろいろなポケモンと当たるので何を計算するかやや迷ったところがあります。希望があれば追加しますのでコメント欄でお願いします。

• 物理方面

A252ガブリアス
岩石封じ 14(7.32%)-17(8.9%)
地震 144(75.39%)-170(89%)
ハチマキ逆鱗 64(33.5%)-76(39.79%)
先発で偶発しやすいガブリアスは対面したら基本引いてくれる場合がかなり多いので、非常に動きやすいです。今回はB補正を掛けて調整を行ったことでかなり余裕を持たせてあります。

A252メガガルーラ(親/子)
グロパン38(19.89%)-46(24.08%)/18(9.42%)-22(11.51%)
地震 94(49.21%)-112(58.63%)/46(24.08%)-56(29.31%)
恩返しは半減できますが、グロパンの起点になりやすいので、メガガルの型が割れていない状態で突っ張る場合はあくび安定です。

A252↑ハチマキファイアロー
ブレバ 51(26.7%)-61(31.93%)
フレドラ 103(53.92%)-123(64.39%)

A252↑マリルリ
じゃれつく 39(20.41%)-47(24.6%)
アクジェ 18(9.42%)-21(10.99%)
ばかぢから 142(74.34%)-168(87.95%)
馬鹿力+アクジェを耐えるので2回行動できる場合が多いです。S振りは馬鹿力→捨て身にしてある構成が多いと思われるので大丈夫だと思われます。

A252↑珠パルシェン
ロックブラスト 6(3.14%)-9(4.71%)
さすが往年の対パルシェンポケモンですね。

A252マンムー
つららばり 4(2.09%)-5(2.61%)
地震 144(75.39%)-170(89%)
4発+地震までを耐えてくれるので、行動回数を確保しやすいです。

A252リザx
一舞フレアドライブ 169(88.48%)-201(105.23%)

• 特殊方面

ミトム
C4ボルトチェンジ 80(41.88%)-96(50.26%)
C252↑メガネボルトチェンジ 158(82.72%)-188(98.42%)
C252↑メガネドロポン 62(32.46%)-73(38.21%)

C252↑ギルガルドシャドボ 78(40.83%)-93(48.69%)
等倍相手ならある程度動けるといえそうです。

C252メガリザY大文字 153(80.1%)-181(94.76%)

C252↑メガバナギガドレ63(32.98%)-75(39.26%)

C252↑メガネサザン流星群 83(43.45%)-98(51.3%)

　基本的に先発・死に出しで運用し、ステロ→あくびのパターンで起点を作っていくのが理想です。型バレするまでは挑発を受けにくいので動かしやすいです。また、ライコウ・スイクンや明らかにラム持ちのような立ち回りを相手が見せた場合は積極的に吠えるを選択したり、ミラーでドロポンでカバを駆除したりといった臨機応変さも重要となります。
　ですが、相手もステロあくびループに嵌まりきらないようにエンペルトを確一にできそうなポケモンを早々に繰り出したり、風船潰し→高火力地面技を狙ってくることが良くあります。そのような場合に特にエンペルトの耐性を生かすことができます。例えば、先発で相手が風船を潰している隙にステロを撒いておいて一旦引っ込め、再度エンペルトが有利をとれるポケモンが出てきたら死に出しor後出し(残りHP次第)からあくびを連打していくことが可能です。

ウルガモス、バシャーモ、メガリザX(炎系エース)
　まず、ウルガモス・バシャーモについては、苦手とするファイアローに対しエンペルトがうまく立ち回ってくれるので動きやすくなります(それでももう一枚アロー対策が欲しいですが)。特にウルガモスとは相性補完が優秀になっています。
　一方メガリザXについては、エンペルトが苦手とする蜻蛉・ボルチェンを半減できるため、あくびに失敗しても積んでいきやすいという意味で相性が良いです。これら以外でも抜きエースとは相性が良いので、パーティ全体と相談してください。

メガガブリアス(剣舞持ち)
　基本形のエンペルトがガブに強いポケモンであるため、メガガブのS低下の一番の鬼門となる相手のガブリアスの選出を限りなく低く抑えるパーティ構築が比較的やりやすいです。S92はあるので中速以下で固めてきた相手に対する抜き性能は絶大で、また耐久があるので積みやすかったり、アローのブレバを耐えやすかったりというメリットもあります。また、普通のパーティぽく見えるのでエンペルト自身もステロ要員とばれにくくなるというメリットがあると思います。余裕があったら次回投稿したいと考えています。

エルフーン等相性補完のとれたポケモン
　運用で書いたような先発でステロ→引っ込む→再登場からのあくびループを行いやすくします。エルフーンの場合、エンペルトの苦手な地面・格闘・電気をエルフーンが半減でき、エルフーンの苦手な飛行・毒・鋼・氷を半減以下にできます。

V96W-WWWW-WWW7-WTDJ
カバルドン処理から、ステロあくびを展開しています。途中カイリューに対して吠えるをうっているのは、ラム持ちを警戒したためです。

　いかがでしたでしょうか。ステロあくび要員の中ではクセのある部類になりますが、パーティの相性補完要員にもなれるので比較的組み入れやすいかとは思います。キモクナーイばかり使わずに同じ御三家であるコイツも使ってあげてください。評価・コメントをお待ちしております。

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