前書き
「わに」と申します。よろしくお願いします。
以下の内容に必ず目を通してください。
- 指定のない限りすべてのポケモンは理想個体を想定します
- HP、攻撃、防御、特攻、特防、素早さをH、A、B、C、D、Sの略称で表記します
- 文章が冗長になることを防ぐため、一部非公式の略称を用います
- ダメージ率はダメージ計算式をもとに手計算しています
- ご質問、ご指摘はコメントにて受け付けます
- 育成論に関係のないコメント、無益だと判断したコメントは予告なく削除します
それでは考察に移ります。
概要とコンセプト
雨乞いを採用したちょっと(だいぶ)変わったボルトロス(化身)です。
主に物理アタッカーに対するクッション(※)となり、電磁波による妨害やS操作、雨乞いによる自身と味方の強化を目的とした型になります。
(※本論におけるクッションとは「味方の引き先となりつつ、こちらに有利な状況を作り出すことができるポケモン及びその役割」を指します)
負けん気アタッカー型のような爆発力はないものの、雨乞いを採用することでエースバーンをはじめ、ランドロス(霊獣)カプ・レヒレテッカグヤといった採用率の高い環境上位の並びに対して有利に立ち回ることが可能になります。
ネタ感の強い構成ですが、大真面目に考察したのでどうぞ最後までお付き合いください。
化身ボルトロスの強み
まず8世代におけるボルトロス(化身)のスペックについてご紹介します。
- 強力な特性
初登場以来、特性:悪戯心によって優先度+1から繰り出される電磁波や威張る、挑発等の豊富な補助技を駆使し、主に嵌め戦術の起点作成・サポート役として活躍してきました。特に先制電磁波は「ボルト式猫騙し」と揶揄されるほど強力で、過去にボルトロス(化身)オニゴーリメタモンといった並びに苦しめられた方も多いのではないでしょうか。
電磁波の命中率低下や悪戯心の仕様変更等の影響で最盛期より若干性能が落ちたものの、優秀なサポート要員であることは変わりありません。
さらに今世代では夢特性の負けん気が解禁されたことで、威嚇を苦にしない強力な物理アタッカーとしても開花しました。
どちらの特性も強力であり、それぞれ一定の採用率があるため、相手視点で型の判別が以前より難しくなっていることも大きな強みとなります。
以降はコンセプトの通り、悪戯心での採用を前提に考察していきます。
- 潤沢な種族値と優秀な耐性
準伝説の名に恥じない優秀な種族値を持ちます。
A115/C125/S111というかなり攻撃的な種族値をしていますが、特性:悪戯心を主軸にしたサポート要員の場合はACSに努力値を振る必要性が薄く、振らずとも十分な数値を確保できています。これは言い換えれば「耐久に努力値を多く回す余裕がある」ということ。振り切れば並み以上の耐久を得ることができるため、カスタマイズ性が高いポケモンです。(種族値は正義)
また、弱点2つ(岩・氷)に対し耐性6つ(闘・飛・地・草・鋼・虫)という優秀な複合タイプを持つためサイクル戦にも参加しやすく、総合的なスペックは同特性のポケモンの中でも随一です。
- ボルトチェンジと豊富な補助技
特性:負けん気解禁に伴い、物理アタッカーとしての地位を確立した反面、今作から優秀な補完技であった目覚めるパワー(氷)が没収され、特殊アタッカーとしての性能は幾分か低下してしまいました。
しかし、優秀な数値と耐性を生かしたサイクル性能、クッション性能は健在で、それらと相性が良いボルトチェンジや特性:悪戯心を最大限生かせる豊富な補助技を習得するので基本性能と覚える技が上手く噛み合っているポケモンと言えるでしょう。
今作では新たに怪電波や怖い顔を習得し、サポート性能に磨きがかかりました。
雨乞いの採用意図
本論の目玉となる雨乞いの利点について解説します。
- 炎耐性の付与
雨乞い採用の大きな利点の一つがボルトロス(化身)自身(および味方)への炎耐性の付与です。これにより、環境トップを直走るエースバーンのメインウエポンとなる炎・飛・闘を全て半減以下で受けることができ、後述の耐久調整と電磁波を絡めることで明確なエースバーンストッパーとして機能します。(※)
悪戯心によってS関係に依存せず炎耐性を得られるので、相手視点からは見えない対策を講じられる点が非常に優秀です。まさに「意表を突ける」というやつですね。
(※唯一、思念の頭突きを搭載しているエースバーンにダイサイコを先に展開されてしまうとサイコフィールド(以下PF)によって先制電磁波を無効にされてしまうのでご注意を!)
- 水打点の獲得
雨乞い採用のもう一つの利点が水打点の獲得です。
先述の通り、今作から目覚めるパワー(氷)が没収されてしまいましたが、新たにウェザーボールを習得しています。
ウェザーボールは雨乞いと併用することで実質威力150(元威力50×2×雨補正1.5)の水技に変化するので、ボルトロス(化身)にとって優秀なサブウエポンになり、タイプ一致の電気技と併せて、環境上位のランドロス(霊獣)カプ・レヒレテッカグヤといった並びに対してそれぞれ有効打を持ち、単体で幅広く対応することができます。
- 雨始動役という採用理由の追加
当たり前といえば当たり前ですが、雨を展開することで味方のすいすいエース(ガマゲロゲキングドラ等)のサポートができます。特性:雨降らしのポケモン(ペリッパーニョロトノ)のような即効性はありませんが、選出画面で相手視点からは雨始動役だと分かりづらいので虚を突いて展開することができます。また、先述したボルトチェンジによって迅速に味方につなぐことができるので、雨始動要員、あるいは再展開要員として高いスペックを有しています。
悪戯心により先制で雨を展開できるので、相手のオーロラベール展開阻害や相手が先に展開した天候を書き換えるといった芸当も可能です。
採用理由/差別化/仮想敵
ここまでの内容を踏まえ、採用理由、差別化、仮想敵をまとめます。
- 採用理由
1:麻痺撒き&S操作
2:雨始動・再展開要員
3:飛・闘・地・鋼・(炎)に対するクッション
4:ボルトチェンジによる展開補助
5:エースバーンストッパー
6:ランドロス(霊獣)カプ・レヒレテッカグヤの並びへの広範対策
- 差別化
特性:悪戯心で電磁波と雨乞いを両立できる最終進化ポケモンはボルトロス(化身)を除くとレパルダスニャオニクス♂クレッフィのわずか3体しか存在しません。
この3体は上述の採用理由である3〜6を満たせないため、これを以って差別化とします。
- 仮想敵
エースバーンファイアローファイヤーランドロス(霊獣)ドリュウズカプ・レヒレウーラオス(れんげき)(連撃)ギャラドステッカグヤエアームドアーマーガアハッサムフェローチェサンダー(ガラル)等
型解説
では採用理由に基づいて、今回の構成を詳しく解説していきます。
- 持ち物
オボンの実
- 特性
悪戯心
- 性格
のんき
- 理想個体値
H31/A0/B31/C31/D31/S24〜25
- 努力値
H244/B252/C12
- 実数値
H185/A120/B134/C147/D100/S115
- 持ち物について
クッション要員として2回以上の行動保証を得やすくするために発動機会の多いオボンの実を推奨します。回復込みでA207命の珠フェローチェのトリプルアクセルを確定で耐えることができる等、連続技にも強くなります。次点で混乱実(1/3回復実)が候補です。
- 特性について
コンセプト・採用理由から悪戯心で確定です。
- 性格について
耐性(飛・闘・地・鋼・草・虫)がメジャーな物理アタッカーに寄っており、エースバーンに対しても最低限行動保障を得るため、できる限り物理耐久を伸ばしたいところ。
Sに下降補正をかけることでS無振りミミッキュの下から行動できるため、S下降補正かつB上昇補正が掛るのんきで確定とします。
- 調整意図
H4n+1(天候ダメージ4回(44)<オボンの実回復量(46))
A189ドラパルトのA+1ダイドラグーン(130)耐え
A168エースバーンの命の珠キョダイカキュウ耐え
A142ミミッキュのA+2ダイフェアリー(130)耐え
A142ウオノラゴンの先制エラ噛み耐え
A207命の珠フェローチェのトリプルアクセル耐え(オボン回復込み)
C194サンダーのダイサンダー(140)耐え
S準速61族抜き抜き(かつS無振りミミッキュ抜かれ)
麻痺したS+1準速100族抜き
H165D101ランドロス(霊獣)を雨下ウェザーボールで確定1発
HBにほぼ振り切ることでクッションとして必要な耐久を確保します。先制雨乞いで命の珠エースバーンのキョダイカキュウ2耐え、先制電磁波でウオノラゴンのエラ噛み2耐えを実現できます。
D4振りランドロス(霊獣)へのウェザーボールの乱数が動くため、端数をCに振って完成です。
また、S個体値を意図的に下げることでS無振りミミッキュ対面で呪いを受けても後攻ボルトチェンジをすることで化けの皮を剥がしつつ安全に味方に交代することができます。さらに個体値を下げ、より多くの対面で後攻ボルトチェンジをしやすくすることもできますが、準速テッカグヤやバンギラス、S無振りランドロス(霊獣)等の上から攻撃できる点、麻痺したS+1準速100族をちょうど抜ける点を評価してこの数値に落ち着きました。
耐久調整、S個体値に関しては各自の使用感に合わせて微調整していただければ幸いです。
【耐久指標】
全て非DM時のものです。
物理耐久指数:24790
A168命の珠エースバーン
…キョダイカキュウ:80〜94.5%
…ダイジェット(130):31.8〜37.8%
…ダイナックル(95):23.7〜28.1%
…PF下ダイサイコ(130):84.3〜99.4%
A189ドラパルトのA+1ダイドラグーン(130):83.7〜98.9%
A142ミミッキュのA+2ダイフェアリー(130):84.3〜99.4%
A216ランドロス(霊獣)のダイロック(130):85.9〜101.6%
A142ウオノラゴンの先制エラ噛み:82.7〜97.2%
A207命の珠フェローチェのトリプルアクセル:
一発目:17.2〜20.5%
二発目:33.5〜40.0%
三発目:49.1〜58.3%
合計:99.8〜118.8%
特殊耐久指数:18500
C167命の珠ファイヤー(ガラル)のダイアーク(130):86.4〜102.1%
C194サンダーのダイサンダー(140):82.7〜97.8%
C172ポリゴン2のC+1冷凍ビーム:95.1〜112.4%
C161カプ・レヒレのム−ンフォース:47.0〜55.6%
C133キュウコン(アローラ)の吹雪:90.8〜107.0%
物理方面は等倍以上の高火力ダイマックス技を耐え抜き、耐性のある技は余裕を持って耐えることができます。反面、特殊耐久はあと一歩というところ。
恐れ入りますが、ここに記載していないものは各自計算をお願いします。
技構成
- 確定技
雨乞い
本論のコンセプト。雨を展開して自身と味方を強化します。
採用理由2、5、6を満たすために確定とします。
ボルトチェンジ
タイプ一致メインウエポン。
相手に負荷を掛けながら味方を再展開する重要な技です。
ウェザーボール
先述の通り、雨乞いと併用することで真価を発揮する技です。
主に地面タイプへの有効打となり、ボルトチェンジとの範囲補完に優れます。
- 選択確定技(S操作技)
下記からどちらか片方を選択となります。
どちらも一長一短なのでお好みで選択してください。
1:電磁波
ボルトロス(化身)の代名詞。
命中に難があり、無効タイプ(電・地)が存在しますが、S半減効果に加え、麻痺痺れの無限の勝ち筋が強力。確定欄はこちら。
2:怖い顔
今作で新規習得したS操作技。
無効タイプが無く、重ね掛けできる点が長所。交代されると効果がリセットされてしまう点は注意。
本論のコンセプト上、以上の技より優先して採用したい技がないので他の技の紹介は省略しますが、挑発や怪電波などを採用することでまた違った役割を付与できるので、ご自身の構築に合わせてお好みでカスタマイズしてください。
与ダメージおよび火力指標
全て非DM時の相手を記載しています。
- ボルトチェンジ
H155D96エースバーン(等倍):40.0〜47.0%
H171D120ギャラドス:115.2〜135.6%
H204D121テッカグヤ:48.0〜56.8%
H161D125ミミッキュ:29.8〜35.4%
H177D150カプ・レヒレ:45.7〜54.2%
- ウェザーボール(雨下)
H165D101ランドロス(霊獣):100.6〜118.7%
H155D96エースバーン(等倍):56.1〜66.4%
H217D128ドリュウズ:59.9〜70.9%
H215D93カバルドン:83.7〜98.6%
H204D121テッカグヤ:33.8〜40.1%
ほぼC無振りとはいえ、そこそこの火力が出ます。
恐れ入りますが、ここに記載していないものは各自計算をお願いします。
選出と立ち回り
サイクル構築や雨パーティにおける味方の引き先として選出します。
仮想敵となるエースバーンランドロス(霊獣)カプ・レヒレテッカグヤ等は採用率が高いので選出機会は非常に多いです。
場に出たら相手に合わせて補助技を選択、あるいはボルトチェンジで味方を安全に展開する動きが基本になります。残りHP:1でも仕事ができるので安易に捨てず、最後の最後まで活躍の場を与えてあげてください。
エースバーン対面は雨乞いから入り、キョダイカキュウを誘いながら半減で受け、ダイマックスターンを浪費させます。受け出し際にキョダイカキュウ、ダイサイコを受けると二撃目が受からないので、ダイジェットあるいはダイナックルを誘うタイミングで受け出すことが理想です。
また、悪戯心+電磁波が効かないサンダーファイヤー(ガラル)カプ・テテフウーラオス(いちげき)(一撃)等には注意が必要です。味方でしっかりケアしましょう。
相性の良い味方
- ガマゲロゲガマゲロゲ
初手ステルスロック要員を偽装しつつ、雨下すいすいエースとして起用できる偉いやつ。お互いの相性補完も良く、2体でサイクルを形成することもできます。
完全エース仕様のCS命の珠型やサイクルに組み込みやすいCS突撃チョッキがおすすめ。
- 連撃ウーラオスウーラオス(れんげき)
雨展開、電磁波のお膳立てから降臨する破壊の化身。雨下の水流連打はめちゃくちゃ爽快です。AS拘りハチマキ型で全てを吹き飛ばしましょう。
- ウオノラゴンウオノラゴン
雨展開、電磁波のお膳立てから降臨する災厄。雨+拘りハチマキ+頑丈顎+先制エラ嚙みはHB特化輝石ポリゴン2を一撃で葬り去ります。
- ウツロイドウツロイド
サンダーファイヤー(ガラル)ストッパー。
ボルトロス(化身)がケアできない範囲を穴埋めしてくれるついでに抜きエースとしても活躍できるウルトラ仕事人(ビースト)。
- オニゴーリオニゴーリ
電磁波から展開してムラムラするボルトロス(化身)のビジネスパートナー。害悪のイメージが強いですが、火力のない低速サイクルを容易に起点にできる性能は唯一無二。
などなど。
個人的には、雨すいすいエース+ボルトロス+電磁波から展開するエースといった並びが使いやすかったです。ほんの一例ですのであまり囚われすぎず、各々相性の良いポケモンを見つけていただければ幸いです。
あとがたり
冠の雪原環境一発目の育成論は一風変わったボルトロス(化身)となりましたがいかがだったでしょうか。解禁された負けん気アタッカー型が増加する中、悪戯心型の強みをお伝えしたくて今回投稿させていただきました。型としては奇形の部類だと思いますので。強みを上手くお伝えできているか少々不安ではありますが、何かご質問、ご指摘等あればコメントいただけると嬉しいです。最後までご覧いただきありがとうございました!