はじめに
- 本育成論は、悪統一でレートに潜ることを想定して記載をしております。
- 統一パというものは非常に難しく、禁止伝説解禁後も強力なフェアリータイプが跋扈する環境は、悪統一にとって尚のこと逆風だらけです。そんな困難に、貴方も一緒に挑戦しに来ませんか?そして育成論を投稿しましょう。
注意
- 本論は初手ダイマサザン(育成論ソードシールド/870)のおともとして、シリーズ初期から長らく使っていた型をブラッシュアップしたものです。
- 前述の育成論では、物理サザンドラ サザンドラが初手ダイマックスから悪統一に繰り出し率の高い鈍足フェアリーを狩り、数的有利を取ることコンセプトにしています。
- 長いです。
キリキザンというポケモンについて
- よく見るキリキザン
悪タイプにおける唯一無二の鋼枠。
完全な固有タイプであり、タイプ統一パにおいてはフェアリーを等倍で受けられる貴重なポケモン。A125から繰り出される一致ふいうちは、かつて環境に蔓延っていたゴーストタイプ(主にドラパルト)をすべからく仕留めてきました。
ランドロス(霊獣)等のいかくを受けても、特性まけんきにより止まることのないアタッカーです。この特性はダイマックス環境では非常に優秀で、A2段階上昇の機会にも恵まれています。
耐久ポケにはハサミギロチンもあり、油断したところへの強襲も可能です。
- 初手ダイマの相棒としてのキリキザン
一方今回使っていくのは、いわゆるタスキメタバ型のキリキザンです。
初手ダイマで1体倒し、2体目に出てくる「初手ダイマしたポケモンに回答のあるポケモン」を仕留めていくのが仕事人キリキザンの役割となります。
次シーズンの竜王戦ルールを考慮した場合、イベルタル の初手ダイマで暴れた際に2体目に出てくるポケモンとしては、ザシアン(王) ゼルネアス カイオーガの禁止伝説勢や、高火力格闘技・高火力先制技があったり、なんらかの耐性を有するミミッキュ カプ・レヒレ エースバーン サンダー レジエレキあたりが濃厚です。
本育成論では、こちらの初手ダイマに対してほぼ確実にダイマックスしてくる2体目の確実な処理、並びに相手の3体目へ負担をかけることを目的とします。
採用理由
- 悪統一における戦術
※初手ダイマサザンと同じ文章ですので、ご覧になったことがある方は次項まで読み飛ばしていただいて構いません。
私のレート順位は10000位前後をフラフラとしており、これが正解だ!というわけではないのですが、シリーズ1のシーズン1から数百戦潜って出た『悪統一がとるべき戦術』の回答があります。
それは、いわゆる対面構築です。
対面構築について簡単に説明します。
対面構築は、対面性能の高いポケモンで数的有利を作る構築です。以下は例です。
1. 初手で相手のポケモンを倒す
2. 自分の先発に有利な2体目が出てくる
3. 相手の2体目に有利なポケモンで倒す
4. 3体目を残りで倒す。
タイプ統一パにおいては、有利なポケモンに交代して戦うサイクル戦が苦手です。
どのポケモンを受け出ししても基本的に等倍以上のダメージを受けるため、ダメージレースに負けてしまうからです。
悪統一においてはその傾向が顕著であり、潔いまでに攻撃に振り切ったポケモンがほとんどで、例え耐久に優れるバルジーナ バルジーナやブラッキー ブラッキー、耐久振りのガオガエン ガオガエンでもフェアリーの一貫を切ることはできません。
また、ブラッキー ブラッキーが覚える優秀なあくびも、悪統一が呼ぶフェアリーに対してはダイフェアリーを切られることがほとんどで、流し性能としてはイマイチです。
一方でタイマン性能は決して悪くありません。
弱点保険バンギラスに代表されるように、対面からなら一発耐えて殴り勝つ。
殴り勝った後も、ポケモン次第ではタイプ一致ふいうちによる削り性能もあります。
以上の理由から、悪統一においては対面構築で戦っていくべきだと考えます。
- ダイマックス処理におけるタスキメタバの有用性
他の方の育成論(育成論ソードシールド/251)にて、非常に細かく考察がされております。
※コンセプトや役割対象が異なるため、フォークとは致しません。
ざっくりメリットを書くと以下の通り。
- ダイマは行動自由が少なく、攻撃・守る・交代しかできない→メタルバーストやふいうちが通りやすい
- ダイマ相手に非ダイマで1:1交換しやすい
- 鋼タイプのため、砂でタスキが潰れない
- 1:1交換後もダメ押しのふいうちを決められる
デメリットは以下の通り。
- ステロ、あられ等によるタスキ潰しが痛い
- 1発目で弱い攻撃をされた後、2発目で落とす立ち回りをされると弱い
- ふいうち読みで、みがわり・鬼火をされると厳しい
しかし本育成論におけるキリキザンは、その繰り出しタイミング上、デメリットをある程度解決することが可能です。
というのも、初手ダイマで暴れて相手の1体目を撃破した後は、必ず初手ダイマポケモンに解のあるポケモン――すなわち前述のポケモンが出てくるのは確実で、かつダイマックスしたこちらのエースを止めるために相手もダイマックスをするからです。
前シリーズまでの具体例を挙げるなら、エースバーン あたりが分かりやすいでしょう。
相手の1体目を初手ダイマで倒した後にエースバーン が出てきました。
こちらがタイプ統一をしている以上格闘技の一貫性は極めて高いため、確実にこちらの初手ダイマ並びに後続を倒せるようにエースバーンがダイマックスを切るのは自然な流れです。(とびはねるでダイマを枯らしに来るならそれも良しです。非ダイマなら倒しやすいので)
すなわち、戦略レベルで相手ダイマックスの誘導を行い、悪統一にとって極めて負担の大きいダイマフェアリーや、こちらのイベルタルで倒し切れなかった相手禁止伝説を、比較的容易にメタバで持っていくことが可能となります。
仮想敵
差別化
- ヤミラミ ヤミラミ
HP最大量、タスキ消費後の先制技火力で差別化します。
ヤミラミ自体のタスキメタバ適性は極めて高いです。
※鈍足のため。なお、いたずらごころでメタバは先制技になりません。
しかし、H252振りで最大HP157→156×1.5=メタバダメージ234であるため、キリキザンはHP172→171×1.5=メタバダメージ256とダメージ最大量が大きい点、並びにヤミラミの先制技がかげうちかつA75と貧弱なため、後続へのダメージを伸ばせる点が優位です。
- タチフサグマ タチフサグマ等カウンターを覚えるポケモン
特殊への打点で差別化します。
悪タイプにはミラーコートを覚えるポケモンがいないため、特殊への反撃技がメタルバーストしかありません。
環境に蔓延るであろう禁止伝説への有効打として、カウンターよりもメタルバーストに軍配が上がります。
一方、カウンターは反撃ダメージが2倍なのでダイマックスを倒しやすい点は評価できます。環境が物理一辺倒になったら採用の余地ありです。
構成
- 特性 まけんき
禁伝ダイマ環境を考慮し、発動率の比較的高いまけんきとします。
キリキザンはまけんきでの採用がメジャーですが、シリーズ初期の天恵トゲキッス が跋扈していた際は、相手にひるみ負けした嫌な経験からせいしんりょく採用としたこともあります。
せいしんりょくはメタバ警戒でアイアンヘッドしてくるポケモンにも刺さるため、基本的には一長一短。
- 性格 ゆうかん
最遅ゆうかんとすることでS実数値67=カバルドンと同速となり、無振り50族(S70)(レジ系等)や、一定数いるポリゴン2 ジバコイル や、禁止伝説解禁後はバドレックス(はくば) にも下からメタルバーストを決めることが出来ます。※ポリ2には大体自己再生されます。
シリーズ中期、悪統一の天敵であるアシレーヌS60にメタバを決めるため、最遅ゆうかんとしていました。名残として今も最遅ゆうかんですが、いつのシリーズ・シーズンでも大活躍しています。
役割対象の禁止伝説は軒並キリキザンより早いため、厳選が面倒ならいじっぱりの採用もなくはないです。
- 努力値
努力値:H252-A252-0-×-0-0
実数値:H172-A194-B105-×-D75-S67
HAぶっぱ。あまりは振りません。
メタバ・ふいうちの火力を底上げするためHA。
相手トリルにタダ乗りして殴れるよう、Sは逆V。
BDはゼロ。
※タスキメタバキリキザンは、ポケモンをそれなりにやっている人からは有名です。
例えば、相手のダイマエースバーンに対してキリキザンを出したら、キリキザン側からの有効打がないため「100%メタルバーストが来るな」と相手は思います。
その場合、こちらのメタルバーストに合わせて“半減技のダイジェット”を選択し、メタバのダメージを抑えようとします。
これに対し、BDゼロとすることで少しでも相手にダメージを与えます。
- 持ち物 きあいのタスキ
コンセプトのため確定。
- 技構成
確定技
・メタルバースト
メインウェポン。思い出し技。優先度ゼロ(超重要)。
相手のダイマックスポケモンに確実に傷を残します。初手ダイマでダメージを与えていれば、返しのメタバでほぼ倒せます。
カウンター、ミラーコートと違い、無効タイプがないことも評価点。
・ふいうち
メインウェポン。何気にタマゴ技。
メタバ後の追い打ち、または撃破できれば3体目に対して打ち込みます。キザンのふいうちは極めて読まれやすいため、気軽に撃つ前によく考えること。
・こらえる
コンセプト技。
このキリキザンが相手をするのは、大体はダイマックスを切った不利タイプです。
分かりやすいところだと、ダイナックル後の格闘タイプエースバーン や禁止伝説最強格のフェアリータイプゼルネアス です。
その場合、相手がH振りだとメタルバーストで倒し切れない場面もあるため、敵のダイマターンを枯らすのに最適です。
メタバ警戒で弱パンチしてきた相手にも刺さり、向こうのダイマターン枯らしにも使えるため腐りません。
選択技
・アイアンヘッド
一部のフェアリーに対してはメタバより入ることもしばしば。
トリル下でのメインウェポンにもなり、相手のふいうち読み積み技を読んで撃つこともあります。
確定欄はこちら。
・ハサミギロチン
言わずと知れた一撃技。運命に愛された人に。
・ちょうはつ
メタバを撃たせやすくする他、ふいうちともシナジーが強い補助技。
選択技の理由としては、今回は最遅ゆうかんで相手に先に動かれることが多く、撃つ機会が少ないため。
カバルドン抜きのS個体値1以上ならば採用の価値アリかも。
・がんせきふうじ、ローキック、でんじは
優秀なS操作技。タスキ発動後のHP1キザンに対して出てくるミミッキュ などの積みエースに刺さります。HP1のキザンはふいうちを撃ってくると思っているため、悠長に積んでくる相手のSを下げて後続を有利にします。
・つるぎのまい
上記のS操作技同様、ふいうち読みで使う技。
一方で、今回のコンセプト上撃つ場面は基本的になく、選択技の中でも優先度は低め。
運用方法
- 繰り出しのタイミング
- 初手ダイマイベルタル 等で暴れると、初手ダイマポケモンに回答のあるポケモンがダイマックスを切ります。このダイマックスを切ったポケモンに対し、死に出しからキリキザンを展開します。
- 相手の2体目が耐久ポケだった場合、3体目に対して繰り出します。
- メタルバーストを撃った後
- 相手ダイマを倒し切った場合、3体目にふいうちを入れて削ります。
- 相手ダイマを倒せなかった場合、こらえるでダイマターンを枯らします。完全にダイマターンを枯らせば、相手をふいうち圏内に入れることも可能です。
- 相手が先制技を持っている可能性がある場合(例:エースバーンのふいうち等)、ダイマが枯れたら逆に反撃されるため、こらえるを使うのは控えます。
与ダメ
特に相対しやすいポケモンのみ記述します。
また、いつものパーセンテージ表記ではなく、メタバでのダメージ感覚を測りやすくするために実数値表記とします。
・メタルバースト
最大与ダメ256 ※H252ムゲンダイナ(H種族値140 実数値247)まで確1。
・ふいうち 対ダイマックス ※特化ポケはダイマ切らないと思うので参考程度
対フェアリー
H4振りゼルネアス HP404 33~39ダメ
H252B4振りゼルネアス HP466 33~39ダメ
H252B252特化ゼルネアス HP466 24~29ダメ
H4振りザシアン(王) HP168 29~34ダメ ※非ダイマ、電光石火有
B4振りカプ・レヒレ HP290 28~33ダメ
H252B252特化カプ・レヒレ HP354 21~25ダメ
B4振りカプ・コケコ HP290 36~43ダメ
B4振りカプ・テテフ HP290 81~96ダメ
H4振りミミッキュ HP262 76~91ダメ
H4振りトゲキッス HP322 33~39ダメ
H4振りニンフィア HP342 45~54ダメ
H252B4振りニンフィア HP404 45~53ダメ
H4振りピクシー HP342 42~49ダメ
H252B4振りピクシー HP404 41~48ダメ
B4振りアシレーヌ HP310 41~48ダメ
対それ以外
B4振りカイオーガ HP350 69~82ダメ
B4振りエースバーン HP310 81~96ダメ(ナックル後なら40〜48)
B4振りサンダー HP330 73~87ダメ
H252B252特化サンダー HP394 51~61ダメ
B4振りサンダー HP330 73~87ダメ
H4振りランドロス(霊獣) HP330 105~124ダメ(A+1)
H252B252特化ランドロス(霊獣) HP392 75~88ダメ(A+1)
B4振りウーラオス(いちげき) HP350 16~19ダメ
B4振りレジエレキ HP310 109~129ダメ
・アイアンヘッド
対フェアリー
H4振りゼルネアス HP404 152~182ダメ
H252B252特化ゼルネアス HP466 110~132ダメ
H4振りザシアン(王) HP168 66~78ダメ ※非ダイマ
B4振りカプ・レヒレ HP290 66~78ダメ
H252B252特化カプ・レヒレ HP354 49~58ダメ
B4振りカプ・コケコ HP290 84~99ダメ
B4振りカプ・テテフ HP290 186~218ダメ
H4振りミミッキュ HP262 176~210ダメ
H4振りトゲキッス HP322 152〜182ダメ
H252B4振りトゲキッス HP384 152~180ダメ
H4振りニンフィア HP342 206~246ダメ
H252B4振りニンフィア HP404 204~242ダメ
H4振りピクシー HP342 188~224ダメ
H252B4振りピクシー HP404 186~222ダメ
B4振りアシレーヌ HP310 93~111ダメ
対それ以外
H4振りウツロイド HP370 260~308ダメ ※メタバより強い!!
B4振りブリザポス HP350 116~140ダメ
被ダメ
基本的にこちらを確1で落とす火力を持ったダイマポケモンにタスキメタバをするため、ダメージ計算は割愛します。
その他
- 相性の良い味方
初手ダイマサザン(育成論ソードシールド/870)のおともです。
コイツに限らず、相手ダイマを強制する初手ダイマ構築とは相性が良いです。
その他、3体目として威嚇での対面性能が高いガオガエンガオガエン、種族値の暴力で薙ぎ払う弱点保険バンギラスバンギラス、格闘の一貫を切るヤミラミヤミラミがおすすめです。
- 注意事項
上位に行くほどタスキメタバは警戒され、メタバ選択時に半減ダメの攻撃→次ターン効果抜群の攻撃となるケースがあるため注意します。
しかし、本育成論のキリキザンは相手のダイマックスに合わせて出陣し、行動の選択肢を奪いながらメタバを決めることに特化しているため、半減攻撃でも最低限の火力は保証します(威力が上昇したダイマックス技をメタバするため)。
その他、場に定数ダメージを残すステロ、キョダイゴクエン・ホウゲキ・ベンタツ等は鬼門ですし、先制技持ちの相手にはメタバ後のふいうちが決まらないという欠点はあります。
いずれにせよ、敵のダイマエースを仕留める目的は達成しやすいです。
- 使用感
シリーズ1の初期から使用していますが、選出率は文句なしのNo.1です。
ステロ構築に弱いという欠点は、初手ダイマによってステロ撒きポケモンを一撃で粉砕することでカバーしてきました。
次シリーズからはついにイベルタルが解禁されるため、悪統一の圧倒的オーラで今以上にステロ撒きポケモンを粉々にしてくれることでしょう。
キリキザンが一層動きやすくなるのは良いことです。
最後に
育成論を記載するのは初めてです(4回目)。
コメント等はお手柔らかにお願いします。可能な限り対応します。
編集記録
- 2021/01/28
メタルバーストのダメージについて、タスキ分を考慮しない最大HP×1.5としていたため修正。