はじめに
今回は、いわゆる無限型バタフリーの育成論がまだなかったので投稿します。
昔からある型なのでフォークしようと思ったのですが、以前の育成論の中だとバタフリーよりもビビヨンの育成論の方が近かったので、そちらのフォークという形をとらせていただきます。
追記:やはりエアスラッシュ時代のバタフリーの育成論のフォークとさせていただくことにしました。
参考・旧世代のビビヨンの育成論(育成論ORAS・XY/29)
・HP・こうげき・ぼうぎょ・とくこう・とくぼう・すばやさはH・A・B・C・D・Sと表記します。
・論中の各ポケモンの個体値は原則として31とします。
・ダメージ計算は(https://pokemass.com/swsh/dc)のツールを使わせていただきました。
採用理由(無限型バタフリーについて)
食べ残しやポイズンヒールなどの無限回復ソースとみがわりを利用して、催眠や毒+まもるを絡めて何度もみがわりを使いながら相手をハメ倒していく戦法が、俗に無限型と呼ばれます。
無限型バタフリーのコンセプトは、特性ふくがんで命中率の上昇したねむりごなで相手を眠らせ、そのすきに身代わりを貼って安全に積み技を使い、相手に何もさせずに倒すというものです。現環境では、キノガッサらの不在で催眠対策が手薄になりがちであり、またカプ・コケコやカプ・レヒレといった強力なフィールド使いも登場しないこと、高速アタッカーの数が少なくバタフリーでも起点にできる相手が多いことなどから、無限型バタフリーも活躍しやすくなっています。
「エアスラッシュ」を採用した無限型バタフリーは以前から知られていましたが、能力値で優り「ぼうふう」を使えるビビヨンの登場によって、地位を失っていました。今作では、ビビヨンの不在とぼうふうの習得により、無限型バタフリーに再び注目が集まっています。
能力値等
1.前提条件
コンセプト上、特性は複眼、持ち物は食べ残し、技も「ねむりごな」「みがわり」「ちょうのまい」までは確定です。
最後の攻撃技は、単純に威力に優る「ぼうふう」が第一候補に挙がります。PPは増やしておきましょう。ただし晴れ下での命中が複眼込みで不安(65%)なことなどから、パーティによっては今でも「エアスラッシュ」を採用することがありえます。
次に能力値調整ですが、耐久力のないバタフリーは、初手で相手よりも早く「ねむりごな」を撃つ必要があります。バタフリーはそれほど素早くないので少しでも起点にできる範囲を広げるために最速は必須です。最速でちょうど準速81族抜き、つまりいじっぱりS252振りギャラドス抜きとなるため、少しも削ることはできません。
2.調整
耐久については、相手の最速起きやフィールドを枯らす時間稼ぎなどの事情で、身代わりを何度も使う場面が想定できます。そのため、他の無限戦法と同じく、みがわりの消費量と食べ残し4回の回復量がズレないようにする必要があり、かつ身代わり4回(食べ残し込み5回)の消費量と最大HPをズラすために4nは避けなければなりません。HP調整の出発点は16n+1となります。
候補としては、HP実数値145のCSベース(H76-C180-S252)か、HP実数値161のHSベース(H204-B54-S252)かの二択になります。
HSベースで振れば、舞っていないミミッキュの球じゃれつくや、既にこだわっている眼鏡サザンドラの悪の波動などを耐えるようになります。これにより、素早さで負けているところから勝ち筋を残せる可能性が若干ながら上がるように思います。CSベースなら積んでないときの与ダメージがだいぶ変わってくるのですが、コンセプト的には蝶の舞によりC無振りでも最低限の火力はあるため、本論ではHSベースを確定とします。
3.まとめ
特性:ふくがん
性格:おくびょう
持ち物:食べ残し
実数値(H-A-B-C-D-S):161-x-77-110-100-134
努力値(H-A-B-C-D-S):204-0-54-0-0-252
技:ねむりごな・みがわり・ちょうのまい・ぼうふう
運用
1.理想形
コンセプトとして書いた通り、自分より遅い相手や攻撃・特攻が下がった相手、地面技・格闘技・草技などでこだわってしまった相手に眠り粉を当てて起点にし、パーティごと詰ませます。相手を眠らせた後は、常に身代わりを盾にしつつ、蝶の舞を何度も積んで暴風で相手を全滅させます。起点を作れなくて自分より早い相手と対面してしまったときも、一発耐えるなら、眠らせてから蝶の舞で素早さを逆転してハメられる可能性があります。
ダイマックスすると身代わりがなくなってしまうので、基本的にはダイマックスしません。最後の手段として、耐久力上昇を利用して相手の攻撃を耐えながらダイジェット(とダイウォール)を使い、素早さを上げて強引に起点を作ることはありえます。
2.注意点
(1)起点・(2)眠り粉・(3)身代わりという三つの要素に依存する戦法の性質上、(1)選出に起点を作らず眠り粉の前に上から倒す、(2)眠り粉が効かないポケモンを受け出しする、(3)身代わりに合わせて身代わり貫通ポケモンを後出しする、といった対策がとられやすいです。
特に(2)は厳しいのでバタフリーを選出しないのも手です。(2)のような対策をとっているパーティは、バタフリーを見せると対策ポケモンの選出率が非常に高くなるので、見せポケとしての仕事はします。
戦いの流れの中でダイフェアリーやダイサンダーなどのフィールドが張られたときは、みがわりなどで時間稼ぎが必要になります。
(1)のような可能性があるときにも選出したい場合、エルフーンエルフーンなどで追い風や置き土産、壁技などのサポートをしたり、カバルドンカバルドンのがんせきふうじなどで素早さを低下させることで、起点を作れる可能性があります。逆にオーロンゲオーロンゲなどに先制で電磁波を入れられると何もできなくなりますので、身代わりのない状態で対面しないようにしましょう。
(2)が一番バタフリー自身ではどうしようもありません。例えば、粉の効かない草タイプでかつ暴風が受けられ、バタフリーへの有効打もあるカットロトムカットロトムや鋼技採用のナットレイナットレイなど(ただし草技しかないナットレイは起点にできます)、あるいは草食のヌメルゴンヌメルゴンやマジックミラーのブリムオンブリムオンなどです。バタフリーを受けられてサイクル戦に持ち込まれてしまうと、火力の関係でお荷物になりがちです。選出する場合は、味方でこれらのポケモンに先に対処する目途をつけましょう。
(3)に関して、飛行半減でロックブラスト持ちがそこそこいるドサイドンドサイドン、最速なら同速のパルシェンパルシェン、音技を使い火力・特防ともに高いニンフィアニンフィア、連続技とすりぬけを両方持つドラパルトドラパルトなどは注意が必要です。ステルスロックと組み合わされると余計にやっかいです。実戦的には、先に削っておく方法の他にも、眠らせてから交代する、交換読みで眠らせるなどバタフリー活躍の目はありますので、(2)よりはまだマシです。
ダメージ計算
1.被ダメージ
被弾しないでねむりごなを撃つことが前提となりますので、上をとられる相手からの目安のみ記載します。イメージとしては、一致等倍技をギリギリ一発耐えるか耐えないか、といったラインになります。
ここに書いてあるような攻撃を受けてしまうとしばらく身代わりを貼れない可能性が高いので、耐えられるといっても受けるのはやむを得ない場合だけです。
(1)物理
対ミミッキュミミッキュ 補正ありA252・命の球・じゃれつく
134 ~ 160(83.2 ~ 99.3%) 確定2発
対ドラパルトドラパルト 補正なしA252・ドラゴンアロー(二発合計)
128 ~ 152(79.5 ~ 94.4%) 確定耐え
(2)特殊
対サザンドラサザンドラ 補正ありC252・眼鏡・悪の波動
132 ~ 156(81.9 ~ 96.8%) 確定2発
対ドラパルトドラパルト 補正ありC252・大文字
138 ~ 164(85.7 ~ 101.8%) 乱数1発(12.5%)
2.与ダメージ
これも殴られない前提ですので確定数はあまり関係ないのですが、一応の目安のみ記載しておきます。
(1)積みなし
基本的に積んでから殴りますが、眠らせた上でも長引かせたくない相手もいます。
対パルシェンパルシェン H4振り
105 ~ 124(83.3 ~ 98.4%)確定2発
対ドラパルトドラパルト H4振り
73 ~ 87(44.5 ~ 53%) 乱数2発(21.8%)
対オニゴーリオニゴーリ H252振り
69 ~ 82(36.8 ~ 43.8%) 確定3発
(2)蝶の舞6積み
だいたいC特化トゲキッスの二段階上昇ダイジェットくらいと思ってもらえればよいです。6積みしても数発撃つ必要のある相手も多いので、眠り粉が通るようにするために、そうした相手には他のポケモンで火傷・毒・麻痺を入れるのは控えましょう。
対バンギラスバンギラス H252振り・砂嵐
76 ~ 90(36.7 ~ 43.4%) 確定3発
おわりに
この手の戦術は好き嫌いが分かれるでしょうが、バタフリーが前線で活躍するのは久しぶりかつ今のうちだと思いますので、よければ使ってみてください。