基本情報パッチラゴン
前回のカマスジョーの論でカマスについて書いたので今回も焼き鳥について書こうか迷いましたがやめました。ぼんじりを崇めよ。
生命を冒涜しているとしか思えない製造過程とポップな見た目に反するパワーの高さから多くのパーティで物理アタッカーを担当するドラゴン(?)です。
タイプの電気・ドラゴンはかなり希少な組み合わせであるのに加え、10万ボルトのイメージが強い電気タイプの中では物理専門というのもなかなか珍しく、なんだかイレギュラーの塊みたいなヤツです。
ポケモン徹底攻略様にも物理アタッカーとしてのパッチラゴンが多く投稿されていますが、本論のパッチラゴンはそれらとは完全に別物です。
今回紹介するのは特性ちくでんと優秀な耐性に着目したチョッキ型になります。
「基本選出」と「補完枠」
※この二つの言葉の意味を理解している方は、お手数ですが「カバの受難」の項目まで読み飛ばしてください。
「基本選出」と呼ばれるものがあります。
これは「相手がどんなパーティでも、基本的にコイツらで行く」という3体を指します。
大抵の場合、基本選出には決まった動きがあります。「オーロンゲで壁を張り、トゲキッスでDMを切って荒らし、ドリュウズで締める」などといった具合です。
しかし、実際のバトルでオーロンゲに対し有利なアーマーガアやラム持ちトゲキッスなどを相手が先発として繰り出して来たらどうなるでしょうか。オーロンゲは想定していた役割を十分に果たさないまま落とされるか交代を強いられ、万全な環境が整っていないままに自分の後続トゲキッスドリュウズを出撃させねばならなくなります。自分の勝ち筋を押し付けるべき構築にとっては、大変にまずい展開となってしまうでしょう。
何が問題だったのでしょうか。それは、こちらの基本選出を相手に読まれ、相手がそれに対して強く出られるように選出を考えてきたことです。この問題を解決する為に役立つのが「補完枠」です。
先ほどのオーロンゲトゲキッスドリュウズという基本選出を使い、以下のような例を見てみましょう。
相手のパーティに刺さっているトゲキッス及びそれをお膳立てするオーロンゲは絶対に選出したいとします。しかし、相手のパーティにはアーマーガアがおり、挑発やビルドアップで時間を稼がれるとトゲキッスが予定通りに暴れられなさそうにない、という状況です。
この状況で基本選出通りドリュウズを選出してしまうと、状況は好転しません。
そこで、パーティに補完枠を入れる必要が出てきます。アーマーガアに強いウォッシュロトムを先発させることで「オーロンゲ展開をアーマーガアで抑制してやろう」という相手の見立てを逆に崩し返し、有利状況を作ってから基本選出を押し付けることで、勝ち筋を通していくわけです。
要は補完枠とは「基本選出での展開を妨害してくるポケモンがいる場合に、それを処理または抑制して基本選出を通しやすくする」役割を担うポケモンのことを言うのです。
補完枠が持つべき能力は、当然ですが「妨害への処理または抑制を行う能力」、そしてそれに加え「相手が妨害工作を仕掛けて来ずこちらの予定が狂った場合でもある程度戦闘できる能力」も持っていると汎用性が高く扱いやすいでしょう。
補完枠が何かを説明したところで、次の項目では「パッチラゴンが補完枠ならば、その前提となる基本選出とは何か」「その基本選出に対しパッチラゴンはどう噛み合うのか」を順に説明していきます。
カバの受難
パッチラゴンの採用理由はカバルドンカバルドン展開のエース構築における初手カバルドン読みへの切り返しです。
接続詞が多くてわかりづらいので細かく切って解説します。
「カバルドン展開のエース構築」とは、カバルドンでステルスロックや欠伸を使って場を整え、裏からエース(大抵の場合はギャラドス)を登場させる構築のことです。何故カバルドンなのかの説明をするとパッチラゴンの育成論ではなくなってしまうので「カバルドン起点作り」などと検索をかけてみてください。
「初手カバルドン読み」とは、読んで字の通りこちらがカバルドンを先発登板させるのを読んでカバルドンに強いポケモンを出してくることです。これらには3パターンあります。
1パターン目、「地震の効果が薄い催眠耐性持ち」。欠伸による強制交代を無効にし、カバルドンの最高打点である地震を耐えながら起点にしてくるような輩です。
具体的にはラム悪巧みトゲキッス・ラム竜舞ギャラドス・身代わり悪巧みサザンドラ・挑発ビルドアーマーガアなどが挙げられます。また、鈍いなどで要塞化してくる奴らカビゴンナットレイもまあまあ危険です。
2パターン目、「高火力弱点技持ち」。耐久の鬼カバルドンとはいえども、水タイプや草タイプに高火力タイプ一致技を撃たれたら一撃で沈みます。とりわけカバルドンは特殊方面の耐久が心もとないので、ハイドロポンプやリーフストーム等でたやすく死に散らかします。
具体的にはアシレーヌウォッシュロトムカットロトムウオノラゴンヒヒダルマ(ガラル)ラプラスなどが挙げられます。
3パターン目、「挑発や拘りトリック等でこちらの妨害をしてくる連中」。これは個体数が多いので列挙しきれませんが、少なくともカバルドンを見て先発に出てくるポケモンは何かしらカバルドンへの対抗手段を持っていると考えて間違いはないです。
一回ドータクンに眼鏡トリックされて壊滅しました。さすがだぞ!カバルドンへの対処をばっちり理解しているんだな!(死)
とはいえ、裏のエースに不利を取るポケモンでカバルドンを突破してしまうと結局起点にされてしまいます。
カバルドン+ギャラドスという組み合わせの場合、ギャラドスに不利であるウオノラゴンやヒートロトム等をカバルドンに合わせてくる人は少ない印象でした。
逆にカバルドンギャラドスの両者に有利であるウォッシュロトムラプラスカットロトムナットレイ等、またカバルドン対面がアドバンテージでしかないトゲキッスアーマーガアは頻繁に出てきます。
ウォッシュロトムカットロトムに関しては初手にカバルドン以外を出したところでボルトチェンジで逃げられるのでこれまた鬱陶しかったです。
パッチラゴンの強み
そこでパッチラゴンに白羽の矢が立ちました。
カバルドンと組ませた時のパッチラゴンの強みについて、各要素ごとにまとめます。
- 優秀な耐性と攻撃性能
飛行・水・草などカバルドンが苦手としがちなタイプに悉く耐性を持ち、さらに高火力電気技+炎の牙によりこれらに対する圧力も備えています。
特性が張り切りではない為高火力と言えるかどうか怪しいですが、もともと先攻時にはタイプ一致威力170の高威力である為、蓄電でも十分な火力が出ます。むしろそれに加えて張り切り補正まで乗るのはおかしいと思いませんか?
- 電気無効
カバルドンも電気無効ですがそれとは意味合いが違います。
カバルドンがウォッシュロトムカットロトムを誘うのは、彼らがカバルドンに一致弱点を突けることに加え、仮にカバルドンではない奴が出てきてもボルトチェンジで逃げれば誤魔化しが効くからです。
パッチラゴンはボルトチェンジを無効にしつつもう一方の一致技まで半減できるので、初手の家電ヒートロトムウォッシュロトムカットロトムスピンロトムを大きくけん制できるのです。
- 本人の圧力が高い
自身がそれなりの火力を有している為、初手を読み外して役割対象でないポケモンと対面してもある程度戦えます。実際、電気等倍相手ならほとんど有利対面と言っていいくらい攻撃性能高いです。
また、別にカバルドンの補完にとどまることなく、普通に電気枠としてドヒドイデアーマーガアミロカロスなどを処理することも可能です。
また、パッチラゴンは一般的にはDMエースであり、ドリュウズなどの対抗手段を誘いやすいです。が、パッチラゴンの対策として出てくるポケモンドリュウズミミッキュは基本的にカバルドンで見られます。
相手としてはパッチラゴンを対策すればカバルドン展開への対処が疎かになり、かといってカバルドンに強く出ればパッチラゴンに隙を見せることになります。
- 弱点
とはいえ、パッチラゴンにも弱点があります。
まず一点目、トゲキッスやラプラスに一致弱点を突かれるということ。言い換えれば、カバルドンパッチラゴンの並びにはトゲキッスラプラスが一貫してしまうのです。これを少しでも軽減する為、持ち物に突撃チョッキを採用しています。
二点目、水地面複合に為す術が無いこと。カバルドンにとっても水地面複合は厳しい相手です。裏のギャラドスにウィップを仕込んだりリザードンにソーラービームを仕込んだりして対処してください。
また、鉢巻ヒヒダルマ(ガラル)は本当にどうしようもないです。
鉢巻冷凍パンチでカバルドンが確定取られます。特性で火力挙がってるのに、それに加えて鉢巻補正まで乗るのはおかしいと思いませんか?
各種データ
〇性 格:いじっぱり
〇特 性:ちくでん
〇努力値:H76 A92 B4 D188 S148
〇実数値:H175 A145 B110 C* D114 S114
〇持ち物:とつげきチョッキ
〇技構成:[でんげきくちばし/ほのおのキバ/がんせきふうじ/@1選択]
- 性格について
いじっぱりです。魅力の一つである攻撃性能を落としたくないのと、エース運用でないので素早さがそこまで重要でないからです。
- 努力値について
・HP16n-1(味方カバルドンの砂意識)
・特防は臆病C252トゲキッスのDMマジカルシャインを最高乱数切り耐え
・素早さは準速バンギラス抜き、岩石封じで最速100族リザードン近辺まで抜ける
・余り攻撃
・端数防御
素早さラインは調整の余地があります。というのは、準速バンギを抜いたところで別に勝てるわけでもなく、リザに対しても素早さを削って攻撃に振れば電撃嘴で確殺取れるからです。
ただ、電撃嘴の仕様を考えますと、素早さが高いのは無駄にはならないとも思われます。
Q.なんで最高乱数切り耐えなの?確定耐えまで振ればよくない?
A.最高乱数切り耐えの調整でダメージ計算まで書いてしまい、直すのが面倒だからです(屑)
確定耐えにはD204振りが必要です。Aを76振りまで下げてDへ回してください。Aが11nになるのでちょっと得した気分ですね。
すみません後で直しておきますごめんなさい
- 持ち物について
とつげきチョッキで確定です。
弱点技を耐える為の耐久強化である為、気合の襷も要件を充たすように思われますが、競争率が高いアイテムであることに加え、受け出し運用も視野に入れますと、チョッキでいいかと思われます。
- 技について
でんげきくちばしはパッチラゴン最高打点兼水及び飛行への遂行技であり、切る理由はありません。
ほのおのキバも電気半減無効相手への通りがいいため搭載しておきます。
がんせきふうじは、ダイジェットを使用しないこの型において、自身の素早さを疑似的に補強することにより、先制電撃嘴を叩きこむ範囲を拡大する為に使います。速いミロカロス等に対して有用です。速いアーマーガアには役に立たないので注意しましょう。
また、持っておくとヒートロトム対面が楽になったり、ミミッキュに雑に撃てたりします。使用頻度と有用性を考えて確定とします。
@1は攻撃技を適当に入れればいいと思います。けたぐり・ドラゴンクロー・じしんなどの他、カバルドンの欠伸と組み合わせる前提でほのおのうず・ステルスロックを踏ませる為のドラゴンテール等も面白そうです。
ダイジェットしても爆発力が無いのでつばめがえしは不要でしょう。
なお、一応ですが特性はりきりではないので技は当たります。「外したら嫌だからDM切るしかないなあ」などと考える必要はありません。
ダメージ計算
トゲキッス→パッチラゴン(臆病/CS252)マジカルシャイン 52.5-62.8
パッチラゴン→トゲキッス先攻でんげきくちばし 150.3-178.8
パッチラゴン→トゲキッス後攻でんげきくちばし 75.7-90.6
パッチラゴン→トゲキッスがんせきふうじ 36.0-43.4
※岩石封じ→電撃嘴と動くと電撃嘴のタイミングでDMを切られても落とせるが、岩石封じで保険が発動するとカバまでまとめて殺されるので注意
ただ、カバルドンを見て初手で出てくるトゲキッスはほぼラム持ちの印象だった
ラプラス→パッチラゴン(控え目/H124B84C252)フリーズドライ 41.1-49.1
パッチラゴン→ラプラス先攻でんげきくちばし 114.0-133.9
※珠補正込みの威力120キョダイセンリツは31.3%の乱数1
ウォッシュロトム→パッチラゴン(控え目/HC252)ハイドロポンプ 17.7-21.1
パッチラゴン→ウォッシュロトム先攻でんげきくちばし 69.4-82.8
カットロトム→パッチラゴン(控え目/HC252)リーフストーム 21.1-25.1
パッチラゴン→カットロトムほのおのキバ 35.6-43.3
アシレーヌ→パッチラゴン(控え目/HC252)ムーンフォース 69.7-83.4
パッチラゴン→アシレーヌ先攻でんげきくちばし 158.2-187.1
※最速アシレに抜かれるが、岩封から入ると今度は眼鏡持ちに倒されるので電撃嘴から入った方が良い、大抵退いてくるし
アーマーガア→パッチラゴン(腕白/HB252)ボディプレス 26.8-32.0
パッチラゴン→アーマーガア先攻でんげきくちばし 80.0-94.6
カビゴン→パッチラゴン(意地/AB252)じしん 69.7-82.2
パッチラゴン→カビゴン先攻でんげきくちばし 50.2-60.0
※計算上なんか勝てそうだが実際はHB振りもいるので倒したいならDMを切らなければならない
ギャラドス→パッチラゴン(陽気/AS252)じしん 69.7-82.2
パッチラゴン→ギャラドス後攻でんげきくちばし 163.7-196.4
※計算上なんか勝てそうだが実際はDM地震耐えなかったり逆に地震持ってなかったりでまちまち
サザンドラ→パッチラゴン(控え目/CS252)りゅうせいぐん 96.0-113.1/乱数1(68.8%)
パッチラゴン→サザンドラげきりん 107.7-126.9
相性のいい味方
- カバルドンカバルドン+ギャラドスギャラドス+ギルガルドギルガルド(シールド)
第七世代のカバルドンメガボーマンダギルガルド(シールド)を思わせる並び。実際対応範囲が広く優秀です。
カビゴンがやや重いので高火力積み技持ち物理ポケモンをもう一枚入れておきたいところです。
以上です。