初めまして。育成論を初投稿させていだだく者です。今更ではありますが、現環境におけるゴチルゼルの育成論について紹介していきたいと思います。
※他の育成論と同じく理想個体を前提とし、育成論用語や略称の理解があることを前提で話を進めます。
ゴチルゼルとは
第5世代終盤より影踏みを習得したポケモンで、耐久ポケモンを逃さず起点にし、全抜きを狙うエースとして注目されました。第6世代より夢特性の孵化厳選も可能になり増えるかと予想されましたが、
・異常なまでに加速した火力インフレ環境
・ゴーストタイプに拘束が無効化
・叩き落とすの登場などの逆風
による為か、結局流行らなかったポケモンです。それでも影踏みは他のポケモンには真似出来ない運用方法(差別化)が出来るため、現環境での活躍は十分可能です。中でも私が一番言及したい部分は、
抜きエースとの相性の良さです。
ゴチルの育成論は既にいくつか投稿されていますが、抜きエース(特にハケモンなど)との相性について、深く言及されているものがなかったので、今回 後続抜きエースによる全抜きをコンセプトとしたゴチルゼルの運用方法について紹介していきたいと思います。
採用理由
採用理由は影踏みです。相手を逃さないことで、耐久ポケモンを起点にすることが可能です。また、あくまでオマケ程度ですが、起点後に全抜きを狙う事も可能です(なぜ全抜きがオマケ程度なのかは後述します)
『逃さない』というのは強力な事で、狩りたいポケモンと対面させられた場合、そのポケモンを確実に処理することが可能になります。また、狩る対象のポケモンが、味方の抜きエースが苦手としているポケモンである場合、そのポケモンを処理することによってエースの一貫を作り、全抜き体勢を作る事が出来ます。
具体例を挙げますと、自分の抜きエース(ハケモンなど)がメガバシャーモで、相手の手持ちにメガバシャーモを止められるポケモンがヤドランしかいなかった場合です。ゴチルでヤドランを狩った後、メガバシャーモで抜いていくことが出来ます。
このようにゴチルで特定のポケモンを確実に処理することで後続のポケモンの一貫作りが可能となります。
以上の理由から、抜きエース候補(例えばハケモンなど)との相性が良さそうであるということはお分かり頂けると思います。
実際にバシャガルーラ、ガブアローガブマリルリ、カイリューといったハケモンと呼ばれるアタッカーとの相性は極めて良いです。ゴチルゼルが狩ることの出来る仮想敵と、これらハケモンが苦手とするポケモンがしばしば一致するからです。また、多くのハーティの場合、一枠を使ってゴチルゼルを添えるだけで、ほとんどのハケモンとの相性補完を可能とします。
*コメント欄にて、「その採用理由ならハーティだけでなくても良いのでは」というご意見を頂きました。エース構築などにおいても、耐久ポケモンを狩ることでエースの一貫を作ることが可能となるため、ゴチル採用の可能性はありそうです。ご指摘ありがとうございます。
具体的な仮想敵 と運用方法
〈起点可能〉
ヒードラン、クレセリア、フシギバナ、ヤドラン、ポリゴン2、スイクン、エアームド、ラッキー
〈起点は不可能〉
ハピナス(抜け殻)、クレッフィ、ナットレイ
〈起点後に止められてしまう〉
・バンギラスを中心とする悪タイプ
・無限グライオン
・道連れゲンガー
・天然ピクシー
・その他ガルーラ、ヘラなどの連続技アタッカー
仮想敵は以上で、基本的には起点可能な8匹のいずれかに繰り出して起点後、狩ることになります。(8匹全て見られる訳ではないです。型次第で一部見られないポケモンがいます)
仮想敵がはっきりしているだけに繰り出しは読まれやすいので注意が必要です。(逆に言えば、相手にゴチルを釣り出す択を常に強制させられるため、圧倒的に有利なんですけどね)
また、相手のパーティに悪タイプがいないなど、起点後にゴチルゼルでも全抜きが狙える場合は、こちらから無理に繰り出さなくても、死に出しで対面させる動かし方でOKです
技候補
みがわり
最優先候補技。仮想敵の攻撃を身代わりが耐えるように調整し、それを盾にして起点にしていきます。主な目的は、急所リスクの低減化と状態異常技や特殊技の追加効果の回避です。オマケですが、起点後の全抜き時にも役に立ちます。身代わりがあるか無いかでは仮想敵に対する安定感が段違いです。
瞑想
確定技。身代わりを盾に積んでいきます。D上昇も地味に活きる場面があり優秀です。
眠る
唯一の回復技で、状態異常対策を兼ねる確定技。3ターン相手をフリーにしますのでタイミングには注意が必要です。
サイコキネシス or サイコショック
ワンウェポンの攻撃技。どちらかを選んで下さい。どちらが良いかはPT次第と言うか仮想敵次第です。
〈サイキネとショックの選び方について〉
サイキネ推奨 = ムドー、ヤドラン、クレセリア
ショック推奨 = ラッキー、スイクン
どちらでも可 = バナ、ヒードラン、ポリ2
挑発
吠えるなどを持っていたりする特定の仮想敵を起点にしたい場合には、汎用性を下げてでも身代わりを挑発に変える必要が出てきます。
〈身代わりと挑発の選び方について〉
挑発推奨= ラッキー、(クレセリア)
挑発必須 = エアームド、吼える持ちスイクン
急所や状態異常のリスク回避のため、基本的には身代わりを推奨します。上記の仮想敵に必要な場合は挑発を採用して下さい。
・ラッキーは、サイコキネシスを採用した場合に挑発が必要となります。小さくなるラッキーに対しては、挑発があってもほぼ安定しません。
(素眠り中に積まれてしまうためです)
・クレセリアを起点にする場合は三日月の舞対策に挑発が必要ですが、クレセリアと一緒に選出されることが多いメガヘラ、ガルーラにはどのみち突破されてしまうので、挑発は推奨程度に留まると思います。
・スイクンは吼えるを持っている型の場合には、挑発が必須となります。
・エアームドは吹き飛ばし対策の為に挑発が必須です。
以上から、挑発は
・スイクンを狩りたい場合
・エアームド、ついでにラッキーを狩りたい場合
(要するに受けループ意識の場合)
に採用されることになります。
*ただし、残念ながらゴチル単体では完全な受けループ対策は出来ません。受けループを意識する場合は最低限、起点後に止められてしまうバンギグライ辺りを処理出来るポケモンとの同時選出は必須となります。
持ち物
ラムのみ
眠るを搭載しているのでカゴのみでも良いのですが、耐久ポケモンに繰り出す1ターンに状態異常を貰ってしまうと、若干の運要素が関わってきたり 早い段階から眠るを強制させられたりするので、それを防ぎます。ラム採用の場合、繰り出し直後に身代わりが最安定行動になり、起点体勢がすぐに整うという利点があります。実際のところ、大差ないので他のポケモンにラムのみを持たせたい場合は、普通にカゴのみを持たせて良いかと思います。
カゴのみ
挑発を持って 吠える持ちスイクンと戦う場合、素眠りが行えないので、熱湯の火傷により消費してしまうラムではなくカゴが必要です。
食べ残し
ラッキーを意識する場合はこれで確定になります
残飯なし→地球投げ確定3回耐え
残飯あり→地球投げ確定4回耐え
サンプル調整
仮想敵に挙げた8匹のうち、どのポケモンを狩りたいのかによって若干 技構成や性格・努力値配分が変わります。というか サイキネとショックどちらを採用するかによって安定しない、もしくは見られないポケモンが出てきます。挑発の有無も同様です
基本の振り方としてはまず仮想敵抜きまでSを確保
仮想敵の攻撃を身代わりが確定耐えまでH-Dに回し
残りの端数を適当にB.Cで良いかと思います。
基本型は穏やかH252 S228残り端数だと思います
1.【基本型】
仮想敵:バナドランクレセポリ2ヤドランの5匹
見られない:スイクンラッキームドーの3匹
努力値H252 B4 C4 D20 S228
(実数値177-x-116-116-146-114)
穏やか@ラム - 身代わり 瞑想 眠る サイキネ
〈調整意図〉
S60までのクレセ、S100までのバナ抜き
・クレセの攻撃技は瞑想0回身代わりが確定耐え
・HBポリ2の冷ビを瞑想0回身代わりが確定耐え
・トライアタックは瞑想0回身代わりが56%耐え
・メガヤドランの熱湯
・ヒードランの噴煙
・C92までのメガバナのヘドロ爆弾
を、瞑想1回で身代わりが確定耐え
一応サイキネをショックに変えると、吠えるの無いスイクンを見られるようになりますが、一方でヤドランが見られなくなります。
2.【吼える持ちスイクン意識】
仮想敵:スイクン クレセポリ2ヤドランの4匹
役割が安定しない:バナドランの2匹
見られない:ラキムドーの2匹
努力値H252 B4 C20 D4 S228
(実数値177-x-116-118-144-114)
穏やか@カゴ - 挑発 瞑想 眠る ショック
〈調整意図〉
S60までのスイクン、クレセ抜き
瞑想0回時点でC28スイクンの熱湯を確定4回耐え
瞑想3回ショックでスイクン確定3発
基本型と配分はほとんど同じですが、身代わりがないため特殊技の追加効果や急所の関係で一部安定しません。
〈対スイクンの立ち回り〉
繰り出し→瞑想3回→ショック3回で処理します。
途中3ターン毎に挑発を挟み、体力が減ってきたら一度だけ眠るを使います。(挑発がきれたターンは眠れないのでHP管理には注意です)
処理までに繰り出しと挑発ターンと眠るを含め10回行動されます。ダメージ計算上は追加効果を無視すれば間に合いますが、火傷・急所のリスクが絡んでしまうため、安定とは言えない点は触れておきます。
3.【エアームド意識】
仮想敵:エアームド ラッキー クレセポリ2の4匹
役割が安定しない:バナドラン ヤドランの3匹
見られない:スイクン 1匹
努力値H252 B4 C100 D4 S148
(実数値177-x-127-128-131-104)
図太い@食べ残し - 挑発 瞑想 眠る サイキネ
〈調整意図〉
準速ラッキー抜き抜き
ラッキーの地球投げを残飯込み4回耐え
(眠るの3ターン+1ターン行動が自由)
A4振りムドーのドリル嘴を残飯込み確定5回耐え
瞑想1回サイキネでエアームド高乱数3発(71%)
〈対ムドーの立ち回り〉
繰り出し→瞑想1回→サイキネ3回で処理します。
途中3ターンに1回挑発を挟みます。素眠りは行えませんので、HP管理には注意が必要です。
処理までに繰り出しと挑発ターンを含め6回行動されます。繰り出し時から一貫してドリル嘴を連打された場合に限り負けますが、サイキネ2回でエアームドを62.6〜74.4%削ることが可能な為、ほぼ後続の処理圏内と捉えて良いです。
被ダメージ(ダメージ計算ツールORAS)
1.基本型ゴチルに対して(穏やかH252-B4-D20)
C4クレセリアの冷ビ 12.9〜15.8%(乱7)
C4ヒードランの噴煙 27.1〜32.2%(確4)
C4ヒードランのマグスト 32.7〜39.5%(乱3)
C4メガバナのヘドロ爆弾 28.8〜33.8%(乱3)
特化メガバナのヘド爆 37.8〜44.6%(確3)
C4ポリゴン2の冷ビ 16.9〜20.3%(乱5)
イカサマ19.2〜23.7%(乱5)A最低個体値時
特化ポリ2のシャドボ 40.6〜48.5%(確3)
DL状態時 シャドボ 61.0〜72.3%(確2)
C4メガヤドランの熱湯 27.1〜32.2%(確4)
2.スイクン意識型に対して(穏やかH252B4D4)
C4スイクンの熱湯
19.2〜23.7%(乱5)瞑想0回時点
13.5〜15.8%(乱7)瞑想1回時点
10.1〜12.4%(乱9)瞑想2回時点
8.4〜10.1%(乱10)瞑想3回時点
熱湯急所時 29.3〜35.5%(乱3)ランク問わず
3.ムドー意識型に対して(図太いH252B4D4)
ラッキーの地球投げ→残飯込みで4回耐え
A4ムドのドリル嘴 20.3〜24.2%(残飯込み確6)
与ダメージ(ダメージ計算ツールORAS)
瞑想6回 サイコキネシス (C4)
HB特化クレセリア 34.3〜40.5%
HSヒードラン 46.9〜55.0%
HD特化メガフシギバナ 確定1発
HB特化ポリゴン2 51.5〜60.9%
H252D100メガヤドラン 51.4〜60.8%
(HB特化スイクン 84〜99%)
(BDラッキー 31.3〜36.9%)
(HB特化ムドー 76.1〜86.5%)
瞑想3回 サイコショック(C20)
HB特化スイクン 35.2〜42.2%(確3)
瞑想1回 サイコキネシス(C100)
HB特化ムドー 31.3〜37.2%(乱数3発 71%)
瞑想6回 サイコキネシス (C100)
BDラッキー 28.6〜33.5%
その他 基本型をショックにした場合
瞑想6回 サイコショック(C4)
クレセリア 24.2〜29%
ヒードラン 41.4〜48.9%
メガフシギバナ 確定
ポリゴン2 46.8〜55.2%
メガヤドラン20.7〜24.2%
(スイクン 55.5〜65.7%)
(ラッキー 63.0〜74.2%)
(エアームド 29.0〜34.3%)
ゴチルゼル採用PTの例
〈ハケモン5匹+ゴチルゼル〉
メガバシャーモ→(クレセヤドランで止まる)
お盆マリルリ→(メガバナポリゴン2で止まる)
鉢巻アロー→(クレセドランポリ2ヤドランで)
珠カイリュー→(クレセポリ2ヤドランで止まる)
弱保ギルガルド→ (ポリ2ドランで止まる)
+ ゴチルゼル@ラム 身代わり 瞑想 眠る サイキネ
(仮想敵:クレセポリ2ヤドランメガバナドラン)
ゴチルゼルが仮想敵上記5匹を縛ることで味方を動かしやすくし、味方で全抜きを狙えるような環境を作るという、本育成論のコンセプトに特化したPTの一例です。適当なハケモンの並びに突っ込むだけでも、これだけのシナジーを持っています。(…なぜ流行らないんでしょうね…)
〈エース構築例〉「猿マンダゴチル」
CS襷 ゴウカザル ステロ アンコ オバヒ 岩石封じ
ASメガ ボーマンダ 竜の舞 捨て身 逆鱗 地震
HSカゴ ゴチルゼル 挑発 瞑想 眠る ショック
メガボーマンダの起点、または一貫を作り出し抜いていく、エース構築の一例です。
・先発に猿を出してステロをまき、岩封や猛火オバヒなどをした後に捨てる。アンコールで補助技の使用を牽制(補助技を使ってきたらアンコールで縛り交代を強要できる)地震や滝登りなどはアンコしてわざと倒され、死に出しマンダの起点にする。
・竜舞マンダが苦手なスイクンクレセポリ2ヤドランをゴチルゼルで狩ることが出来る。起点後のゴチルゼルで全抜きを狙える状況である場合、無理に繰り出さずにマンダを捨てて死に出ししても良い。
・完全には補完しきれないので裏選出にギルガルド.エアームドなどの鋼やボルトロスなどの電気に厚くなるポケモンを選択したい
(ヒードラン、マンムーなどですかね)
*本論に載せましたPT構築はそれぞれ一例でしかなく結論パとして閲覧者に推奨するものではありません。
実際にはまだまだ多岐に渡る組み合わせがあり、優秀なPTはいくらでも組めると思います。
皆さんがPTを組まれる際に、抜きエースとして採用したポケモンが上記8匹のいずれかを苦手とする場合、本論のゴチルゼルを採用する余地は生まれると思います。PT構築例を参考に、ゴチル入りPTも検討されてはいかがでしょうか。
欠点
・仮想敵が狭い範囲であり、相手のPTに仮想敵がいない場合は選出の機会が無い
・素早さが低く、技スペースの都合上ワンウェポンしか持てないため、起点に成功しても単体での抜き性能はそこまで高く無い(冒頭で述べましたゴチルの全抜きがあくまでオマケ程度である理由です)
・要するにゴチルゼル単体では採用理由が無いため、かなり具体的なPT構築と立ち回りが前提となる
後語り
最後に、これだけは強調させていただきます。本育成論におけるゴチルゼルの採用理由は、
1.耐久ポケモン(仮想敵)を狩り、
2.後続(抜きエース)の一貫を作る事です。
この2点について、机上の時点で想定できない場合、ゴチルゼルを採用する理由は全くありませんし、
抜き性能が高くないゴチルゼルで わざわざ全抜きを狙うことに意味もありません。
自分のPTにおいてゴチルで逃さず狩りたいポケモンは誰なのか、また何故狩りたいのか(後続の誰の一貫を作る為なのか?)について予めよく考えておくことが、この型を使う上で重要になってくると思います。
以上で育成論を終わります。かなりの長文失礼致しました。ご意見・ご質問等あればお願いします。