はじめに
サトシ「おっしゃ!A抜き5V臆病イーブイキター!しかも♀だぜ!ウホッ☆」
「ん、夢特性じゃない?...ってことは、サンダースにするしかないのか。...これ、めざ氷じゃないと駄目じゃん。逃がそう」
イーブイ「に、逃がさないでっ。(目を潤ませながら)」
サトシ「いやー、そう言われてもなぁ。お前めざ氷じゃないと使えないじゃん。」
イーブイ「そんなこと...そんなことありません!めざ氷なんてなくたって僕はちゃんと戦えますっ!!」
差別化
サトシ「え、いやいや嘘だろ?めざ氷無しでどうやって戦うってんだ!?」
イーブイ「サトシさん、サンダースのライコウと比べての強みってなんでしたか?」
サトシ「ええっと……」
「矢張り何と言っても先ず高い素早さですよね。素早さ種族値全ポケモン中第12位の130。御存知です? ライコウの素早さ種族値115、それに対しダースの素早さ種族値は130なんです。この15の差がとても大きくて、 サンダースの場合はゲッコウガやメガボーマンダといった非常に強力なポケモン達に先手を取ることができるんですね。確かにライコウはサンダースよりも耐久力決定力共に上回ってはいますが、 素早さではレアコ...サンダースが上回っている以上明確に差別化が出来ていますし、下手すりゃこれサンダースの方が強いんじゃないですかね?」
イーブイ「...えっと、なんで急に敬語なのかは分かりかねますけど、確かに現環境ではこの素早さの差は大きいですね」
「でも、他にも大きな強みが2つあるんです!」
「まずは特性の蓄電。ライコウも電気技半減なのであまり変わらないように思えるかも知れませんが、ボルトチェンジを無効に出来るのは大きすぎる違いです。ライコウなら相手の電気タイプに後出しした際にボルトチェンジを食らうと有利対面を作られてしまいますが、サンダースはそれをシャットアウトできるのです。相手に一方的にペースを掴まれることはありません」
「もう一つは、...これが最も大きな差だと僕は思ってるんですが、あくび、バトンタッチなどの豊富な補助技です。ライコウは瞑想など自らエースとして活躍できる技を多く覚えますが、サンダースは味方のエースをサポートする技を多く覚えます」
サトシ「なるほど。」
戦術
サトシ「ライコウとの違いは分かったけどさ、結局めざ氷無しでどうやって戦うんだよ?」
イーブイ「先ほど僕は、ライコウにはない補助技として、あくび、バトンタッチを挙げました。
実は、『あくび、バトンタッチ、みがわり』この3つの組み合わせは、互いにとても相性がいいんです。」
サトシ「んー、どう相性がいいんだ?大体サンダースなんて紙耐久なんだし、あくびを使ってる暇なんてないだろ」
イーブイ「それが、そんなことないんですよ。現環境では、トップメタにボルトロスとスイクンがいますよね。サンダースはこいつらに有利なので、こいつらと体面させることができれば、相手は交代してくるはずです。そこに交代読みであくびを打っていくんです。」
「ボルトロスには挑発を打たれる可能性もありますが、そもそも挑発持ち自体が減っており、またサンダースは眼鏡がまず意識されるのでそんなに打たれるリスクはありません。もし打たれたとしても、ボルトロスの技構成が『10万/電磁波/挑発/めざ氷or草結び』なら打ち負けることはまずないので、そんなに心配しなくていいでしょう」
「そして、次のターン身代わりを貼ります。相手がもしあくびを気にせず攻撃してきたら、そのまま相手は眠ります。あとはもう一回身代わりを貼り直し、バトンタッチでエースに繋げるだけ。これで、相手の眠りターンにもよりますが、こちらのエースを、身代わりを貼った状態で、さらに相手が眠った状態で無償光臨させることが可能になるのです。」
「相手がもし眠るのを嫌がって交代してきたなら、そのまま欠伸→身代わりを繰り返しながら、ステロダメを稼ぐことができます。食べ残しを持たせていれば相当長いターンこのループを繰り返すことができます」
サトシ「んー、なるほど。味方エースの起点作りに有用なあくびと、あくびを当ててからの相手の様子見ができる身代わりは相性が良くて、さらにこの戦術をとるなら残った身代わりを味方のエースに繋げられるバトンタッチも重要になってくるわけか」
イーブイ「そういうことです。」
サトシ「残りの技はどうするんだ?」
イーブイ「当然10万ボルトで確定です。スイクン、ボルトロス、ファイアローなどへの遂行技で、これがないとサンダースでこの戦術をやる意味がないと思います」
「放電も無くはないですがあくびを戦術の軸としている以上そんなに相手を麻痺させたいことは多くないので、威力の高い10万ボルトが優先されます」
サトシ「なるほど!確かにこの戦術ならめざ氷が入るスペースはないね」
相性のよいポケモン
サトシ「でもさ、電気技しかないなんて、ガブリアスに何も出来ないじゃん。本当にそれでいいのか?」
イーブイ「さっき言ったように、サンダースのこのあくび+身代わりループはステロと組み合わせると効果的です。そこで、ガブリアス、ランドロスなどの地面タイプに強くかつステロを撒けるポケモンと組み合わせればいいんです」
「例えばエアームドなら、ガブリアスだけでなくガルーラなどにも後出しが可能なので、相性はいいと思いますね。サンダースとガルーラの対面では相手はボルトチェンジ意識で猫騙しを打ってくることが多く、その場合はゴツメダメを一方的に稼げるので得なんですよ」
「ガブリアスは交代際にあくびを当てたとしてもスカーフやラムの可能性があるのでみがわりを安心して打てないこともあり、対処の難しい相手ですから、そのガブリアスに安定するエアームドのようなポケモンはステロ撒きとして心強い味方になってくれます」
サトシ「エースとしては誰を使えばいいんだ?」
イーブイ「相手の身代わりを貫通できるからやぶパルシェンや、このサンダースの苦手なラムウルガモス、バシャーモ辺りに強く出れるマリルリやメガボーマンダなんかが思いつきますね。」
「サンダースとの相性補完を意識する必要はあまりないですが、ひとつ重要なことがあります。それは、連続技耐性です。例えば、こちらのサンダースを見て相手のスイクンが交代し、交代際にマンムーが出てきた。こちらは交代際に身代わりを残したとします」
「ここで相手の安定択は身代わり貫通技のつららばりを打つことですが、もしここでバトンタッチでパルシェン、マリルリなどの氷耐性のあるポケモンを出せればどうなるでしょう?」
サトシ「身代わりが壊されないから、身代わりを残したパルシェンと、マンムーを対面させられることになるね。これは一気に有利対面になっている!」
イーブイ「そういうことです。連続技耐性のあるポケモンを後続に置いておくと、こんな感じでうまく起点を作ることができます」
「同様に、リザードンやボーマンダであればキノガッサのタネマシンガンやハッサムのとんぼがえりに身代わりを残せます。連続技耐性だけで見ると、メガクチートなんかもほとんどの連続技に耐性があって、優秀と言えますね。」
調整
サトシ「戦術は大体分かったんだけど、こいつはCSとHSどちらがいいんだ?」
イーブイ「基本的には耐久重視のHSベースがいいですね。先ほどボルトロスやスイクンなどを流しつつあくびを打っていくと言いましたが、当然彼らに後出しすることもあります。また、上記のような有利な相手が相手の選出にいなかった場合は、対面からあくびを打ち、そこから無理やりみがわりを打ってループを展開していく、ということも多いです。こうしたプレイングをとることが多いので、耐久振りが活かされやすいポケモンだと言えます。」
サトシ「一番いい調整を頼む。」
イーブイ「まずは素早さ重視の調整。
HP252D4S252
実数値:172-#-80-130-116-200」
「メガゲンガーと同速勝負するために最速にしています。まあ、HSぶっぱですね。これでも、Cぶっぱボルトロスのめざ氷なんかには余裕で身代わりが残せます。HPが4nになっていますが、実際食べ残しを持たせていると身代わりを張れる回数に差が生じてくることはそんなにありません」
「逆に、身代わりのHPを最大にすることで、バトン先の身代わりが壊れにくくなるという副次的な効果が生まれ、これがしばしば勝利のきっかけを作ったりするので、思考停止のHSぶっぱでいいでしょう。」
サトシ「身代わりがなんとか耐え調整〜とかネットでよく見るけど、そういうのはしないのか?」
イーブイ「HSベースの耐久では環境でよく見る攻撃技で身代わりを残せるようなものはあまり無いんですよね。」
「そのためにはSから多少努力値を割く必要があるんです。つぎに、その調整例を載せてみましょう。」
「HP188D196S124
実数値:164-#-80-130-140-182
身代わりがスイクンの熱湯、クレセのサイキネを高乱数で耐えます。Sも最速ジャローダ抜きと最低のラインは維持しています。」
サトシ「んー、なるほど。うちのパーティはゲッコウガが重いから、奴に先手が取れるように最速の方にしようかな」
イーブイ「ちなみに、他にもこんなのもありますよ。
HP156B156S196
実数値:160-#-100-130-115-192
Sを最速ゲッコウガ抜きまで維持しつつ、A4振りファイアローのブレバを身代わりが高乱数耐え。A個体値が5以下なら一致イカサマも高乱数で耐えてくれます」
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与ダメ
イーブイ「サンダースの10万ボルトは
HD慎重ファイアローに55.1~64.8%
H振りファイアローに81.0~95.1%
HAマリルリに64.7~76.3%
HBスイクンに49.2~57.9%
HSボルトロスに36.0~42.4%
CSボルトロスに43.5~51.2%(珠ダメ1回込みで84.4%高乱2)
CSゲッコウガに87.5%の高乱1
CSメガリザードンYに66.6~78.4%
HSメガゲンガーに34.7~41.3%
HAメガガルーラに25.9~31.1%
のダメージですね。」
サトシ「うひょ〜」
被ダメ
イーブイ「172-80-116のサンダースに、
CSメガゲンガーのヘド爆は56.3~66.8%
HSメガゲンガーのヘド爆は48.8~58.1%
特化鉢巻アローのブレバは54.0~63.3%
4振りアローのブレバは25.0~29.6%
特化珠アローの剣舞ブレバは62.5%の高乱1
CSボルトロスのめざ氷は20.3~24.4%
HSボルトロスの悪巧み気合玉は65.6~77.9%
CS珠ボルトロスのめざ氷は26.1~31.9%
CS珠ボルトロスの気合玉は52.3~62.2%
4振りスイクンの熱湯は25.0~31.2%
C165メガバナのヘド爆は42.4~50.5%
4振りサンダーの熱風は26.1~31.3%
4振りクレセのサイキネは24.4~29.6%
HAメガハッサムのバレパンは27.3~32.5%
スカーフサザンの流星群は71.5~84.3%
特化眼鏡ヒトムのオバヒは68.8%の高乱1
HAマリルリのアクジェは37.2~44.1%
特化鉢巻カイリューの神速は66.8~79.0%
特化霊獣ランドロスのとんぼ返りは41.4~49.4%
のダメージですね」
サトシ「にゃ〜」
終わりに
サトシ「よーし、お前は採用だ!」
イーブイ「やった〜」
こうしてイーブイは逃がされずに済み、ピカチュウに代わってエースとして活躍することになったのでした。おしまい。
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昔試しに書いたやつが残ってたので、せっかくなので投稿してみました。ORASレートは終わってしまいましたが、フリーやshowdownでどうぞ。
※本文に書けなかったので補足で注意点を書いていきます。
1.ステロ役は、サンダースが対面であくびループに持ち込めない(=一撃で倒されてしまう)相手の前で絶対に倒れてはいけない
エアームドなどのステロ役とセットで選出することになると思いますが、この際、バシャーモ・キノガッサ・ガルーラやガブリアスを始めとした地面全般のような、「サンダースを一撃で倒してくる」相手の前でステロ役が倒れてしまうとサンダースはあくびループを展開することができません。このことにはくれぐれも注意。
2.あくびループの障害は、ラム・カゴ持ちととんぼがえり、そしてメガガルーラ
「あくびを打ってからみがわりで様子見」がこの型の基本の動きですが、いくつか障害があります。
- ラム/カゴ持ちはなかでもかなりマズいです。
積み技の起点にされる恐れもあるので、特にガブリアス/ウルガモス/スイクン/ニンフィアなどを相手にする際は常にラムを警戒した動きが必要になります。
- とんぼがえりは、こちらのみがわりを壊しつつあくびループを抜けてくる厄介な技です。
相手が自分より遅い場合(ハッサム、スカーフ以外のランドロスなど)と、早い場合(主にスカーフランドロス)で対処が異なります。
遅い場合は、相手の交代際に様子見で残したみがわりを、虫耐性のあるエース(ボーマンダ、マリルリ、リザードンなど)にバトンするのがベストと言えます。
早い場合は遅い場合よりさらに厄介です。こちらも、相手の交代際にみがわりを残し、とんぼがえり後に相手の交代先にあくびを入れるのがベストです。
ランドロスが相手のパーティにいる場合は、相手が自分より早いかどうか分からないので、みがわりで様子見を基本行動にします。
- メガガルーラはみがわりを貫通してくるので、あくび後に一旦みがわりで様子見、という行動をとった際に出てこられるとかなり辛いことになります。
ねこだましがなければまだ対処しやすいですが、ねこだまし持ちはかなり危険です。対処法は、とんぼがえり持ちとは逆で、相手の交代際にあくびを入れていくしかありません。
気にするポイントは多いように見えるかもしれませんが、逆にいうとこれらのポイントをクリアできればかなり活躍できると思います。