はじめに
どうもこんにちは。むちころ犬と申します。
シリーズ6からシングル、ダブルの採用率上位10匹が使用禁止となり、環境が劇的に変化する事が予想されますが、新しい環境を自分なりに考えるる中でふと「エースバーンとドリュウズとジバコイルがいなくなるしフロストロトムが相対的に使いやすくなったのでは?」と思い、一度考察してみようと思います。
それではよろしくお願いいたします。
フロストロトムが流行らない理由
まず始めに、ここまでの環境で何故「氷/電気」という非常に優秀な複合タイプを持ちながらも、フロストロトムが登場以来環境に1度も姿を見せなかったのかを考えます。
思い当たる理由は主に二つです。
- タイプと種族値、覚える技のミスマッチ
- 仕様上、他のFCロトムが使えなくなる
詳しく説明します。
まず一つ目、他のFCロトムに当てはまりますが、特性「ふゆう」による弱点の克服、加えて多耐性とそれなりにある耐久で『半減相手に受け出し→居座りorボルトチェンジ』による有利な読み合いの押し付けがロトムの戦術の鉄板です。言わば非常に高いサイクル適正がFCロトムの強みの大部分と言えますね。反対にこのポケモン自体の特攻種族値は並み程度なので、半減タイプが少なく、突破力に優れた複合タイプであるフロストロトムは、この基本性能とアンチシナジーになっていると言えます。
更に取得する氷技が命中不安な「ふぶき」固定である(突破出来る相手にさえ常に3割の負け筋を残す)事も相まって、「何から何までちぐはぐな性能」です。
二つ目も上記に起因しますが、この優秀なサイクル適正を捨ててまでフロストロトムを採用する理由が乏しく思える事が何より大きな点ですね。エースバーンに致命的に弱かった点も見逃せません
Sの大差により差別化に困らないパッチルドンよりも、最大の差別化対象はこれら全タイプのロトム逹となります。
では、他のFCロトムに比べてフロストロトムに優れた点がないのかと言われればそうではありません。
フロストロトムの優位点
ダイマックス適正
フロストロトムがダイマックスする事により、「ふぶき」の命中不安を解消しながら、ダイアイス使用時に天候を霰に変更できます。
これによりDM終了後も「ふぶき」の命中率が安定し、広い攻撃範囲を十分に活かすことが出来ます。
技範囲の狭さからどうしてもDM適正が低くなる他ロトム(スピン以外)に比べ、「氷/電気」だけで殆どの相手に等倍以上を見込めるのはフロストロトムの明確な強みと言えます。
メイン2つを半減するジバコイルがシリーズ6で禁止になるため、メジャーどころではヒートロトム、厚い脂肪マンムー程度しかこの2タイプを同時に半減出来ません。(一応フロストロトムパッチルドントゲデマル蓄電ランターン等もいます)
スピンロトムとの違い
技構成の柔軟性
自前でダイジェットが出来、「わるだくみ」によって高い全抜き性能を誇るスピンロトムも、同じくダイマックス適正が高いと言えます。
スピンロトムと比較した場合のフロストロトムの優位点は、やはりメイン2ウェポンだけでの対応力の高さとなります。
「エアスラッシュ」の威力不足から「わるだくみ」が固定となりがちな彼方と比べ、此方は補助技、または追加効果狙いの低火力技の中から、2枠自由に使いつつダイマックス適正の維持が可能です。
対面性能
これはスピンロトムに限りませんが、受け出しをせず、先発や死に出し等で相手と対面での勝負となった場合、基本的には『等倍以上の技での殴り合い』or『ダメージレース不利側の交換』となるため、多耐性そのものが活きる場面は相手を完封出来る状況に限られます。
ヒートロトムに置けるトゲキッス対面などがこれに当てはまりますが、あまり数は多くはありません。
攻めの思考か守りの思考かによって変わりますが、「どうせ等倍以上を取られるなら、一致範囲が広いフロストロトムの方が対面想定では優位性がある」と言えます。前作後期でよく見られた「半端なSだとどうせ抜かれるから、ランドロス(化身)よりも出落ちしにくいカバルドンを取る」みたいな考え方です。
ちなみにフロストロトムは「ふゆう」込みで弱点が3つと、意外にも弱点数はヒートロトムスピンロトムと一つしか変わりません。
以上を踏まえると、ダイマックス適正は高いものの必須ではなく、プレイング難度は他ロトムより難しいですが、削り、フィニッシャー、サポート等対面での汎用性の高さが売りになります。
「ちぐはぐな性能」と上記しましたが、「器用貧乏」とは真逆の「不器用万能」なポケモンと言えるかもしれません。
採用理由と役割
上記のように『対面での汎用性の高さ』が主な採用理由となります。耐性の都合上サイクル型のパーティでは「ボルトチェンジ」を搭載した他のFCロトムの方が活躍しますので、主に対面構築(極力交代にターンを割かず、「きあいのタスキ」や「ばけのかわ」などの行動保証を盾に、手数と技範囲を駆使してこちらが倒されるより先に相手を倒しきる事に主眼を置くパーティ)寄りの並びでの採用となります。
持ち物
ヨプのみ
シリーズ6で確実に増えるウーラオス(いちげき)に対して、対面から強気に居座れる点を考慮しての採用です。
格闘タイプのメインウェポン候補トップの「インファイト」が耐久を削るデメリットがあるため、S操作が出来る事もあって『氷』タイプでありながら格闘に対して対面有利を取りやすくなります。
サポーターも兼ねるため「いのちのたま」は活かせない場面があるため、行動回数を稼げるアイテムが優先です。
「きあいのタスキ」でももちろんOKですが、『ダイマックスを視野にいれているためタスキが生きにくい事』、『対面構築ではタスキの競争率が非常に高くなる事』から、確定欄はこれにします。(ダイアイスで味方のタスキも潰れやすい点は注意して下さい)
弱点が一つ減り、耐性4つに弱点2つと「氷タイプ」として見れば破格の耐性となります。
その他候補としては「トリック」採用時のみ、拘りアイテムが候補に上がります。
ただ、ダイマックス中に効果がなくなる事、技の打ち分けをするためには先に「トリック」を打つか、ダイマックス切るかしなければいけなくなる事等、強みである「対面での汎用性」を損なう場面がある点は留意下さい。
性格・努力値と調整
ひかえめ
候補としては「おくびょう」もアリですが、「エレキネット」や「でんじは」によるS操作が可能である事、極端に低いHの種族値の関係上、CS振りでは耐久力が非常に心許なくなり、初速のS負けから確定1発を取られやすい事から「ひかえめ」を選択した上でSよりもHを多少重視します。
「きあいのタスキ」を持たせる場合はCS極振りでも構いません。この場合スカーフ以外のパッチラゴン対面が非常に安定します。
H188
C220
S100
H…ようきウーラオス(いちげき)@命の珠の「インファイト」最高乱数意外耐え
C…余り
S…「エレキネット」使用時、最速アイアント抜き
Hは持ち物と合わせて対ウーラオス(いちげき)に寄っているように見えますが、これは言い換えると命の珠持ち、AorC130族、一致等倍120技耐え調整 となります。ここまで振ると、強化アイテムのない不一致の「だいもんじ」や「ストーンエッジ」を耐える場面がかなり多くなり、タイマン性能が安定します。
Sはアイアント対面を想定した時、最も撃たれやすいと思われる「ばかぢから」「ダイナックル」にメタを張る形で、「エレキネット」→「おにび」で機能停止に追い込むための調整です。(ダイスチルやダイロックは無理です)テラキオンを始めとする3闘に関しても、Sが逆転出来れば大きく有利を取る事が出来るなど、S95〜110辺りの速度帯は数珠繋がりのような激戦区となるので意識したいところです。
逆にこのラインよりも早いポケモンに関しては、元々「ヨプのみ」フロストロトムが対面で有利or機能停止に追い込むのが用意なポケモンが多いため(ダグトリオインテレオンルチャブルオンバーンスターミーサンダースマニューラカマスジョーアギルダー等)耐久や火力を落としてまでこれ以上振る意義は薄いかと感じます。
素の早さは119と無振りS99族相当となっています。
技構成
攻撃技
ふぶき
フロストロトムを選択する以上確定です。
電気と合わせて「電気/炎」「電気/鋼」「電気/氷」以外の全てにに等倍以上が取れます。
命中不安はダイアイスで補いましょう。
対面構築の要である味方の「きあいのタスキ」が潰れやすくなるのだけはマイナスポイントです。
10まんボルト(優先)
ライジングボルト
電気技枠として選択となります。
目の前の敵を倒すor機能停止させる事に重点を置くため「ボルトチェンジ」は今回候補外となります。
基本的には「10まんボルト」ですが、ダイマックスを積極的に押す場合、ダイマックス技の威力が10高く相手EF下で威力が上昇する「ライジングボルト」も一考です。
「あられ」+「ふぶき」と「エレキフィールド」+「ライジングボルト」というダイマックス技の追加効果を最大限活かしている技の並びという点は面白い部分です。
エレキネット
攻撃技というよりは補助技的感覚での使用となります。下記の「でんじは」との選択ですが、火力が低めなフロストロトムでS逆転しつつ二回殴れる意義は大きいので、個人的にはこちらをお勧めします。
対ウーラオス(いちげき)に置いても、ヨプのみを盾に「エレキネット」を二発打ち込む事で、インファイト使用後のウーラオス(いちげき)を一撃、連撃共に安全に処理が出来ます。ただスカーフには効果が薄いため、そちらを強く意識する場合は「でんじは」で。
補助技
おにび
氷タイプで撃てるのはなかなか珍しく、パッチルドンとの大きな違いにもなります。
後続の負担軽減、また積みアタッカーを採用している場合は起点作成が可能になります。
でんじは
「おにび」と並び補助技の筆頭で、此方は高速アタッカーへの抑止となります。「エレキネット」とは相互互換と言えます。相手によって打つ技をスイッチする事を踏まえ、両採用でも問題ありません。
トリック
拘りアイテムを持つ場合確定です。
対面から苦手とする耐久型ポケモン逹を機能停止させる事が出来ますが、特殊に寄った構築でなければそれらのポケモン(ハピナスカビゴンニンフィア等)は基本的に後出しされる事の方が多く、当てるためには読みを必要とします。
あやしいひかり
個人的に一番使われて嫌な技であるため記載します。相手に対して1〜3ターン常に3割の負け筋を背負わせる事が可能になります。対策もラムのみや「ちょうはつ」程度しかなく、物理、特殊、受け、サポート、ダイマックス全てに効果的であるため、運が絡みますが困った時の最終手段に。
リフレクター ひかりのかべ
優秀な技である事は間違いありませんが、ダイマックスを視野に入れたフロストロトムで壁を張るなら、同じことをラプラスの「キョダイセンリツ」でやった方がターンロスがない事は留意して下さい。
ただ、交換で出されやすく、尚且つこちら側に有効打がないハピナスに対して、先制で「ひかりのかべ」を張った後に交換した方が後続の負担が少ないため、選択枝としてはアリです。
わるだくみ
コメント欄にて御意見頂いたため追記します。
対面構築が苦手としやすいドヒドイデナットレイの並びに対して、強引に突破を狙えるようになります。
ただこの技を採用すると運用面でどうしてもエース寄りの立ち回りとなってしまうため、適正としてはスピンロトムに劣る事は留意して下さい。
基本的には「ふぶき」「電気技」「おにび」「エレキネット(でんじは)」の並びが最も汎用性が高くなるかと思います。
対面意識という事でS操作が大きな意味を持つので、他の技と入れ替えをする場合は「おにび」を切る事を推奨します。
立ち回り例
先発、もしくは死に出しで場に出す事を意識しましょう。S操作が出来、尚且つ広範囲をカバーできるタイプなので、ダイマックスまで加味すれば多くのポケモンと互角以上に戦う事が出来ます。
ですが、対面構築という性質上、後続はタスキ持ちや頑丈持ち等、受け出しにあまり適さないポケモン逹が控えてる事が予想されますので、ダイマックスを使うのが得策ではないor倒しきれないと判断した場合は速やかに相手の妨害に注力して下さい。
相手一匹を倒しきるor機能停止させ、後続が安全に処理出きる状況を作る事がこのポケモンの仕事です。
与ダメージ計算
(小数点以下は四捨五入とします)
10まんボルト(ダイサンダー)
無振りウーラオス(いちげき)一撃…62%〜73%(88%〜104%)
同連撃…123%〜145%(176%〜209%)
無振りウォーグル…104%〜123%(149%〜176%)
無振りアイアント…95%〜111%(136%〜161%)
無振りスターミー…122%〜144%(175%〜205%)
無振りルチャブル…134%〜161%(193%〜229%)
無振りルカリオ…65%〜77%(93%〜112%)
H252マリルリ…82%〜98%(119%〜142%)
H252アシレーヌ…67%〜80%(97%〜115%)
H252ハッサム…48%〜58%(70%〜83%)
H252ドヒドイデ…69%〜82%(97%〜116%)
H252アーマーガア…80%〜94%(115%〜135%)
ふぶき(ダイアイス)
無振りパッチラゴン…142%〜167%(178%〜210%)
無振りオンバーン…263%〜310%
H252ヌメルゴン…62%〜74%(79%〜94%)
無振りサザンドラ…95%〜113%(122%〜145%)
D252HRドサイドン… 76%〜90%(98%〜115%)
H252バンバドロ…97%〜114%(123%〜145%)
H252ナットレイ…42%〜50%(55%〜65%)
H252オーロンゲ…54%〜65%(69%〜82%)
エレキネット
無振りウーラオス(いちげき)…32%〜38%
同連撃…64%〜75%
無振りアイアント…46%〜55%
無振りサザンドラ…12%〜14%
無振りルカリオ…33%〜40%
環境が固まっていない部分もあるため、足りないところは随時足していきます。
範囲の広さにより、多数のポケモンと打ち合いが可能です。DMしない場合、S負けしていれば基本的に「エレキネット」から入り、行動回数を増やす立ち回りがベストかと思います。
被ダメージ計算
上記したように、このフロストロトムが1発耐える目安は、命の珠.A130族.一致等倍.威力120技までです。対面構築の都合上不特定多数のポケモンを相手取る事が多くなると思うので、この数値は覚えておく事を推奨します。
以下、ダメージ感覚の基準となりそうなポケモンを上げます。
A252ウーラオス(いちげき)@命の珠
インファイト…85%〜100%
あんこくきょうだ…87%〜102%
(急所技である「あんこくきょうだ」の場合、僅かながら突破される可能性があります。逆に「すいりゅうれんだ」は同一の調整の場合確実に耐えます)
C252サザンドラ@命の珠
りゅうせいぐん… 89%〜105%
あくのはどう…57%〜66%
だいもんじ…101%〜
このレベルの火力を持つポケモンからの不一致「だいもんじ」は、ダイマックスを切らなければ耐えられません。
A252アイアント@命の珠
ダイスチル… 121%〜143%
ダイナックル…59%〜70%
ばかぢから…75%〜89%
安定するとは言いがたいですが、抜きエースとして採用されやすいアイアントが有利対面を利用して積んでくる可能性は高く、「割りと役目を果たせる」くらいのイメージです。
特化マンムー
ストーンエッジ…81%〜95%
参考程度に。
Hに厚くする事で、強化アイテムがなければこのレベルまでの不一致技は大方耐えます。
特化アシレーヌ@命の珠
ハイドロポンプ…84%〜99%
等倍で確定2発となるのはだいたいこのラインです。
繰り返しになりますが、不特定多数を相手にするため、被ダメージは感覚で掴む方が便利かと思います。
相性の良い味方
フーディンフーディン@きあいのタスキ
特性「マジックガード」によりダイアイスでタスキが潰れず、『高水準のCとS』『広い技範囲』から高い対面性能を持ちます。一撃ウーラオス(いちげき)が目の上のたんこぶになりますが、最も厄介だったミミッキュがシリーズ6で禁止となったので、相対的には追い風です。(ミミッキュ自体が対面構築の要であった事はスルーします)
「アンコール」を搭載すれば対面構築が苦手になりやすい『受けループ』にもある程度強く出られます。
ウーラオス(いちげき)ウーラオス
フロストロトムとの相性というよりも、火力と範囲に優れ、それなりのSと先制技を持つウーラオス(いちげき)は元から対面構築との相性が非常に優れています。
一撃は霰で相手のタスキが自動的に潰れている展開が考えられる事から、一貫性の高い「あんこくきょうだ」の圧力がより高まる事、連撃はフロストロトムが苦手な炎、岩共に受け出しが出来る点が魅力です。
パッチラゴンパッチラゴン@こだわりスカーフ
電気タイプが重複しますが、相性補完としては意外にも良好です。スカーフ型であればダイマックスせずとも相手に高い圧力が掛かりますので、フロストロトムと共にダイマックス権を臨機応変に活用出来ます。環境的にも電気タイプの通りは優秀なので、同時採用は普通にアリです。
このポケモンの注意点
補助技も含め、アタッカー相手には高いタイマン性能があるフロストロトムですが、ハピナスやカビゴン等の特殊受けを強引に突破出来る火力はありません。
拘りトリックがない場合、カビゴンに関しては「おにび」を、ハピナスに関しては「でんじは」をそれぞれ入れた後交代する他ありません。
最も相性が悪いのはヒートロトムで、こちらからの有効打はほぼ何もありません。ヒートロトム入りのパーティに対しては選出を見送る事が最善策となります。
その他「とつげきチョッキ」を持った弱点の着けないポケモンとの打ち合いも苦手とします。
おわりに
FCロトムの中でも変わった性質を持つフロストロトムですが、少しでも強みが伝われば幸いです。
簡潔にまとめると
- 「補完として突っ込んどけばとりあえず活躍するのがウォッシュロトムやヒートロトム」
- 「ピンポイントメタで活躍するのがカットロトム」
- 「エースにするならスピンロトム」
- 「是が非でも1対1交換したいならフロストロトム」
みたいなイメージでいいかと思います。
以上となります。
ありがとうございました。