はじめに
どうもこんにちは。むちころ犬と申します。
今回考察するのは著者の長年のお気に入りポケモンであるオノノクスです。子供心を擽るというか、単純にフォルムがかっこいいんですよね。
厳選中に「色違い出ないかなー」と卵が割れる度にとりあえず期待してしまうのは自分だけでしょうか。
前置きはこのくらいで、登場期より人気がある「りゅうのまい」型や「こだわりスカーフ」型はすでに考察され尽くしているかと思いますので、今回は鎧の孤島で新たに追加されながらも、いまいち陽の目を浴びていない新技である「スケイルショット」を利用した、従来型とは少し違った強みを持つオノノクスをご紹介します。
オノノクスの特徴
さっそくですが、まずは実際の対戦に置けるオノノクスの強味、弱味といった基本性能を簡単に整理します。
強味
- 高水準で無駄の少ない種族値、中でも147という非常に高い攻撃力
- 相手の防御特性を貫通する特性「かたやぶり」
- 豊富な積み技と、比較的一貫性の高い一致ドラゴン技による突破力の高さ
弱味
- 一致高威力技である「げきりん」の扱いにくさ、また単ドラゴンタイプ故の他技の中途半端な火力
- 積み技採用時の技スペース不足
- 高速帯に今一歩届かない素早さ
主にこんな具合です。
何か気付くことはないでしょうか。
はい。実はこのポケモン、長所と短所がどちらも攻撃性能面に片寄っているんですね。
これは実際の対戦下でどういう事を意味するかというと、「活躍する時は無双するけど、アッサリ止められる事も結構ある」というふうな、一戦一戦の活躍のムラの大きさとなって現れてしまいます。
すみません。少しいい風に書きましたが、もはや「ドラゴンタイプ」への解答を持っていて当たり前といえる高ランク帯でのバトルに置いては、上手く回さないと「無双」よりも明らかに「止められる」比率の方が高いです。
しかしながら、この長所と短所の同居というのがまた厄介で、攻撃一辺倒で搦め手を殆ど持たないオノノクスの性質的にも、これまで「短所を隠して戦う」という運用方法がなかなか難しいポケモンでした。要は止められやすい事が分かっていながらも、それを補う手段が『立ち回り』以外になかったんですね。
ダイマックスの登場でドラゴン技の扱いにくさは多少克服したものの、「種族値の高さの割に使いづらい」と感じた方も多いのではないでしょうか。
スケイルショット採用のメリット
鎧の孤島で追加されたドラゴン技である「スケイルショット」は、威力25で相手に2〜5回ヒットし、その後B1ダウンS1アップという変わった性能をしています。依然として不安定なドラゴン技ですが、攻撃技と積み技を1枠に纏められるのは、従来の積み型オノノクスにとって悩みだった技スペースの問題解消に繋がるため非常に有益です。(耐久力の低下はタスキでカバーします)
一度積んだ後、気になるようであればダイドラグーンにしてしまえば威力の不安定さは補えます。
継続的に火力が上がらない点はマイナスですが、対面相手に「りゅうのまい」→「げきりん」(ダイドラグーン)と繋ぐのと、「スケイルショット」→「スケイルショット(ダイドラグーン)」と繋ぐのはダメージ期待値的にほぼ同等です。
技スペースに余力が出来る事で、受け出しされやすくこれまで積み型ではどうしても穴となっていたナットレイやアーマーガアエアームド等の『「じしん」で弱点をつけない鋼』や「てっぺき」持ちの高耐久に対し「ハサミギロチン」で高い圧力を掛ける事が出来たり、「インファイト」と「じしん」を両採用しつつ、フェアリー対策の「どくづき」等も投入出来たりと、一般的なオノノクスに比べて柔軟な立ち回りが可能になり、規定路線の運用になりがちな「竜舞エース型」や「スカーフ奇襲型」よりも、選出機会の向上が見込めます。
「スケイルショット」の採用によって、従来のオノノクスでは難しかった『長所(高い突破力)を維持しつつ、短所(止められやすさ)を隠す』という構築が多少取れるようになりました。
採用理由と役割
主に『タスキと技範囲、Sの逆転を利用して1対1交換以上を狙う先発』もしくは『ダイマックスを用いた終盤の掃除役』としての採用となります。
いずれの場合でもサイクル戦適正は薄いため、サイクル構築に組み込む場合は死に出しや後攻「とんぼがえり」等で安全に着地する事は意識しましょう。
「りゅうのまい型」に比べて積んだ後の火力が、「こだわりスカーフ型」に比べて初動のSでそれぞれ劣りますが、両者の中間に近い性能で、パーティや状況に合わせて役割をスイッチ出来る柔軟性がこの型の魅力です。
持ち物
きあいのタスキ
「スケイルショット」のデメリットであるBの低下を補強するために必要です。
「スケイルショット」の追加効果でSを逆転しつつ相手に負荷を与える(相手のタスキを潰す)事が可能なので、拘らずに技4枠をフル活用出来る事もあって、先制技のない相手に対して非常に高い対面性能を誇ります。
性格
いじっぱりorようき
強化アイテムも火力を補強する積み技もないため、抜き性能を高めるためには性格で補強するしかありません。準足では最速84族相当のSとなります。
「スケイルショット」によってS操作が可能であるため、個人的にはあらゆる型のサザンドラパッチラゴンに強くなる「いじっぱり」を推奨しますが(下記ダメ計参照)、採用率が高く比較的起こりうるウーラオス(いちげき)対面に置いて、「スケイルショット」後に最速スカーフと同足勝負を行える点を重視するなら「ようき」でも構いません。(スカーフ以外の型での「アクアジェット」等の先制技の存在や、「スケイルショット」のヒット回数によっては同足対決を制しても負ける事はあります)
その他ヒヒダルマ(ガラル)やポリゴンZ等も「こだわりスカーフ」の所持率が高いため、「インファイト」を採用せずにこれらのポケモンを重くみるなら、「いじっぱり」よりも「ようき」を選択して下さい。
余談ですが、いじっぱりオノノクスの攻撃力は無補正252振りのジャラランガが命の珠を持つよりも更に上です。
凄まじいですね。
努力値と調整
AS252余りH
耐久は「きあいのタスキ」に一任するため、「いじっぱり」でも「ようき」でもこの配分は同じです。
技構成
スケイルショット
コンセプト上確定となります。
「ロックブラスト」や「タネマシンガン」と同じく2〜5回の連続技にS一段階上昇がオマケで付いてきます。
Bの低下は「きあいのタスキ」で補い、上から二発以上殴る事で、同じく「きあいのタスキ」を持った相手高速アタッカーに対してもタイマン戦を有利に進める事が可能になります。 技の性質と元々の素早さ、持ち物の関係でありとあらゆるパッチラゴンに対して対面で強烈なメタ性能を発揮します。
ダメージ期待値は87.5となり、Bの低下を無視出来るなら、理論値的には「ダブルチョップ」の上位互換といえなくもありません。
「ダブルチョップ」と同じく「みがわり」にも有効で、ダイドラグーン時の威力は130となります。
じしん
「かたやぶり」により採用率が高いロトム系列への有効打となるため優先度は高いです。サザンドラとギルガルド(シールド)の並び、所謂『サザンガルド』に対しても有効でありながら、パッチラゴンと同じ理由でサザンドラに対してオノノクスが明確に有利を取れるため、これを持っておくと少なくともどちらか一匹に対して大打撃を与える事が可能になります。
ハサミギロチン
オノノクスの強い個性であり、個人的に優先度は高いと考えています。
従来の「りゅうのまい」型では採用されにくい技ですが、技スペースが一つ空くため実用性が一気に高くなります。
技範囲を狭めずに「スケイルショット」に受け出しされやすいアーマーガアやナットレイエアームドドヒドイデなどの高耐久に上から強烈なプレッシャーを与える事が可能です。
スカーフ型とは違い技の打ち分けが可能であるため、相手の受け出しを確認した後に「きあいのタスキ」を盾に連打が可能である点が大きな魅力となります。やってる事が対面構築のドリュウズみたいですが…後出しされやすいこれら高耐久を無理矢理捩じ伏せるこの技の存在で「先発適正」が上昇している部分もあります。
一応ダイマックス時に威力130の「ダイアタック」となるため、「スケイルショット」を使わずともS操作が出来る点は覚えておくと役立ちます。
どくづき アイアンテール
苦手とするフェアリータイプへの打点となります。
マリルリやアシレーヌの存在から環境的には「どくづき」の方が優先度は高いです。
ですがダイマックス技としては「ダイアシッド」が非常に扱いづらい事から、ダイマックスを用いた終盤の掃除役に重点を置くなら「アイアンテール」の方が優秀です。
確定欄は、高いタイマン性能と終盤の掃除役を兼任出来る上記の技とします
「かたやぶり」も含め、イメージ的には少しトリッキーなドリュウズです。
以下選択技です。
インファイト
「じしん」もしくは「ハサミギロチン」との入れ替え候補となります。候補技の中では最も撃てる機会の多い技です。
「きあいのタスキ」により耐久ダウンを気にせず連発が可能です。対ナットレイやブラッキーに関しては上記の技より有効ですが、対アーマーガアエアームドドヒドイデ等に関しては、「ハサミギロチン」や「じしん」の方が高い圧力となります。
ダイマックス時に火力上昇の積み技となる点は、「インファイト」の特筆すべき優位点です。「スケイルショット」から「ダイナックル」へと繋ぐと、ターン消費なく擬似的に「りゅうのまい」を再現できます。
ちょうはつ
「ハサミギロチン」との入れ替え候補です。元々それなりに高いSによって、サポート型のポケモンに先制で打てる場面は多々あります。
がむしゃら
同じく「ハサミギロチン」の入れ替え候補です。「スケイルショット」のB低下によって「きあいのタスキ」が発動しやすいため、Sの上昇も相まって相性は非常に良好です。
つるぎのまい
これも「ハサミギロチン」との入れ替え候補です。
「スケイルショット」を組み合わせてエースとして特化する場合に。
積み技に2ターン掛ける以上悠長に思われるかもしれませんが、第6世代でメガリザードンXが「ニトロチャージ」と組み合わせた同様の戦術で当時環境を騒がせた前例があるため、ダイマックスと組み合わせればかつてのメガリザードンXを再現出来るかもしれません。
立ち回り例
先発運用の場合
基本的にはダイマックスを使いません。
先発運用する場合のこのポケモンの仕事は、『相手一匹を倒し、後続にも負荷を掛ける事』となります。
初手は「スケイルショット」が安定です。「きあいのタスキ」の存在や、強味である攻撃力の高さも相まって
、特に低耐久の高速アタッカー相手には高いタイマン性能を発揮します。環境にいるフェアリータイプにオノノクスの上を取れるポケモンが少ないため、フェアリー対面時は上から二発「どくづき」を入れれば大抵のフェアリーは突破出来ます。
「げきりん」もしくは「りゅうのまい」読みで「スケイルショット」時にアーマーガア等の物理受けを後出しされる事が頻発するかと思いますが、この場合もタスキを盾に上から「ハサミギロチン」を連打する事で、およそ5割〜7割程の確率で突破が可能です。
(アーマーガアやドヒドイデ等の物理受けとの対面時、相手が「てっぺき」や「どくどく」、「はねやすめ」等の再生回復から入ってきた場合、ギロチンの試行回数を最低でも3回確保出来ます)
終盤の掃除役の場合
必要に応じてダイマックスを切ります。
「スケイルショット」使用後に、竜、地、毒、無の範囲を活かして相手の残りHPを削り取るのが主な仕事です。 場合によってはBが下がる「スケイルショット」ではなく、ダイマックスによる耐久上昇後に「ダイアタック」によってS操作する方が有効な場面も多々あります。
確定技欄では火力を上げる積み技がないため、可能な限り相手の物理受けは事前に排除しておきましょう。
与ダメージ計算
いじっぱり特化で計算。小数点以下は、確定数に影響がなければ四捨五入します。
スケイルショット
記載は一発あたりのダメージです。2〜5回ヒットするので、最小ダメージでも記載の倍は入ります。
無振りサザンドラ…33.5%〜41%
無振りパッチラゴン…34%〜41%
無振りマニューラ…26%〜31%
無振りオンバーン…39%〜46%
無振りリザードン…22%〜26%
無振りルチャブル…22%〜26%
無振りインテレオン…25%〜31%
無振りウーラオス(いちげき)…14%〜18%
無振りウォーグル…19%〜23%
無振りヒヒダルマ(ガラル)…23%〜27%
H252FCロトム…16%〜19%
H252ヌメルゴン… 35%〜42%
H252ホルード…17%〜20%
B252カビゴン…10%〜12%
特化ドヒドイデ…9.6%〜11.5%
特化アーマーガア…4.5%〜5.4%
全体的に高速アタッカー相手にかなりいいダメージが入ります。
特にパッチラゴンに関しては、たとえダイマックスされても「スケイルショット」を2ターンで計6発当てれば、こちらのダイマックス権を温存しつつ突破出来るのが「いじっぱり」最大の魅力です。(相手側が初手「ダイドラグーン」を選択してきた場合、Aの低下で計算通りにいかなくなりますが、こちらも次ターンでダイマックスを切れば大方対処可能です)
最大ダメージは125となるので、5発ヒット≒ダイドラグーンと考えてもほとんど問題ありません。
じしん
H252ヒートロトム…166%〜196%
H252ウォッシュロトム…83%〜98%
H252ギルガルド(シールド)…61%〜73%
無振りドサイドン… 43%〜51%
特化ドヒドイデ…47%〜56%(ヘドロで確定3発)
特化マタドガス(ガラル)…51%〜60%
どくづき
H252アシレーヌ…75%〜89%
H252マリルリ…63%〜75%
特化エルフーン…107%〜126%
特化ピクシー…49%〜57%
H252オーロンゲ…77%〜91%
インファイト
特化ナットレイ…55%〜65%(たべのこし込み確定2発)
特化ブラッキー…55%〜65%
B252カビゴン…72%〜85%
B252ハピナス…96%〜113%
無振りドサイドン…52%〜61%
「いじっぱり」の場合、全体的にサブウェポンの火力もギリギリ信用の置ける数値となる事が多いです。
被ダメージ計算
基本的には「きあいのタスキ」に頼りきりですが、終盤の掃除役とした時「スケイルショット」を打たずにダイマックスを切る場面もあるため、参考程度にダイマックス状態での被ダメージを一部掲載します。
一つの目安にしてみて下さい。
A252ウーラオス(いちげき)
インファイト…37%〜44%
A252マリルリ
じゃれつく…62%〜74%
特化アシレーヌ
ムーンフォース…78%〜91%
A252パッチラゴン
げきりん…93%〜110%
相性の良い味方
ドヒドイデドヒドイデ
このポケモンを採用するとサイクル寄りの動きになるため一概に強い並びとは言い切れませんが、今回のオノノクスはコンセプト的に『スケイルショット」後の低下したBを先制技で狙われる』事が弱点の一つです。
メジャー処ではマリルリやウーラオス(いちげき)の「アクアジェット」やハッサムルカリオの「バレットパンチ」 マンムーの「こおりのつぶて」あたりが辛く、タイマンでも劣性になりがちです。
マンムーは相性的に厳しいですが、マリルリを始めこれらのポケモンの大部分に強く出れるドヒドイデは弱点の補完面も含めて相性自体はいいです。
フロストロトムフロストロトム
著者が前回投稿した対面構築用のフロストロトムは、弱点が補完されている訳ではないもののこの型のオノノクスと相性が非常に良好です。
どちらも高いダイマックス適正がありながらもダイマックスが必須ではないため、状況に応じた臨機応変な立ち回りが可能となります。フロストロトムが絶望的に苦手なヒートロトムに「かたやぶり」の「じしん」で圧力を掛けられる点も見逃せません。
フロストロトムがダイマックスを切る=オノノクスは先発運用として「きあいのタスキ」を既に消費しているパターンが多いため、「ダイアイス」によってタスキが潰れる心配があまりない事もプラスポイントです。
フロストロトムと「対面構築」については、詳しくはそちらの記事を御覧ください。
このポケモンの注意点
上記したように、先制技を持つアタッカーに関しては、「スケイルショット」後のBが低下した状況、または「きあいのタスキ」が発動した状況を狙われるため苦手とします。
その他にも火力を増強する手段がないため、「ハサミギロチン」が通らないサニーゴ(ガラル)等の高耐久ゴーストも突破する事が出来ません。
最も「ハサミギロチン」での突破自体に運が絡むため、運が悪ければアーマーガア等の物理受けにさえ何も出来ずに落とされる事もままあります。「ハサミギロチンだと、結局活躍のムラが大きいところは変わってないのでは?」は禁句です。剣盾シーズン1でドリュウズのドリルの前に沈んでいくアーマーガアを目の当たりにして以降、トラウマと共に著者はギロチンの可能性は無限だと確信しています。
不安定なハサミギロチンを嫌う場合、選択技の中から別の技に代えるのも一考です。
環境的には、ナットレイやドサイドンポリゴンZの流行により、「インファイト」が最も扱いやすいかと思います。
一応ですが、確定欄の構築で「ハサミギロチン」から「インファイト」へと技を変更する場合、似たようなの戦術はジャラランガでも可能です。「スケイルショット」やその他サブウェポンの火力(約1.2倍)、準足でパッチラゴンを越えるS等により差別化は特に必要ありませんが、参考までに。
余談ですが、性質的にこのオノノクス自体も「スケイルショット」を非常に苦手とします。
「スケイルショット」がマイナー技なので実際の対戦下で起きた事はありませんが、この技を採用した最速ジャラランガに対しては「いじっぱり」だとSの差1で無抵抗のまま落とされます。
終わりに
いかがでしたでしょうか。
従来の「りゅうのまい型」や「こだわりスカーフ型」ばかりが注目されるオノノクスですが、このように少しトリッキーな立ち回りも可能になった事が伝われば幸いです。