はじめに
今回はクロバットの育成論です。最近の環境には合っていないものの、そのポテンシャルは十分なものです。タイトルに「扱いやすい」と記載していますが、クロバット自体扱うのが現環境では難しいということを前提に論を展開しようと思います。しかし、勝てないポケモンが多いとは言えども倒せる相手も存在します。まだまだクロバットも活躍できるということを、本育成論で共感していただけると、そして使っていただけると幸いです。
また、本育成論を進めるにあたって他者の育成論を引用する箇所があります。フォーク育成論ではありませんが関係のあるものですので、その箇所にはリンクを貼っておきます。
注意書き
本育成論ではHABCDS、6Vなどの略称を用います。初心者の方にも分かりやすい論を展開しようと心がけますが、この略称はかなり広く用いられているため、後々のためにもご存知ない方は知っておくと便利です。はじめに軽く説明します。(ご存知の方は読み飛ばしてくださって全く問題ありません)
HABCDSはそれぞれHP、攻撃、防御、特攻、特防、素早さを意味します。Vとは、個体値が最高の31であることを表します。例えばHCSがVというと、HPと特攻と素早さの個体値が31であることになります。6Vは、全ての個体値が最高であるという意味になります。略称のあとにくる数字は努力値振りを表します。H252なら、HPに努力値を極振りしているということです。
また、「補正あり」というのは基本的に性格による上昇補正のことです。例えば「C252補正ありメガゲンガー」と言ったら、Cに上昇補正のかかった極振りのメガゲンガーのことを指します。
クロバットに関する概要
- メリット
1、どく/ひこうというオリジナリティを備え、4分の1が三つ、無効が一つ、半減が二つと優秀な耐性を持つ
2、S130という素早さを持ち、多くのポケモンより速い
3、補助技が豊富で型が読まれにくい
4、強制的に雨が降る訳ではないので、パーティで組み合わせやすい
- デメリット
1、弱点がメジャーであり、ブルル以外のカプ族に弱い。
2、環境に相性の悪いポケモンが多い。(上記のカプ族に加え、テッカグヤ、ヒードラン、メタグロスなど。さらにアタッカーとしての通りもあまり良くない)
3、再度雨が降らしづらい
雨起動要員としての差別化
雨起動で圧倒的に有名なのはニョロトノとぺリッパーでしょう。クロバットも全くの無名ではありませんが、あの二匹はいたら確実に雨パと言われるほどの有名ぶりです。差別化に関してですが、タイプや覚える技を見る限り明らかに違うのでわざわざはっきりと言わなくても良い気はします。しかし一応雨を扱うからには触れておきたいと思います。
- 雨起動にクロバットを使うメリット
1、型が多いため読まれにくい
2、耐性が多いため後投げできることが多い(また、地面の一貫切りになりうる)
3、耐久型や害悪型に強い技と特性をもつ4、雨によりクロバット自身の耐性が実質一つ増える
(追記→)本育成論では単体での扱いやすさも重視しています。つまり、雨エースとセットで選出しなくとも、仕事をこなせる必要があります。明らかに雨起動と読まれる上記二匹の他にも、あまごいができる優秀なポケモンは存在します。ここではコメント欄で具体的に名前の出たクレッフィと化身ボルトロスとの差別点を記しておきます。
- クレッフィ、化身ボルトロスとの差別点
あちら二匹は特性いたずらごころによって変化技を先に打てますが、クロバットは特性すりぬけによってみがわりを貫通してどくどくを打てます。
ここで技構成を本育成論に則り、あまごい/どくどく/ちょうはつ まで確定とすると、残りのウェポンは変化技ではなく攻撃技が欲しいところです。クレッフィがタイプ一致で打てる技のうち通りの比較的良いフェアリー技はじゃれつくですが、種族値と努力値の関係上火力には期待できません。それよりイカサマによってメタグロスを見ることができるという点が、クレッフィにとって大きな利点となるでしょう。(USUMでボルトロスもイカサマを習得)
化身ボルトロスは攻撃特攻共に中々高いですが、技の中にひこう技がほとんどありません。(物理ならそらをとぶ、特殊ならめざ飛)つまりワンウェポンは基本的に電気技であり、ひこう技にするなら特殊のめざ飛を採用するしかありません。ボルトロスとしてはめざ氷が欲しいところであり、また火力指数計算をすると、(http://pkc.client.jp/w/atkcalc.html より)C特化化身ボルトロスのめざ飛は17460であるのに対し、本育成論のクロバット(性格補正なしA44振り)のブレイブバードは20880です。物理と特殊という違いもありますが、ひこう技に関してはクロバットの方が上だと言えるでしょう。これによりでんき半減のメガフシギバナに対してクロバットが優位になります。でんき技は無効にされる場合もあり、ワンウェポンならひこうが強いというのはメガボーマンダがよく表しているかなと思います。(それにしても火力は桁違いですが)
そしていたずらごころは攻撃技には適用されないため、最後のひと押しをしたい場合素のすばやさが高いクロバットが光ります。逆に、最後の最後に変化技を打ちたい場合、クロバットより素早いポケモンの前でも変化技が打てる上記二匹は輝くと言えます。
ただ、いたずらごころはテテフのフィールド下では無効にされるため、スカーフさえ持っていなければ再度雨を展開できる可能性はクロバットが一番高いと言えます。
もう一つの明確な差別点は、どくどくが必中だということです。これによってかげぶんしんバトンやちいさくなる(ベトベトンは無理)をしてくる相手にみがわり貫通で毒を入れることができます。後出しからでも毒が入るということが、上記二匹との差別点となるでしょう。
そしてタイプも当然違います。クレッフィはじしんを透かせず、ボルトロスはでんきを等倍で受けられる代わりにクロバットは格闘をはじめ4分の1で受けられるタイプが多いです。特に恐ろしい火力を持つブルルの草技を4分の1にできるという利点があります。
ちなみに、ボルトロスはにほんばれを覚えないため、天候技なら雨パ専用ですが、クレッフィとクロバットはにほんばれを覚えます。このことにより、パーティに雨エースと晴れエース(水アタッカーと炎アタッカー)がいる場合、クロバットが技を使うまで後続がバレないという地味な相違点もあります。クレッフィはにほんばれをすると自身の二倍弱点の火力補強をしてしまうので少々相性が悪いと言えます。
以上のことをまとめると、次のようになります。
クロバットの利点
1、通りの良い高威力ひこう技をワンウェポンにできる。
2、どくどくがみがわりを貫通し必中なので後出しからでも対応できる可能性がある。
3、4分の1耐性が多く、受け出し範囲が独特である。(地面技も透かせる)
4、パーティ構築次第で雨起動なのか晴れ起動なのかを迷わせることができる。
クレッフィの利点
1、いたずらごころにより変化技を先制で打てる。
2、イカサマで高火力物理アタッカーを相手にできる場合がある。
3、補助技に優れる。
4、パーティ構築次第で雨起動なのか晴れ起動なのかを迷わせることができる。
化身ボルトロスの利点
1、いたずらごころにより変化技を先制で打てる。
2、イカサマで高火力物理アタッカーを相手にできる場合がある。
3、複合タイプが優秀である。
4、技範囲に優れる。
(追記ここまで)
とくせいともちものについて
クロバットには通常特性のせいしんりょくと隠れ特性のすりぬけがあります。怯まなくなるせいしんりょくも弱くはありませんが、身代わりや壁を貫通できるすりぬけの方が害悪対策にもなり本育成論のクロバットにも合っているため、すりぬけで確定とします。
もちものについては、本育成論のコンセプト上雨起動員として後続のエースに長く活躍してもらうためにしめったいわとします。
技構成説明
確定技
- あまごい
本育成論のコンセプトにつき確定。クロバットの耐性上昇、雨エースへ繋げるといった役割があります。
- ブレイブバード
メインウェポン。これがないと完全サポート型になってしまい、それなりにある種族値を無駄にしてしまうことになります。ひこう技の通りはそれなりに良く、高い素早さも相俟って最後の一押しに使えることも。クロバットの最高打点技のため確定とします。
候補技
- ちょうはつ
クロバットの高い素早さゆえに耐久型にはほぼ確実に上から通ります。耐久型の回復技を封じる他、害悪型の補助技も抑えることができます。
- とんぼがえり
タスキやばけのかわ剥がし、ゴツメ持ち判断に使えます。
- どくどく
すりぬけにより身代わり貫通の必中技。耐久型を強く意識するなら大いに採用できます。パーティに状態異常担当がいないなら優先的に採用し、どくが不要ならとんぼがえりにすると良いです。ただしクロバットのどくどくは必中なので優先度は高いです。
- はねやすめ
技スペースが厳しいですが、クロバットは素早さが高いため一時的にひこうの弱点を消すことができます。この型としては他の技より汎用性が劣るものの、ブレイブバードの反動も回復できるため悪くはないと思います。HPを回復できれば受け出しから再度あまごいのチャンスもあるでしょう。
他のポケモンでもできることではありますが、毒羽によってポリゴン2を安定して見られるようになります。
雨エースは誰にするのか
本育成論は雨エースを補助するクロバットについてですが、では雨エースって具体的にどのポケモン? といった時、まず挙がるのはメガラグラージ。こちらの弱点であるでんきは無効であり、その他の弱点も等倍、あちらの弱点であるくさは、クロバットは4分の1です。相性補完に優れます。メガラグラージに関しては育成論サンムーン/997を参考にしていただきたいと思います。この育成論の中で相性の良い味方と雨パで重くなりやすい敵が記載されていますが、相性の良い味方に是非クロバットを考えてみてほしいです。
その他有名な雨エースはキングドラキングドラでしょうか。ギャラドスギャラドスもメインウェポンのたきのぼりが強化されますが、でんき抜群が一貫するので注意です。(追記→ カブトプスカブトプスもでんきは一貫しますがそれ以外のタイプ相性は良いようです 追記ここまで)
雨パと言ってもそこまでガチガチにしないという選択肢もあります。雨の恩恵はみず技強化、ほのお技半減、かみなりやぼうふう必中とあるので、みず技を持つポケモンなら十分セットで採用できますし、ほのおに弱いポケモン(例えばハッサムやナットレイ)と合わせることで弱点を軽減することもできます。勿論相手のみず技強化には気をつけましょう。
努力値振りについて
最低限の火力は維持しつつ耐久に割き、高いS種族値を活かしたいところから考えました。
Sの種族値は130ですが、同速のカプ・コケコやメガゲンガーは正直タイマンで相手できないので、最速にする意味は薄く感じます。どこまで抜くかを考えた時、ゲッコウガは抜いておきたく、その上のオンバーンを抜くかどうかにぶつかります。オンバーンはとくせいですりぬけを持っており、どくどく、はねやすめ、とんぼがえりを覚えます。あまごいは覚えないので本育成論との差別化はされているものの、似た技を覚えるポケモンですので、それより速いことには意味があると思い、Sは最速オンバーン抜きの204振りとしました。
Hは定数ダメージを考慮して実数値が191となるH244振りです。これは有名なことですが、実数値を191にすることでゴツメ、火傷、天候ダメージが最少になります。
D12はダウンロード対策です。クロバットは無振りだとBとDの値が同じなので、ダウンロード対策はとてもしやすいと思います。
あとはなるべく火力を出したいためAに44振り、端数の4をBに振ります。
よってH244 A44 B4 D12 S204となります。
ダメージ計算
本育成論のクロバットは補助寄りであり、とんぼがえりはダメージを与えることを主目的としていないため、ブレイブバードのみ計算を載せます。その他気になったものは各々で調べていただきたいです。しかし、本育成論を展開するにあたって必要なものが載っていないと感じられた場合は、是非ご指摘ください。また、ダメージ計算にはポケモントレーナー天国さんのダメージ計算機(https://pokemon-trainer.net/sm/dmcs/)を使用させていただきました。
- 与ダメージ(ブレイブバード)
H4B4メガバシャーモ 156~186(100%~119.2%)確定一発
H252B252補正ありメガバシャーモ 110~132(58.8%~70.5%)確定二発
H4B4ゲッコウガ 90~106(60.8%~71.6%)確定二発
H4B4メガリザードンY 79~94(51.2%~61%)確定二発
H4B4カプ・テテフ 82~97(56.1%~66.4%)確定二発
H4B4メガゲンガー 78~93(57.3%~68.3%)確定二発
H252B4メガゲンガー 78~93(46.7%~55.6%)乱数二発(69.5%)
H4メガルカリオ 73~87(50%~59.5%)確定二発
H4カミツルギ 52~63(38.5%~46.%)確定三発
H4ウルガモス 186~222(115.5%~137.8%)確定一発
HD252補正ありメガフシギバナ 84~98(44.9%~52.4%)乱数二発(18%)
H4B4メガチャーレム 150~179(110.2%~129.4%)確定一発
H4B4アーゴヨン 84~100(56.3%~67.1%)確定二発
キノガッサ ダメージ的にはどんな型でも確定一発
- 被ダメージ
雨下A252補正ありメガバシャーモのフレアドライブ 76~91(39.7%~47.6%)確定三発
雨下C252補正ありメガリザードンYのオーバーヒート 84~99(43.9%~51.8%)低乱数二発(9.4%)
A252メガルカリオのコメットパンチ 134~158(70.1%~82.7%)確定二発
C252補正ありメガゲンガーの10万ボルト 164~194(85.8%~101.5%)乱数一発(12.5%)
A252補正ありミミッキュのシャドークロー 61~73(31.9%~38.2%)超高乱数三発(96.9%)
同ミミッキュのシャドークローZ 123~145(64.3%~74.9%)
C252補正ありアーゴヨンのりゅうせいぐん 141~166(73.8%~86.9%)確定二発
C252補正あり変幻ゲッコウガのれいとうビーム 170~204(89%~106.8%)乱数一発(37.5%)
仮想敵と役割範囲、苦手な相手について
環境的に向かい風の中、クロバットが役割を持てるポケモンはいるのでしょうか。います。ちゃんといます。
上記のダメージ計算を鑑みるに、実はそれなりに耐久力があることが分かります。タイプ不一致の弱点くらいなら耐え、メガルカリオメガルカリオクラスの等倍火力でも一発は耐えます。
役割を持てる、という言葉を「後出しから安定して処理できる」とする場合、確実に役割を持てるポケモンは正直かなり少ないです。メガフシギバナメガフシギバナやウルガモスウルガモスは見ることができそうですが、後出しから処理をクロバットに求めるのは酷というものでしょう。
本育成論のクロバットが持つ役割の一つは、雨を降らせつつ生き残れるか、ということです。そう考えると、メガバシャーモメガバシャーモとの対面は決して悪くないということが分かります。クロバット相手には初手まもるが安定のはずですので、その間に雨を降らせることができ、相手のほのお技は半減となります。もともと格闘は4分の1ですので、相手としても打点がなくなってきます。PGL DATABASE(http://pgl-db.net/season-pokemon-detail/?pokemon=257-0&battle=0&season=310)によると、バシャーモの岩技搭載率はUSUMシーズン10でいわなだれ9.71%、ストーンエッジ6.57%とかなり低めです。採用率の低さと命中率を考えると、考慮に入れなくても良い範囲だと思います。
そしてミミッキュミミッキュとの対面においても、フェアリー技は半減であり、シャドークローはほぼ確定三発、剣の舞はちょうはつでとめられ、皮はとんぼがえりで剥がせることから(あるいはどくどくを入れる)安定してあまごいを発動できそうです。ゴーストZを切ってきた場合はクロバットでは勝てませんが、クロバット相手にゴーストZを切るという選択肢は相手側にしても難しいのではないでしょうか。いずれにしてもミミッキュより速くかつ一撃で落とされないため、本育成論のクロバットは十分役割を果たせると言えます。
役割を持つという言葉を「相手のポケモンを前にして仕事ができる」と定義すると、メガリザードンYメガリザードンYの前でも役割を遂行できます。相手は特性で日照りにしてきますが、こちらは技で雨にします。そして相手のほのお技は半減かつ素早さはこちらの方が上であるため、雨を降らせつつ生き残ることは十分に可能です。
この意味で、こちらより素早さが低く、こちらを一撃で落とすことのできないポケモンに対してはきちんと仕事がこなせるということになります。ちょうはつによる起点化阻止もできるため、ポテンシャル的に雨起動要員としての適正は高いと言えるでしょう。
逆に言えば、そうでないポケモンに対しては滅法弱いです。こちらより速く一致弱点を突いてくるカプ・コケコカプ・コケコやメガフーディンメガフーディン、メガプテラメガプテラ、メガライボルトメガライボルトは天敵です。中でもコケコは先発起用率が高いため、コケコ入りのパーティに初手で投げるのはディスアドバンテージになりやすいです。
他にもタイプ一致高火力で弱点を突かれると突破されてしまうので、相手の前で仕事ができるかということを考えた上で選出するようにしましょう。
(追記→)また、相手がスカーフを持っていた場合、思わぬ敵から攻撃を受けてしまうこともあります。タイプ不一致の弱点程度なら大抵耐えますが、スカーフ所持率の高いカプ・テテフカプ・テテフには高火力で一致弱点を突かれてしまいます。他にも変幻自在で全ての技をタイプ一致で打ってくるスカーフゲッコウガゲッコウガのれいとうビームにも要注意です。(追記ここまで)
実戦での使用感
コケコがいるパーティには非常に出すのを躊躇うため、正直に言って選出率が高いとは言えません。しかしブレイブバードやどくどくにより、雨パというくくりでなくとも起用できる強みがあります。
対ポリゴン2でははねやすめが欲しくなりましたが、正直毒さえ入れられれば後続でも対応できるので、そこまで困りませんでした。火力に振っていないポリ2のれいとうビームなら乱数二発です。(火力に振っていても確定二発)
またコケコがいるパーティでも採用することは一応できます。先発起用ではありませんが、コケコに対して有利なポケモンで先にコケコを落とせば、相性補完上有利な相手が残ることが多いです。ここぞという時にその素早さとブレイブバードが光る場面がありました。
あとは何より、高速貫通必中どくどくが頼もしいですね!
さいごに
以上で「単体でも扱いやすい雨起動型クロバット」の育成論考察を終わりにします。まだ2回目の投稿で慣れないところもあり、見づらいものとなってしまっているかもしれませんが、少しずつ改善していきたいと思います。
ご意見や感想、質問、アドバイス等ありましたら是非コメントをいただきたいと思います。最後まで読んで下さってありがとうございました。少しでも参考になれば幸いです。