7/25 確定欄の技をハイパーボイス→身代わりに変更
採用理由とコンセプト
悪巧み+タイプ一致ダイジェットを利用したダイマックスエースとしての採用になります。トゲキッス等で有名な戦法ですのでシンプルに強いことはお分かりいただけるかと思いますが、ヨルノズクの最大の強みは催眠術を習得することになります。命中率は不安ですが、当たれば2/3の確率で無償で悪巧みを積むことができる点が非常に強力です。単体での運用は安定性に欠けるため、基本的には他のポケモンの重力でサポートすることを推奨します。
また、特性の色眼鏡によって飛行技を半減されることが(ほぼ)ないことも大きな個性になります。トゲキッス対策を電気枠など飛行耐性持ちでしている構築には刺さりやすいです。下手に交代読みで低火力技を打ち分ける必要がないためターンを無駄にしにくいですし、サブウェポンを採用する必要がほとんどなく自由枠にピンポイントな技を採用しやすいというメリットもあります。
催眠術+悪巧みヨルノズクの育成論としては黒狼鳥様の育成論ソードシールド/583がすでに投稿されていますが、想定する運用方法が異なるためフォークとして投稿します。上記の育成論が催眠術+空振り保険で命中不安をケアしているため単体でも運用しやすい一方で、この育成論では味方のサポートを前提としてより安定性の高い運用を目指しています。
重力催眠とは
まず、重力というマイナー技について解説しますと、主な効果は以下の2つです(その他の細かい効果はhttps://yakkun.com/swsh/zukan/search/?move=356を参照してください)。
- 5ターンの間、すべてのポケモンの命中率が5/3倍になる。
- 特性『ふゆう』や、ひこうタイプのポケモンにじめんタイプの技が当たるようになる。
このヨルノズクは1つ目の効果を利用します。重力下で催眠術を使うことで命中が100%の催眠技として運用でき、相手が2ターン以上眠れば(確率2/3)無償で悪巧みを積むことができます。仮に最速起きされてももう一度重力催眠を打てる(『運用』の項を参照)ため、かなり分の良い勝負だと言えます。
前作まではランドロス(霊獣)カプ・テテフヤミラミの重力+メガゲンガーの催眠術といった組み合わせがそれなりにメジャーでしたが、それらのポケモンがリストラされた(ヤミラミは重力没収)今作ではスペックの高い重力使い/催眠術使いが少なく、ほとんど見かけない戦術となりました。ヨルノズクは、癖のない火力/素早さの強化手段を持つこと、および耐久や耐性が良好(物理耐久はやや怪しいが)なことから、剣盾環境においては最も安定感のある重力催眠エースの1体であると思います。
なお、2つ目の効果はヨルノズクにとってデメリットになりうる点には注意が必要です。通常の感覚で地面技に受けだしをすると、等倍で入るためかなりの痛手を追うことになります。
差別化
催眠術+悪巧み+タイプ一致特殊飛行技を両立するポケモンはヨルノズクのみであることから、重力催眠を利用して同じ動きができるポケモンは他にいません。
最メジャー級の特殊ダイジェットエースであるトゲキッスは、数値上ヨルノズクのほぼ完全な上位互換です。単体で悪巧み+ダイジェットをする上ではトゲキッスの汎用性には敵いませんが、ロンゲキッスオーロンゲトゲキッス(壁貼り+トゲキッス)のようなサポート前提での運用と比較した場合はヨルノズクも負けていません。主な優位点は以下の通り。
- 重力催眠ならば無償で積める可能性が高い
- 弱点の少なさ、ゴースト耐性(=影討ち無効)
- 色眼鏡による飛行技の一貫性
- 催眠術による無限のワンチャン性能(トゲキッスの天の恵みエアスラッシュも同じ6割怯みで運ゲができますが、当てれば数ターンのアドが得られる可能性がある点では勝ります)
また、トゲキッスが習得しない暴風を扱えるため火力の差は実はそこまでありません。
その他の重力催眠エースとの比較は、長くなるので論の最後におまけとして載っけておきました。トゲキッスも加えた飛行技の火力比較もあるので、よければ参考にしてください。
性格・個体値・努力値
性格:臆病
個体値:31-0-31-31-31-31
努力値:B52 C252 S204
実数値:175-49-77-138-116-127
H 16n-1調整(天候/ステロダメ割合最小)
A 最低
B 余り
C ぶっぱ
S 最速61族バンギラス+3/ランク+1で最速120族インテレオン+1
控えめだとダイジェット1回でエースバーンすら抜けないため性格補正はSにかけています。最速にすれば準速81族ギャラドス+1となるので振り切ってもいいかもしれないです。
火力はできるだけ欲しいので252振り。H振りナットレイ等への確定数を考えると削りにくいです。
余りは、一応薄めの物理耐久を補うつもりでBに振っています。
特性
コンセプトから色眼鏡で確定です。飛行技の一貫性を確保できる有用な特性で、トゲキッスとの大きな差別化ポイントになります。
不眠も欠伸を前に積めるなど有用な面はありますが、トゲキッスもラムを持つことで対策できるため優位性があるかは怪しいところです。
持ち物
基本的に飛行技しか打たないため鋭い嘴と相性が良いです。1積みダイジェットでH振りナットレイが低乱数1発→確定1発など確定数の変化も見られるため有用です。命の珠は反動で耐久が削れるうえに、パーティ内での競合率も高くなりやすいので非推奨です。
電磁波や欠伸で止めに来る相手に刺さるラムの実も候補に上がると思います。
技構成
- 確定技
暴風
エアスラッシュも覚えますが、基本的にダイマックスして打つことが多いので少しでも火力を上げるために暴風を推奨します。非ダイマックス時は命中不安ですが、同条件トゲキッスのエアスラッシュを上回る火力になります。
悪巧み
今作習得した超優秀な積み技。悪巧み+タイプ一致ダイジェットが使えるだけでもう少し評価されても良いと思っています。
催眠術
トゲキッス等との差別化点の一つ。重力下では命中100%の催眠技となり、強引に積む機会を作り出すことができます。どうしようもない状況でも、素で打つことでワンチャン掴みにいける点も○。
- 選択技
基本的に3つの確定技で完結している性能なので、4枠目の技は使う機会がとても少ないです。筆者自身も最善はどれなのかよく分かっていません。
身代わり
重力が3ターン以上残る状況でヨルノズクを着地させれば、1回限りですが相手の最速起きに対応できます。サポートなしでの単体運用を考えても、相手からの補助技をすかしつつ悪巧みを積む機会を作れるので有用です。
ハイパーボイス
無難な選択肢。非ダイマックス時の命中安定打点です。ダイアタックで相手の素早さを下げることで後続のサポートとしても使えます。
破壊光線
ハイパーボイスより火力が出ますが、反動と命中不安が気になるところです。
熱風
リフレクター
余裕があるときに不安のある物理耐久を補うことができます。相手を倒した後も効果が場に残る点でフェザーダンスよりも優れていると思います。
羽休め
ステロなどで削れても体力管理ができます。
運用
先発のポケモンで重力+S操作等のサポートを行ったあと、ヨルノズク死に出しから催眠術→悪巧み→ダイジェットで全抜きを狙います。催眠ターンの都合上、悪巧みは1回しか積めないことが多いですが、低速受けサイクルを相手にする場合などは2回積んだほうが良いこともあります。先発ポケモンが重力を打った次のターンに退場すればヨルノズクは重力を3ターン活用でき、仮に最速起きされてしまってももう一度重力下で催眠術を使うことができるため事故が少ないです。使用感としては、重力催眠が決まれば全抜きないしは相手のパーティを崩壊させる性能がありますが、前座のサポートをうまく行うのが少し難しい印象でした。
相手の構築次第では、初手のポケモンである程度暴れて、死に出し(可能なら後出し)から重力催眠を展開していくルートもありえます。相手の頭数を減らしたり削りを入れたりすることができるためヨルノズクで全抜きしやすくなる一方で、プレイングの難易度は上がります。また、最低限の単体スペックはあるのでサポートなしのピンの選出も一応可能です。ただし、その場合はどうしてもトゲキッスの劣化気味ではあるので、重力要員とセットで採用することをおすすめします。
相性の良い味方
重力って誰で張ればいいの?という方に向けて、現環境で使いやすい重力役をご紹介します。
- ピクシーピクシー
最有力の重力役。尻尾トリック→重力→癒しの願いで自主退場の流れを安定して決められます。トリックはラムの実を自然とケアできるメリットもあり、特性の天然により死に出し限定ですが相手エースのストッパーにもなれる点も評価が高いです。ステロや両壁等の他の補助技や、ムンフォでの削りもこなせるなど万能さが光ります。大天使様の育成論(育成論ソードシールド/1385)の調整をお借りして、技を月の光/ステルスロック→重力/癒しの願いに変えた構成で使っていました。
こちらもトリック+重力+自主退場(置き土産)を両立可能ですが、お見通しで相手の型を確認したり挑発で相手の起点作成を妨害したりできる点がピクシーにはないメリット。トリルで切り返していく動きが可能な点も特徴的です(トリルとダイジェットは一見相性が悪そうですが、ヨルノズク自身は素のSがそこまで高くないこともありターン管理をうまく行えばS操作として十分機能します)。
- イシヘンジンイシヘンジン
ステロ+重力を両立する中で最速のポケモン。岩石封じでS操作→重力(→生き残ったら大爆発)で速やかに重力催眠エースに繋げることができます。ステロ+大爆発の組み合わせで襷や頑丈をほぼ確実に潰せるのがメリット。けいけい様の育成論(育成論ソードシールド/1420)のイシヘンジンの項目にある調整をお借りしていました。
ダメージ計算
ダメージ計算SS(for iPhone)を使用しています。
- 与ダメージ
悪巧み1積みはダメージ量が2倍、2積みは3倍と考えてください。
・ダイジェット(威力140)
175-91ゴリランダー 164.5%~195.4% 確定1発
155-96ドラパルト 87.7%~104.5% 低乱数1発
157-127ウォッシュロトム 64.9%~77.7% 確定2発
181-136ナットレイ 53.5%~63.5% 確定2発
215-136カバルドン 45.1%~53.4% 低乱数2発
181-184ナットレイ 39.7%~46.9% 確定3発
175-111ジバコイル 33.1%~38.8% 高乱数3発
・ダイアタック(威力130)
175-111ジバコイル 52.5%~61.7% 確定2発
- 被ダメージ
・物理耐久
A194ゴリランダーのGFグラススライダー 36.5%~43.4% 確定3発
A142ミミッキュの戯れつく 53.7%~64.0% 確定2発
A187ドリュウズのアイアンヘッド 62.2%~74.2% 確定2発
A114ナットレイのジャイロボール(推定威力150) 72.0%~84.5% 確定2発
A172ドラパルトのドラゴンアロー 36.5%~43.4%×2 確定3発
A112マリルリの力持ち戯れつく 84.5%~100.0% 高乱数耐え
A168エースバーンの火炎ボール 84.5%~100.0% 高乱数耐え
A184エースバーンの珠火炎ボール 109.7%~130.2% 確定1発
A168エースバーンの珠キョダイカキュウ 145.7%~172.5% 確定1発
A192ヒヒダルマ(ガラル)の五里霧中氷柱落とし 203.4%~241.1% 確定1発
・特殊耐久
C73ドヒドイデの熱湯 17.1%~20.5% 乱数5発
C172ポリゴン2のトライアタック 38.2%~46.2% 確定3発
C126ポリゴン2の10万ボルト 43.4%~51.4% 低乱数2発
C211ギルガルド(ブレード)のラスターカノン 48.0%~56.5% 高乱数2発
C152ドラパルトの眼鏡流星群 82.2%~97.7% 確定耐え
C172ウォッシュロトムの10万ボルト 86.8%~102.8% 高乱数耐え
C150ラプラスのDM絶対零度 107.4%~128.0% 確定1発
C200ジバコイルのDM10万ボルト 145.1%~171.4% 確定1発
おまけ ー 重力催眠ダイジェットエース考察
重力催眠(+ダイジェット)のエース候補と、それらと比べた時のヨルノズクの利点について簡単に考察しました。あまり開拓が進んでいない分野なので抜け漏れも多いと思いますが参考程度に見ていってください。
- シンボラーシンボラー
催眠術+色眼鏡+タイプ一致ダイジェットがヨルノズクと共通し、さらに自分で重力をすることができるため単体でも完結できる点は強そうです。しかし、悪巧みと暴風を覚ないため、瞑想+エアスラッシュに頼ることとなります。飛行技の瞬発的火力に大きな違いがあるので、ヨルノズクの方が色眼鏡ダイジェットエースに向いているように感じます。耐性(ゴースト無効/悪等倍)や耐久(特に特殊)の差による安定性も大きいです。
- バタフリーバタフリー
眠り粉+色眼鏡+蝶の舞+暴風で重力催眠エース適性がありますが、耐性や耐久、悪巧みの習得等により差別化は容易です。よく見かける複眼眠り粉による命中97.5%の催眠を活かした無限型とも、連続技等で対策されにくい点などが異なります。
- フワライドフワライド
催眠術が使えて、熱暴走+火炎玉や軽業+サイコシード(イエッサン♀と組ませる前提)で面白い動きができそうです。ヨルノズクの優位点はシンボラーとの比較と同様、耐性(ゴースト無効/悪等倍)や特殊耐久、悪巧みの習得などに加え、色眼鏡による飛行技の一貫性も挙げられます。あとフワライドの特殊飛行最大打点が風起こし()なの知らなかったんですけど冷静に考えてやばくないですか?
- ケンホロウケンホロウ
ヨルノズクと同タイプで催眠術を扱うことができ、強運+気合い溜めの確定急所戦術により壁展開にも強い重力催眠エースになります。物理/特殊の違いはありますが、積み技を使った後の火力や色眼鏡による飛行技の一貫性の面でヨルノズクに軍配が上がります。
その他にも、ニョロボン(催眠術+腹太鼓+すいすい+ダイストリーム)(後日自身で投稿しました→育成論ソードシールド/1520)やキュウコン(催眠術+悪巧み+晴れ炎技)なども重力催眠エースの候補として上がりそうですが、攻撃範囲が違うので詳細な比較は控えます。
候補に上がるのがことごとく数値が足りないポケモンであることから、今作の重力催眠の辛さが伺えますね。でもヨルノズクはその中でもスペックが高い方だと思います。
【参考】(特殊)飛行技の火力指数リスト
100,620:臆病トゲキッスの+2DMエアスラッシュ(急所) ※強運+ピントレンズで急所率1/2
80,496:臆病トゲキッスの+2鋭い嘴DMエアスラッシュ
69,552:臆病ヨルノズクの+2鋭い嘴DM暴風
58,050:臆病トゲキッスの+2エアスラッシュ(急所) ※強運+ピントレンズで急所率1/2
54,648:臆病ヨルノズクの+2鋭い嘴暴風
54,405:臆病シンボラーの+1鋭い嘴DMエアスラッシュ
48,762:陽気ケンホロウの鋭い嘴DMブレイブバード(急所) ※強運+気合い溜めで確定急所
46,440:臆病トゲキッスの+2鋭い嘴エアスラッシュ
43,132:臆病フワライドの+1熱暴走DM風起こし
41,796:陽気ケンホロウの鋭い嘴ブレイブバード(急所) ※強運+気合い溜めで確定急所
31,388:臆病シンボラーの+1鋭い嘴エアスラッシュ
19,170:臆病フワライドの+1熱暴走風起こし
以上です
ご覧いただきありがとうございました。