注…この育成論は著者がやりたい事を詰め込んだ結果、やや机上論ぎみとなっています。9月30日この育成論の修正、再構築版を投稿しました。全く内容の異なる育成論ですが、そちらは実用面を追求した実戦向けの仕様になっているため、ランクマッチでヌメルゴンにスカーフを持たせる事を検討されている方は、お手数ですがそちらを御覧ください
9月27日、論の一部を加筆し、それに伴い文章を一部見直しました。
はじめに
こんにちは。むちころ犬と申します。
今回で投稿も10回目、2ヵ月前はまさかこんなハイペースで育成論を書くとは考えていませんでした。
ここまでこれたのも一重に御感想、御意見、御評価下さる皆様のお陰だと感じています。
王道から外れた論が多い自分ですが、これからも精進して参りますので、どうぞよろしくお願い致します。
それでは今回のテーマであるスカーフヌメルゴンの考察に移ります。「特殊受け」としての需要が多いヌメルゴンですが、それとはまた違う側面を伝えられればと思います。
ヌメルゴンの特徴
まずは基本となるヌメルゴンの対戦下での特徴を簡潔にまとめます。
強み
1、最高クラスの合計種族値と、中でも非常に高い特殊耐久値
2、多種多様な高威力技の習得
3、専用特性「ぬめぬめ」の独自性
弱み
1、D以外のやや中途半端な種族値配分
2、積み技を始め、補助技のレパートリーの少なさ
主にこのような特徴を持ちます。
単ドラゴンタイプの中火力帯という非常に不安定かつ止められやすい基礎能力であるものの、それを補える豊富なサブウェポンをいくつも習得出来るのがヌメルゴンの強みとなります。
その反面、高いDを持つものの再生回復を始め有用な補助技をほとんど覚えないため、環境では自身の強みと完璧にマッチした「とつげきチョッキ」や、耐久力を補強する「たべのこし」「オボンのみ」等が人気の持ち物となっています。
努力値もそれらに合わせ、基本的にはHCベースの調整を施される事が多く、持ち物の差異はあれど基本的には技範囲の広さとDの数値を全面に出した「特殊流し」型である事が殆どです。
何故ヌメルゴンにスカーフなのか
上記したように、種族値や性質的には「特殊流し」が最も合理的なヌメルゴンの型ですが、そんな中「こだわりスカーフ」に適正があるサザンドラやパッチラゴンウーラオス(いちげき)等を押し退け、何故あえてヌメルゴン@こだわりスカーフを選択する必要があるのかを次に見ていきましょう。
1、確定二発以内で処理出来る範囲が非常に広い
最も大きな理由はこれです。
過去のビリジオン育成論でも触れましたが、シリーズ6で採用率上位に食い込んでいるポケモンは比較的弱点が纏まっている傾向にあります。例えば「草/闘」の組み合わせだけでTOP30の内の約半数に弱点が突けるといった具合ですね。
ヌメルゴンは草や闘を含めサブウェポンに多種多用な高威力技がありますが、中途半端なSにより「とつげきチョッキ」等ではこちらが2回行動する前に後出しされた物理に流されてしまう事がよくあります。「こだわりスカーフ」でSを補い、行動回数を安定して一回多く稼ぐ事で、パッチラゴンやアシレーヌリザードンサザンドラドサイドンギルガルド(シールド)アイアント等環境の中心に居座るポケモン達を物理特殊問わず突破出来る場面が増えます。また現在はシリーズ6を想定していますが、サブウェポンをカスタマイズする事でどの環境でも適応出来る汎用性も魅力の一つです。
2、無振りでも十分なサイクル適正
H90に加えてDが150と、この時点で既にH振りニンフィアと肩を並べる程の特殊耐久値があるため、耐久方面に努力値を割かなくても特殊全般に対して数値で後出しを成立させる事が出来ます。
この高い後出し性能に加え、スカーフパッチラゴン以上の速度とそこそこの打点を両立出来るのはヌメルゴンならではです。
3、特性「ぬめぬめ」による後続サポート性能
自らの役割終了後も、高速物理アタッカーに対して先制で削りをいれた後、そこから更に接触技に対して「ぬめぬめ」をいれる事が出来る場面があります。
襷ウーラオス(いちげき)等にこの流れが決まると、襷潰し+Sダウンと此方側にとって絶大なアドバンテージが得られます。(スカーフだった場合も、技固定された持ち物のないウーラオス(いちげき)にする事が出来ます)
以上3点に加えて、「特殊流し」のイメージからスカーフをほぼ警戒されない事もヌメルゴンに「こだわりスカーフ」を握らせる大きなメリットになります。(スカーフ所持のヌメルゴンは全体の僅か1.7%程です)
一方で技の撃ち分けが出来ないのでそれなりの頻度で交換読みを行います。その都合上「知識」と「経験」が必要で扱いは難しい部類に入りますが、慣れれば高い特殊耐久を盾に強気な後出し→上から弱点押し付けていける立ち回りが魅力です。
採用理由と役割
1、数値を利用した特殊全般に対する味方サイクルの引き先
2、環境に合わせ広範囲に抜群が取れる高威力技をカスタマイズし、それをスカーフパッチラゴン以上の早さで撃つ速攻型のアタッカー
主にこの2点の両立が採用理由となります。
シリーズ6では構成技を「竜」「炎」「草」「毒or闘or水」とすると、9月26日現在の採用率TOP30の内およそ20~22体に対して上から弱点を突く事が可能になります。(スカーフ持ちを除く)
本論はヌメルゴンをサイクル構築に組み込む事を意識していますが、「上から広範囲に弱点を突く」というコンセプト上1対1交換以上を強く意識する「対面構築」にもある程度高い適正があります。
持ち物
こだわりスカーフ
コンセプトであるため確定です。
耐久方面に努力値を割く事が多いので忘れられがちですが、元々のSは80とパッチラゴンよりも素早く、S5以前も最速ならドラパルトを抜けていたため、広範囲をカバー出来る高威力技を多く習得する事を踏まえると「こだわりスカーフ」への適正は実は元から高めです。
特性
ぬめぬめ
接触技を受けた時相手のSを一段階下げます。
優秀な特性ですが、これを発動させるために積極的に物理にヌメルゴンをぶつけるのは避けてください。
この特性の使い道は、あくまで「ヌメルゴンが役目を終えた(主に相手特殊アタッカーを潰した)後、出てきた物理に対して削りと妨害を同時に行う」ためだと意識してください。特に全ての技が接触技で固まるウーラオス(いちげき)に対して高いメタ性能があります。
基本的に「ぬめぬめ」が最も発動機会に恵まれていますが、ナットレイやいずれ帰ってくるゴリランダーを強く意識する際は「そうしょく」でもかまいません。
性格
せっかちorおくびょう
真下の75属にパッチラゴンやウオノラゴンがいるため補正は必須です。物理技を採用しないなら「おくびょう」で問題ありませんが、対アシレーヌや「地/水」複合勢への有効打となる「パワーウィップ」を採用する場合は、役割対象外となる対物理を切る「せっかち」を推奨します。
努力値と調整
CS252余りH
基本はこの配分ですが、ドラパルトがいないシリーズ6では実数値で5程Sを削る猶予はあります。(もうそれならぶっぱでいいと個人的には思いますが…)
「パワーウィップ」を採用するだけなら確定数にそれほど影響がないためAに努力値を割く必要はほぼありません。一応「せっかち」採用時の調整案を一つ掲載します。
調整案
B60
C230
S220
Sを最速パッチラゴン抜きまで落とし、可能な限りCを維持したまま、ウーラオス(いちげき)の「インファイト」を高確率で耐える(最大ダメ100.6%)調整がこちらになります。
=無補正A130属一致120技までほぼ耐えとなります。
性格が「おくびょう」である場合、この調整は必要ありません。
尚この調整を施したとしてもウーラオス(いちげき)に対面有利となる訳ではないので、あくまで「体力が満タンなら、相手がスカーフでも一度は行動出来る」保険といった認識でいいかと思います。
技構成
確定技
りゅうせいぐん
メインウェポンです。
例え物理に厚く努力値を割いた型だとしても、行動固定が痛すぎるので「げきりん」は非推奨です。
仮にCが無振りに近くても、役割対象であるパッチラゴンウオノラゴンサザンドラオンバーンに対する確定数は基本的に変わりません。(DMを除く)
撃ち逃げするのが理想ですが、同一の相手に対して2発目までの総ダメージでは「りゅうのはどう」を越えるため、一応は連発も視野に入ります。
スカーフを警戒されないため、上から叩く前提で強引に後出しをしてきたウーラオス(いちげき)やホルードマンムー等に対して上から2発目を叩き込む事で突破出来る事もあります。
選択技
確定とするのは上記の「りゅうせいぐん」のみです。
それ以外の技については環境事に優先順位は変わりますが、ひとまずはシリーズ6を意識した構築を取ります。
かえんほうしゃ
主にナットレイハッサムアイアントアーマーガア等に対して撃つことになります。ただ全員物理なので初手出しでの偶発対面を除いてこれらと鉢合わせる事は少なく、また対面したとしても基本的に逃げられるのですが、DMアイアントを上から叩けるのはスカーフ型の大きなメリットです。「だいもんじ」でももちろん構いませんが、ナットレイ以外に対して確定数が変わらないので、基本的にC252なら命中安定の「かえんほうしゃ」をおすすめします。
パワーウィップ
シリーズ6では「草」技の通りがいいため優先度は高めです。
Aが無振りでも下降補正を掛けなければH252ガマゲロゲを確定1発、H252アシレーヌウォッシュロトムHRドサイドン、無振り連撃ウーラオス(いちげき)、特化トリトドンを全員確定2発に出来る威力は出ます。
特にアシレーヌやトリトドンは後出しされやすい部類になるので、持っておくと相手サイクルを早期に崩せる事があります。
ハイドロポンプ
主にドサイドンやリザードンヒートロトムウインディ等に対して撃ちます。
上記をふくめた「竜」「炎」「草」「水」の4つは現環境で非常に広い抜群範囲を持つ並びになっています。(9月26日現在、採用率TOP30中22体が何れかの弱点持ち)
ヘドロウェーブ
アシレーヌに関しては「パワーウィップ」の方が優秀ですが、マリルリを始めその他のフェアリーに関しては基本的にこちらの方がダメージが入ります。
ただ、ややもったいない点として環境に存在するフェアリー全般がヌメルゴンより素で遅いため、「こだわりスカーフ」での奇襲性が機能しない事が上げられます。
ばかぢから
対一撃ウーラオス(いちげき)やカビゴンハピナスに対する役割破壊になりますが、カビゴンはB振りだとこちらがA252振りでもA↓込みで確定2発に出来ず、一撃ウーラオス(いちげき)も確定2発を取るためには相当努力値を割かないといけないので(そもそも「りゅうせいぐん」で十分)、優先順位は低めです。
他にも
じしん
10まんボルト&かみなり
れいとうビーム&ふぶき
いわなだれ
はいよるいちげき
など物理特殊共にバリエーションが豊富です。
現状これらの優先順位はあまり高くありませんが、今後の環境次第でいくらでも変わります。
立ち回り例
基本的に相手特殊に対する受け出しを狙いますが、奇襲性の高い先発運用も悪くありません。
耐久面は無振りですが、これでも補正なしサザンドラの「あくのはどう」レベルならほぼ3発耐え、特化アシレーヌの「ムーンフォース」も余裕をもって確定耐えするレベルの特殊耐久があります。(C特化でなければ、「うたかたのアリア」→「ムーンフォース」を確定耐え出来ます)
場に出した後、1サイクル目からでも状況次第で交換読みを撃つ場面もそこそこあります。特に従来型のヌメルゴンもよく採用している「炎」技に対して弱点を持つポケモンは、元々のSの関係上アイアントとルカリオを除いてほぼ打ち合おうとはしません。これらに対しては積極的に裏に刺さる技を選択しましょう。
各種FCロトムは「ボルトチェンジ」で逃げようとする事が殆どなので、それぞれに対して有効な技を選んでおくと吉です。
与ダメージ計算
比較的環境で見掛けるポケモンを抜粋(C252で計算)
りゅうせいぐん
無振りパッチラゴン…159%〜188%
無振りウオノラゴン…142%〜170%
無振りサザンドラ…130%〜153%
無振りオンバーン…147%〜175%
無振りオノノクス…174%〜205%
無振りウーラオス(いちげき)…84%〜99%
無振りポリゴンZ…78%〜91%
無振りカビゴン…39%〜46%
かえんほうしゃ
無振りアイアント…241%〜285%
無振りルカリオ…85%〜100%
H252ナットレイ…91%〜108%
H252ハッサム…127%〜149%
H252アーマーガア…52%〜61%
H252エアームド…72%〜85%
無振り輝石レアコイル…65%〜78%
パワーウィップ(補正なし無振り)
無振り連撃ウーラオス(いちげき)…51%〜61%
H252アシレーヌ…62%〜74%
H252マリルリ…53%〜62%
H252ガマゲロゲ…108%〜128%
H252ウォッシュロトム…55%〜65%
特化ヌオー…73%〜87%
特化トリトドン…77%〜91%
ハイドロポンプ
無振りリザードン…83%〜99%
無振りシャンデラ…91%〜107%
D252ドサイドン…99%〜118%
H252ヒートロトム…68%〜80%
H252ウインディ…69%〜81%
H252ガラガラ(アローラ)…81%〜96%
ヘドロウェーブ
H252アシレーヌ…46〜54.5%
H252マリルリ…56%〜67%
H252ニンフィア…39%〜47%
H252オーロンゲ…61%〜72%
H252ピクシー…52%〜62%
かなり広範囲のポケモンのメジャー型に対して確定2発以上を取れる事が見て分かります。
被ダメージ計算
特化FCロトム
10まんボルト…16%〜19%
オーバーヒート&リーフストーム…22%〜27%
ハイドロポンプ…19%〜22%
エアスラッシュ…26%〜32%
ふぶき…76%〜91%
特化アシレーヌ
うたかたのアリア…17%〜21%
ムーンフォース…73%〜88%
C252DMリザードン
ダイジェット(エアスラッシュ)…42〜50.5%
ダイバーン(ブラストバーン)…24%〜30%
ダイドラグーン(りゅうのはどう)…56%〜67%
特化ギルガルド(シールド)
シャドーボール…34%〜40%
ラスターカノン…34%〜40%
C252ポリゴンZ(てきおうりょく)
トライアタック…41%〜48%
れいとうビーム…46%〜54%
C252サザンドラ
あくのはどう…29%〜34%
りゅうせいぐん…91.5%〜109.6%
このレベルの火力を受けると流石に怪しくなります。
特化ウルガモス
むしのさざめき…37%〜44%
オーバーヒート…27%〜31%
C252オンバーン
りゅうせいぐん…80%〜94%
エアスラッシュ…22%〜27%
殆どの特殊技を確定2発以下に出来るため、「こだわりスカーフ」と合わせる事で、対面からだと殆どの特殊アタッカーに有利を取れます。
相性の良い味方
ヒートロトムヒートロトム
ヌメルゴンが苦手な「氷」と「妖」を半減し、ヒートロトムが苦手とする「水」を彼方が受けてくれるので相性は良好です。引き際の「ボルトチェンジ」がヌメルゴンに微妙に足りない火力を補ってくれるため、対アシレーヌやマリルリ等へ更に強くなります。
補完面を抜きにしても普通に汎用性が高いポケモンなので、選出に幅を作る意味でもおすすめします。
ウーラオス(いちげき)ウーラオス
「妖」が一貫してしまいますが、ヌメルゴンがどうしても苦手になりやすいカビゴンハピナスに対して強い駒になります。
「だっしゅつパック」を持たせて「インファイト」メインで立ち回ると、後出し時のカビゴンの「あくび」をかわしながらサイクルを回せたり、先制脱出インファがヌメルゴンに不足しがちな火力を補ってくれたりと、上記ヒートロトムと合わせてなかなか個性的な動きが出来そうかなと感じます。(著者未検証)
補完面では「水」複合の連撃ですが、攻撃面ではヌメルゴンにない悪技が使える一撃に優位性があります。お好みに合わせてどうぞ。
このポケモンの注意点
耐久に努力値をほぼ降っていないため、当然ながら物理耐久についてはほぼ信用出来ません。
具体的には、そのままだと無補正252振りウーラオス(いちげき)の「インファイト」で乱数1発となってしまいます。
後出しで出された物理に関しては、先制で倒しきれるかどうかを慎重に見極めて下さい。
その他、如何に弱点を突ける数が多いと言っても必ず穴は出来てしまいます。特攻種族値110は低くはないものの、単ドラゴンタイプの宿命で数値受けを許しやすい点は注意しましょう。
特殊流し性能が高く、後出しからの「交換読み」も積極的に行うため、読みを外した時のリカバリーの仕方は常に考えておく必要があります。
おわりに
いかがだったでしょうか。
少しでも「こだわりスカーフ」型ヌメルゴンの魅力をお伝え出来たなら幸いに思います。
それにしても、登場期は600属の面汚しとまで揶揄されたヌメルゴンですが、特に大きく強化されている訳でもないのに今期ではそれなりの採用率であるところを見ると、つくづく環境の変化の大きさを実感します。