大天使と申します、USUMでの投稿は6回目となります、前回の複数種族考察では評価ありがとうございました。(コメント0件でしたが)
今回はロトム(水)の考察を行います。
前置き
- お互いに理想個体を想定します。
- ダメージ計算はトレーナー天国様のツールをお借りしました。
- HBS等の略語を用います。
- ダイマックスは文字数削減の為一部除きDMと略させていただきます。
ウォッシュロトムとは
H50-A65-B107-C105-D107-S86
特性:浮遊
4世代に登場した水・電気タイプのポケモンで古くからのトップメタポケモンです。
種族値だけ見ると突出したところはありません、火力耐久素早さ全てが中の中程度と弱くはないものの、環境トップに躍り出られるような性能には見えません。
しかしこのポケモンの真価はタイプとカスタマイズ性にあります。
まずタイプですが水・電気+浮遊を唯一両立しています、水・地面・炎・飛行などメジャーなタイプへの耐性に加えてボルトチェンジを覚える為サイクル戦に向きます。また弱草(+浮遊貫通の地震)しか弱点がないため役割破壊されにくい、サイクル戦でなくても出オチしにくいというメリットがあります。また攻撃面も一致技双方の一貫性が高く電気の通らない地面に抜群を取れる優秀なタイプと言えます。
次にカスタマイズ性です、鬼火・トリック・両壁など豊富な補助技を覚えます。また種族値はどれも並程度で心もとないと書きましたが逆に考えるとどの能力も最低限度はある為耐性込みでアタッカー・サポート・受け何れも最低限はこなせるとも言えます。
現環境ではサイクル戦を意識で木の実を持たせる+耐久に厚く割き鬼火や悪巧み、ボルチェンで場をかき乱す型、交代戦を意識しトリックで受けを機能停止させられるスカーフ・眼鏡型、まずまずの耐久と自主退場手段を活かした壁貼り型、特殊への受け出しを意識したチョッキ型などがあります。
今回はそんなサイクル向けの型とは奇なる、耐久を捨てた型を考察します。
コンセプトと型の特徴
今回の型は耐久に割かず球や身代わりを多用する為受け出し性能は低いです、またボルトチェンジ等の技を持たない為サイクルには向きません。上記のような強みを捨ててまでなぜこの型を採用するのか、理由と特徴を記していきます。
今回の型はSの近い激戦区を意識した型です。()内に書いたポケモンとの偶発対面で上を取る事で被弾回数を減らし倒そうという魂胆です。
一見それらはほぼ有利対面に見えむしろ耐久に割き受け出しを安定させた方が良いと感じるかもしれませんがこのご時世DMや体力の残り具合に左右されますので上から殴った方が良い場面が多いです。並程度の耐久しかないウォッシュロトムではH252振りでも球ダイソウゲンで有利に見えるギャラドスに縛られますがこの型なら球込みの火力で上から殴り殺せます。
またウォッシュロトムは使用率が高いためそれを意識したS調整を崩せる点や、耐久をダイマックスや積み技、種族値に任せSに振った耐久ポケモン(最速アーマーガア・バンギラス等)に強くなれる点、後述する悪だくみとの相性の良さ等もS振りのメリットです。
尚トゲキッスに関してですが、こちらがDMを切らないと向こうのDMに対抗できないという部分はあるものの、それでも非DM同士なら打ち合える、DM同士の打ち合いかつダイフェアリーやダイソウゲンから入ってきた場合上を取れる、悪だくみを積んでいれば縛れるなど上を取っていた方がお得な場面が多いです。
- 2.身代わり+わるだくみ
次に今回の型は受け構築やあくびループへ強くしようという狙いもあります。
独自の耐性で受け構築で使われがちなどくどくや熱湯を回避しつつ、悪だくみ+球込みの火力で突破を図ります。
一例ですが
・アーマーガア...元から有利、帯よりH25への乱数が上がっており、DM切られない限り上を取られずタラプ持ちも悪だくみで誤魔化せます、またS84以上振らないとダイジェットを一回積んだところでこのウォッシュロトムは抜けません。
・ドヒドイデ...どくどくや熱湯を身代わりでごまかせます。
・ブラッキー...欠伸は身代わりでごまかせます、イカサマはA個体値0でほぼ身代わりが耐えます。
・バンギラス...一回悪巧みを積んでいれば身代わりでDMを誤魔化しつつ確定を取れます。
・カバルドン...HD特化でもない限り身代わりの起点です。
・ヌオー...どくどく熱湯を身代わりで回避します、特殊耐久が低いため水技でごり押しが効きやすいです、しかし悪だくみの火力上昇を無効化するのと守でPP切れを狙う事があるのでDMを切らなければならない場面もあります。
・ミロカロス...ミラーコートを身代わりで透かします。
・ピクシー...身代わり関係ありませんがDMを切る事で月の光の回復量を落とさせつつ超火力で押せます。
とこのように二つの技を両立させることで受け構築に強く出られます、また後述する球のお陰でニンフィアやカビゴン等への数値受けも誤魔化しが効きます、トリトドンなどは厳しいですがそれでも普通よりは対応範囲が広がっています、
また身代わりの副産物として
・vsラプラスに強くなる点....初手悪だくみ→キョダイセンリツから入ってきた場合は身代わり+ダイウォール→ダイサンダー、それ以外は壁を貼られる前にダイサンダーでほぼ倒せます。
・交換読みで一貫してアドを取りやすい点...目の前に特定の技を打ちにくい状況(ドリュウズが控えていため電気技を打ちたくない等)になった場合、身代わりを打つことで居座られても、そうでなくてもアドを取れます。また身代わりが破壊できないポケモンが目の前にいる場合一方的に起点にし行動回数を稼げます。
・DMターン枯らし...バンギラスやラプラスの例で挙げたように上から身代わりを貼れる場合連打することでごまかすことが出来ます。
- 3.いのちのたま
S振りと身代わり悪だくみ、これらを最大限生かせる持ち物が球だと考えました。
上を取れても一撃で落とせなければ旨味は薄いです、その為確定数を底上げする為に球を採用しました。H28振りまでのDMギャラドスを確定(半減実+草技両立は厳しい)、無振りトゲキッスを81.2%、H252D84までの非DMラプラス(壁込み悪だくみ)をダイサンダーで確定、H252アーマーガアを87.5%等S振りや身代わりが活きる相手の確定数を上げられます。
またこれ以外は2で挙げた取り巻きに強くなる点(悪巧みダイストリームでH252 D84までのニンフィアを確定1、ステロ込みでH252 d60までのカビゴンを確定1等)、無振りヒヒダルマを乱数1にするなど持ち物なしドロポンを想定した等倍相手に想定外の火力を浴び去られる点、ダイマックス運用の場合雨込みで超火力を叩き出せる点(雨球ダイストリームの火力指数は64291、特化ドリュウズの剣舞地震の1.07倍ほどの火力)もメリットです。
帯やプレート等の比較ですが無振りDMギャラドスが62.5%などそれらは火力が明らかに足りない、発動機会が限定的であるため切り捨て、眼鏡は悪だくみ身代わりが使えない点からコンセプトに合わず論外です。
後他の火力アイテムではなく球を採用したのは耐久無振りかつ身代わり採用である為消耗が激しいためいっそ耐久を完全に捨て落とせる範囲を増やした方がまだ体力が温存でき疑似的に耐久が上がるのではないか、という消極的な理由もあります。
- 4.3点の親和性について
上と重複する内容もありますが上三つの親和性について書きます。
A.1(S)+2(身代わり+悪だくみ)→身代わりでDMを枯らしたい相手や悪だくみ込みで縛りたい相手には大概S振りが必要となる、純粋に悪だくみを積んだ後の負荷が大きくなる。
B.1(S)+3(球)→ギャラドス等S振りが活きる相手への確定数を底上げできる、中速相手への制圧力
C.2(身代わり+悪だくみ)+3(球)→身代わり込みで見たい相手の取り巻きへの対策、素で悪巧みを積むのが躊躇われる相手に身代わりが刺さる、いづれも抜き性能を上げる技
総括・短所・DMについて
- 総括
球とS振りで縛れる範囲を増やし、悪だくみで崩し性能を高め、球と身代わりによる低耐久を想定外のSと独自の耐性からの身代わりで補いつつ火力で押していく、それが今回の型と言えます。その為このウォッシュロトムはサイクル構築ではなく対面構築に向きます。
- 短所
勿論この型にもデメリットがあります、というよりむしろ耐久振りに慣れた場合そちらの方が目につきやすいと思います、特に2番が痛いです。
1.技範囲の関係で草・ドラパルトに無力
2.身代わり+球+CS振り+種族値上は並耐久であるため安易な受け出しができない、上から縛られやすい。
3.鬼火やボルトチェンジなどの搦め手が使えない。
- DMについて
DMとの相性は悪くはないが必須ではない、という評価ですね。切る事で球ダメージを抑えられ大抵の攻撃を一回〜二回耐える為消耗が抑えられます、また3に書いたように雨による超火力も期待できます。
更にラプラス・特定の仮想敵にはDMが求められる場面も多いです。
しかし悪だくみを積んでも耐性とSの関係上止まる相手も多い、ダイサンダーが適応されない等の理由から必ずしも相性が良いとはいえず他のポケモンに譲りたくなる場面も多いです、DMする場面も多いけど相手のSや相手の選出等を加味し慎重に決断する必要がある点はご留意ください。
採用理由・仮想敵
- 1.身代わり+悪巧みによる制圧力・崩し性能
- 2.球による火力+水電気の範囲による自分より遅い相手への縛り性能・対面性能
- 3.地面・水等の一貫切
- 4.(DMを切った場合のみ)雨ダイストリーム+悪だくみの高火力
仮想敵一例
・DM切らなくてもほぼ確実:ドヒドイデギャラドスブラッキーラプラス カバルドンアーマーガアヌオーサニーゴ(ガラル)ガオガエンミロカロスドサイドンバタフリーコータス
・DMや型の有無に左右されるが有利気味:トゲキッスバンギラスヒートロトムルチャブルギルガルド(シールド)パルシェンストリンダー(ハイ)カメックスピクシーアシレーヌ
・どちらともいえない..ニンフィアカビゴンヒヒダルマ(ガラル)リザードンアイアントエースバーンウオノラゴンシャンデラオーロンゲローブシン
・不利...ミミッキュドリュウズサザンドラドラパルトトリトドンパッチラゴンカットロトムオノノクスナットレイ
※どちらともいえない、以下のポケモンにも事前の身代わりや悪だくみの有無で不利が逆転するケースも多いです、特にニンフィアやカビゴンは不利気味ですが悪だくみ込みで崩しの対象になり後出しされやすい為中間の評価になっています。
- 差別化について
不要です、電気+水という独自の技範囲と流し性能を持ちつつ、悪だくみによる制圧力があり、全てのステータスが最低限度あるポケモンはウォッシュロトムのみです。
敢えて比較するならステータス・技・特性が似通っている(同じ)ロトム系統を比較した場合、スピンとフロスト以外は片方の一致技で火力が下がる為居座りに向かない、フロストロトムは弱点の多さによる居座りにくさと吹雪の命中不安、スピンロトムはエアスラッシュの火力の低さと起点にしたいカバルドンに弱いため微妙、と明確な差があります、後カット以外熱湯が等倍。
尚身代わりを採用するくらいならラムのみを採用し他の技を入れた方が良いのでは?との声がありそうですが1.3倍の火力差は大きくギャラドス初め多くのポケモンが乱数~確定落ちから確定耐えに変わりますし、ラム単体ではDMを切らせられる、抜き性能を上げられるなどの状態異常対策以外のメリットを再現できません。
構成
- 努力値
H28 B4 D4 C252 S220(S↑A↓)
調整:Cトゲキッス、カビゴン等の乱数が絡む為特化
H...球ダメ最小調整(10n-1)、身代わりがイカサマをほぼ耐える(6.3%)
BD...あまり、B4で特化ヒヒダルマ(ガラル)の馬鹿力の乱数が25.0%→18.7%に動く
S...最速ギャラドス抜き、その他80族、ホルード等意識
今回のコンセプト上CもSも落とすことが出来ない為ほぼぶっぱです、耐久にこれだけしか割かないのは身代わりや球を多用する関係で耐久の低さがあまり気にならないというのもあります。
Hに関してですが球ダメージやヒヒダルマ(ガラル)を意識したというよりはイカサマを耐える為に振った、その副産物としてヒヒダルマ(ガラル)や球ダメが減ったというのが本音です、もしイカサマやそれらを意識しないのであればSぶっぱの方が強いかもしれません、個体数は少ないですが準速ヒヒダルマ(ガラル)やミミッキュを抜け最速ロトム系統と同族勝負を仕掛けられます。
- 特性
浮遊しかありません、ドサイドンやカバルドン等の地震を透かせるのが強くダイアース読みで出す事で地面技持ちへのDMターン枯らしにもなりますが、ドリュウズやオノノクスに貫通されるのが悔やまれます。
- 技構成
ハイドロポンプ/10万ボルト/みがわり/わるだくみ
タイプ一致の最大火力で電気の通らない地面への打点になる、カバルドンやヌオー等への遂行技のハイドロポンプ、水や飛行への遂行技となり水との相性補充に優れる命中安定技の10万ボルト、そしてコンセプト上必須の身代わりと悪だくみ、これで自然に技枠が埋まり外す余地など一切ございません。
※各技の注意点と補足
- 身代わりは一度張っていてもダイマックス時に消失します。
- ハイパーボイス、うたかたのアリア、ロックブラスト、ドラゴンアローなどの貫通技に注意
- ダイサンダー(10万ボルト)のEFは浮遊でウォッシュロトムに適応されません。
ダメ計
- 与ダメ(通常/DM)
ハイドロポンプ(火力指数33676/42861)(雨時は1.5倍)
H252カビゴン...37.0~43.8%/46.8~55.4%(70.3%)
H252バンギラス(砂込み)...69.0~83.0%/86.4~102.8%(12.5%)
H252ガオガエン...115.8~136.6%/144.0~171.2%
無振りヒヒダルマ(ガラル)...93.8~111.1%(62.5%)/119~141.1%
H252ヌオー...74.2~87.6%/93.5~110.8%
H252ギルガルド(シールド)...47.3~56.8%(87.1%)/60.4〜72.4%
十万ボルト(27553/35819)
無振りギャラドス...204.7~241.7%/293.5~348.8%
無振りトゲキッス...97.5~116.8%(81.2%)/138.1~165.6%
無振りウオノラゴン...63.3~75.5%/90.9~107.2%(43.7%)
H252ラプラス....76.7~91.9%/111.8~131.6%
H252ドヒドイデ...84.7~99.3%/119.1~140%
H252アーマーガア...96.5~115.6%/138.0~164.8%
このように弱点や悪だくみ込みなら多くのポケモンが乱数~確定圏内に入る火力があります。
- 被ダメ(B16512/D16512)
防御特化アーマーガアのボディプレス...31.7~37.9%
特化ヒヒダルマ(ガラル)の馬鹿力...87.5~103.1%(18.7%)
特化バンギラスのストーンエッジ...70.5~83.7%
一致イカサマ...20.9〜25.5%
無振りカバルドンの岩石封じ...18.6~22.4%
特化ギルガルド(シールド)のシャドーボール...58.9~69.7%
特化ウォッシュロトムの眼鏡十万ボルト...79.0〜93.7%
C252ラプラスの球キョダイセンリツ...39.5~47.2%
無振りドヒドイデの熱湯....10.0~12.4%
A252球ギャラドスのダイソウゲン...147.2~175.1%
一応並程度の耐久はあり弱点が少ない為等倍一撃で出オチはしにくいですが、身代わりや球の関係で実際はかなり脆いです、耐久ポケモンの半減技相手に身代わりを残す事は可能ですが。
運用
→普通のウォッシュロトムより耐久は低くドラゴン等への誤魔化し手段に欠けるため受け出しでの運用は向かず以下のような運用が主になります。
相性の良い味方
- ステロ要員:球を持ってもなお絶妙に足りない火力を底上げできます。トゲキッス・カビゴン等への乱数が良くなったり、ラプラスを悪だくみ→身代わりで非DMで突破できたりします。候補としてはウォッシュロトムが強いギャラドス・アーマーガア・カバルドン等の選出を誘導する襷ドリュウズ(尚ウォッシュロトムも通常よりドリュウズが使用する岩石封じとの相性が良い点も魅力です。)、相性保管に優れ苦手なミミッキュや草・トリトドン等にある程度強いナットレイ等が挙げられます。
- クッション・受けポケ:通常の型より耐久が低いわりにドラパルトやミミッキュ等に弱いため引き先及び繰り出し性能の低さを補う枠はいた方が動かしやすいです、特にそれらの霊が一貫しないポケモンを推奨します、私はオボン鬼火ガオガエン(カプ・サイシン様育成論ソードシールド/640)と組ませておりますがガオガエンの苦手な水にロトムが強い、ドラパルトやナットレイにロトムが強い、威嚇+捨て台詞により低い繰り出し性能を補ってくれとても頼もしかったです。
最後に
最後までご覧いただきありがとうございました。