圧倒的信頼
- 指定のない限りすべてのポケモンは理想個体とする
- HP、攻撃、防御、特攻、特防、素早さをそれぞれHABCDSと表記
- ポケモン名やタイプ、持ち物に一部略称を使用
- ダメ計にはVS SV様のものを使用
はじめに
現在のマスカーニャの型は、大まかに分類すると鉢巻変幻、珠新緑、タスキ新緑の3種がメジャーだ。一見数値が足りないポケモンだが、特性とのかみ合いの良さと、型によって役割が大きく変わるトリッキーさで高い評価を得ている。今回は、トリルを採用しサポートを意識したタスキ新緑型を考察する。
強み
- 環境上位へのメタ
高い素早さに加えて、確定急所のトリックフラワー、高火力かつ道具を無効化するはたき落す、高火力先制技の不意打ちという3つの技の性能が環境に刺さっている。
サーフゴーヘイラッシャイエッサン♀などにはタイプ有利をとれる他、トリックフラワーの性能上、コノヨザルの壁やビルドアップに強く出られる。
そして特にトリックフラワーが刺さる相手に対して、テラスタルを強要/抑制できる点が非常に強力だ。具体的には、ガブリアスの地面テラスやニンフィアの水テラスを抑制し、逆にコノヨザルの炎テラスやヘイラッシャの草テラスなどを強要できるため、それを見越して対策を組みやすい。
- 択の押し付け
相手視点で考えると、マスカーニャの全ての型をケアしきるのは難しい。
例えばサーフゴーヤミカラスがマスカーニャと対面したときの、サーフゴー側の行動を考える。一見すると、追い風で上を取ってゴールドラッシュを打てば倒せそうだ。しかし仮に猫が鉢巻型であれば不意打ちで落とされるし、タスキ型であれば耐えられてトリルやはたき落すで切り返される。交代もはたき落とすの存在で選択しづらい。このようにマスカーニャは、多様な型と優秀な技により相手に複雑な択を押し付けることができる。
マスカーニャの型は、並びや選出からある程度推測が可能である。しかし、マスカーニャ側にははたき落すやトリルなど型がバレたとしても強い択があるのに対し、相手側は型を見誤ると最悪試合が終わるのが非常に強力だ。
- サポーター適正の高さ
マスカーニャの速さと攻撃性能は、相手の守るや交換を誘発しやすく、また置物になりづらい。そこにトリックルームや嘘泣き、挑発をはじめ、強力な補助技を習得する。さらにタイプによってキノコの胞子、怒りの粉、いたずら心挑発が無効であり、現環境の妨害技が大抵効かない。サポーターとして欲しい要素を持ち合わせているのである。
- スイッチトリルの有用性
(※「スイッチトリル」そのものについては「立ち回り」の項で解説する。)
現環境では、合体で倍速になるヘイラッシャや、追い風展開ヤミカラスなど、S操作して上から殴るという構築がほとんどである。その対策としてトリックルームを使えば、中〜高速ポケモンを動かしやすくなる。
メジャーなトリル要員には、
純サポーター系イエッサン♀ヤレユータンリキキリンドータクン
アタッカー兼任系マスカーニャグレンアルマゲンガーミミッキュ
の2種がいる。
追い風への対策をする場合、純サポーター系ではなくマスカーニャを組み込むことで、構築のパワーを落とさずにトリルを採用できる。
他のアタッカー兼任系と比べると、以下の点で優れている。最も素早さが高く、トリルを持たない型が環境に多いため、相手の追い風を強く誘う。また一致不意打ちが使えるためトリル後も攻撃に参加できる。さらにトリル起動のときに削られると特性で火力が上がり、放置されづらい。
まとめ、採用理由
ここまでの内容より、
- メジャーポケモンに対するストッパー
- 妨害に強いスイッチトリラー兼アタッカー
以上の要素からの採用が期待できる。
持ち物
気合いのタスキ
新緑、トリルとの相性に優れている。また不意打ちがあるため、HP1で相手の先制技や追い風に縛られる状況をある程度回避できる。
特性
新緑
変幻自在も優秀だが、撃ちたい攻撃技はもともとタイプ一致の草か悪がほとんどであり、タイプを変えるメリットがない(むしろマイナス)。また草技の威力だけを見ると新緑の方が高い。
調整
性格 陽気
努力値 A252 /D12 /S244
実数値 H151 /A162 /B90 /C- /D92 /S191
トリルを採用する場合に限り、Sを最速からひとつ下げることを提案する。これはトリル下のマスカーニャミラーで確実に先に動くためである。ほぼ好みの問題だが、せっかくトリルを打ったのに、タスキまで削れた次のターンに50%で上から倒されるというのはかなりストレス。
Sをひとつだけ下げると、最速ヘイラッシャ抜きをキープしつつ同速ミラーを回避できる。通常時の猫ミラーで確実に先制されるというデメリットをどれだけ重くみるかで判断して欲しい。
余りは耐久に振る。Hは無振りで8n-1であり、鬼火ダメージをわざわざ増やしたくない。Bに振ると特化ガブリアスのドラゴンクローが新緑圏内から外れる可能性が出てくる。よって消去法でDに振るのがおすすめ。
技構成
- 確定技
トリックフラワー
仮想敵ガブリアスヘイラッシャコノヨザルバンギラスウォッシュロトムキョジオーンetc.
つよすぎ。
- 準確定技
トリル採用ならはたき落すよりも若干重要度が高い印象。足りない火力と対面性能を補強する。
はたき落す
仮想敵サーフゴーグレンアルマイエッサン♀リキキリンドラパルトetc.
欲しい。だが入れ替えるならこれか...?
悪弱点が多い上に効果が優秀なため、ひたすらに通りがいい。
トリックルーム
お守り。あると安心感が違う。
- 選択技(優先度順)
守る
欲しい。けど流石に枠が足りない。
蜻蛉返り
相手のサーフゴーが交換しがちなので、こちらも猫を温存したい場合がある。特にサザン投げに負荷をかけられる。
嘘泣き
猫で圧をかけつつニンフィアやサーフゴーと並べて打つのが強い。これを入れるならトリルを切るべきか。
瓦割り
あると強いが、火力が出ない上に猫自身には恩恵が小さい。
挑発
便利だがいたずら心には一回動かれるので、守るで時間稼ぎする方がいい気がした。
サイドチェンジ
巨悪
立ち回り
積極的にトリルを張りたいわけではない。基本的にはトリフラかはたきで通りのいい方を撃つ。トリルを押すのは、ここまで何度か出てきたスイッチトリルという動きをする場合である。
一般にスイッチトリルとは、S操作をしない状態を基本として、相手が自分より速かったらトリル、遅ければそのまま戦う戦術である。初手からいきなり狙いアドを稼ぐパターンと、ゲームの中盤に決めて一気に勝負をつけるパターン、相手のトリルに対してトリル返しをするパターンがある。
例えばS種族値98とそこそこ速いサザンドラが、相手に先制されるのはどのような状況だろうか。
A.サザンよりS種族値が高い相手(ドラパルトなど)との対面
B.相手が追い風を使ったとき
C.相手がトリルを使ったとき
以上の3つがパッと思いつく。これに対しサザンの隣がヤミカラスだった場合、B(とたまにA)では追い風の打ち合いが発生する。決して弱くはないが、相手とのS関係に変化がないためメリットもさほどない状況だ。しかしサザンの隣にマスカーニャを置き、相手の追い風に合わせてトリルを打つことで、後続も含めて4ターンの間ほぼ確実に上を取れる盤面を作ることができる。またCに対してはトリル返しで誤魔化しつつ残数有利を狙える。
このように、中〜高速アタッカーを使う際の相手への強烈な切り返し択としてスイッチトリルという考え方が有効なのである。
- 具体的な動き
選出
汎用性が高いため初手から出して構わない。ただしタスキマスカーニャは相手をワンパンできるほどの火力はない。そのため、オーロンゲなど他のサポートポケモンと並ぶとパワーが低くなりがちな点に注意したい。初手からトリルを狙うとしても、この指要員を横に置くよりも守るが使えるアタッカーでトリル+守るをしたい。
ヘイラッシャ構築が相手の場合は、後発に置いた方が有利になると考える。猫対策をかなり厚くしてくる印象があるが、ヘイラッシャ以外にテラスタルさせればほぼ勝ち。
立ち回り
スイッチトリルをするかどうかの基準は、隣のアタッカーが目の前の相手を抜けるようになることと、裏のポケモンまで有利になりそうであること。例えばこちらの裏がバンギラスで相手の裏にトリトドンが見えているようなときは、慎重に判断する必要がある。
ヤミカラス入りの追い風
ヤミカラスが初手に出来ることが少なく、雑な追い風が多いため、こちらも基本的には初手からトリルを狙いたい。ただしサーフゴーは交換か守る追い風が多いので、はたき落すが第一候補。
イエッサン♀+トリル始動役
理想はトリル返しと同時にイエッサン♀を倒すこと。こうすることで相手はトリルエースを即座に投げられず、こちらはトリル役を狙うチャンスが生まれる。そのため1ターン目はイエッサンを倒さない程度に殴り、2ターン目にトリル返し。
コノヨザル+トリル始動役
トリル役がリキキリン以外であれば、不意打ちを入れると誰でも命懸けを耐えられる。ただこのときトリル返しは難しい。
もしくはマスカーニャの隣に守る持ちを置き、命懸けを耐えてトリル返し。
中盤以降の立ち回り
相手が削れている局面では、トリルを打つよりもマスカーニャで直接殴った方が強いことが多い。不意打ちしか有効打がない場合に、積み技や守るで放置されてフリーになりがちなため、これを狙ってトリルを打つ。
相性のいい味方、構築
器用すぎるのでどの構築に入れても強い。
サザンドラ
強力なアタッカーながら追い風を覚えるため、取れる選択肢が非常に多い組み合わせ。ニンフを誘って倒しやすい。
コノヨザル
単体性能が高すぎるので、折を見てS操作しつつ削り残しを狩る。炎テラスを咎めにくる相手に強い。
ニンフィア
スイッチトリルとの相性がよく、初手から圧力が高い並び。
苦手な相手
ダメ計
ダメージの目安としてそれぞれ抜群、等倍、半減を掲載する。これ以外は適宜推測、計算して欲しい。
- 性格補正込み252振りを"特化"と表記
- 無振りは無表記で示す
- 範囲技は全てダブル補正込み
- 与ダメ
トリックフラワー
ヘイラッシャ 64.0〜75.5%、確2
Hぶっぱニンフィア 56.4〜66.8%、確2
H252ドドゲザン 16.4〜19.8%
はたき落す(全て1.5倍で計算)
イエッサン♀ 79.0〜94.9%、確2
H244サーフゴー 80.8〜96.3%、確2
HB特化ウルガモス 36.4〜43.7%、確3
サザンドラ 23.9〜28.7%、高乱4
不意打ち
H244サーフゴー 59.0〜69.4%、確2
Hぶっぱコノヨザル 29.4〜35.0%、乱3
残HP 141〜153
- 被ダメ
特化グレンアルマ熱風 112.5〜135.0%、確1
モロバレルクリアスモッグ 43.7〜52.9%、低乱2
珠特化サーフゴーゴールドラッシュ 96.6〜114.5%、高乱1
特化ガブリアス地震 30.4〜36.4%、中乱3
世のプレイヤーはもっと猫のトリルを警戒した方がいい。鉢巻でぶち抜くので。