はじめに
どうもこんにちは。むちころ犬と申します。
SV環境2回目、今回考察するのは収穫型やどみがオリーヴァです。
それではよろしくお願いします。
オリーヴァとは
種族値
H78 A69 B90 C125 D109 S39
鈍足特殊アタッカータイプの種族値を持つ「草/無」のポケモンです。
特殊火力の高さと「こぼれダネ(グラスフィールド)」の草技強化を活かした数値通りのアタッカー型と、凶悪な回復技である「ちからをすいとる」をメインに立ち回る耐久型、大別するとこの2種類の型がメジャーです。特性については大きな個性である「こぼれダネ」に目が行きがちですが、今回はもう1つの特性「しゅうかく」を活かした『物理受け+やどみがオリーヴァ』を考察していきます。それではよろしくお願いします。
「やどみが」戦術とは
スリップダメージ+自己回復の「やどりぎのたね」と「みがわり」を組み合わせ、「みがわり」の消費HPを「やどりぎのたね」+食べ残し等の回復アイテムで補いながら延々と継続ダメージを相手に与え続ける持久戦術が「やどみが」です。
性質上一度決まると「みがわり」を貫通出来ないポケモンは絶対に突破出来ない程の高い詰ませ性能が魅力となります。
長期的に居座る事から一般的には『たべのこし』や『くろいヘドロ』を持たせますが、オリーヴァは特性収穫によってそれらよりも回復効率が高い『オボンのみ』で延々と粘る事が可能です。
『やどみが』は完成に最低2ターン消費する事から本来は被弾回数が少なくて済む素早いポケモンの方が適正は高くなりますが、オリーヴァはそこを「ちからをすいとる」と『収穫』でカバーします。
「こぼれだね」と「しゅうかく」の比較
オリーヴァはもう一つ専用特性として「こぼれだね(グラスフィールド)」を持ちます。どちらも相手に依存するタイプの特性ですが、こちらと比較した時の「しゅうかく」のメリットは主に次の2点です。
【1】相手が回復しない
【2】瞬間回復量の高さ(「こぼれだね」+食べ残しを想定)
【1】は単純にダメージレースの鈍化につながり、宿り木の持つ本来の削り性能が半減してしまいます。
特に相手が食べ残しを持っていた場合、宿り木のダメージが相殺されてしまうため「やどみが」が成立せず、耐久型のポケモンを相手にした時は試合がほぼ動きません。(詰ませてるはずが制限時間により結果的にこちらが詰んでるような状況が増えます)
また味方全体が回復する点はメリットですが、同時に相手への確定数がズレる事による有利不利の逆転も起こり得ます。
【2】に関しては瞬間的な回復量が多い分、2発目の攻撃までの耐久ラインが明確に延びています。
また50%の運が絡むものの被弾→オボン発動→「みがわり」→ターンの終わりに「しゅうかく」→オボン発動と計50%の体力が一気に回復する場面もあるため、「ちからをすいとる」に依存せずとも体力を大きくケア出来る点で勝ります
採用理由と役割
サイクル構築での物理受け、広範囲への削り、終盤の詰ませ要員としての採用となります。とはいえタイプ耐性や数値はあまり良くはないため、一般的な物理受けとはやや毛色が異なる運用になります。
「ちからをすいとる」+「やどりぎのタネ」が使えるポケモンとしては他にワタッコとアノホラグサがいますが、素の火力と耐久力がこの中でも最も高く、S負けしていると「ちからをすいとる」前に落とされてしまいがちな両者と比べると、オボンを含めた後出し前提の物理受けとしての安定感で勝ります。
持ち物
オボンのみ
発動条件の緩さと回復量のバランスから確定です。
HPが50%以下になった時、即座に25%分を回復します。連続技の最中でも50%を切れば割り込んで発動します。たべのこしの回復量がターンあたり6%程である事を踏まえると破格の回復量です。
特性
しゅうかく
コンセプトであるため確定です。
50%の確率でターン終了時に消費したきのみが復活します。『オボンのみ』の場合、収穫直後にHPが50%以下であれば即座に再発動します。
収穫1回で「みがわり」1回分の消費HPが返ってくるので、「やどりぎのたね」と「ちからをすいとる」も含めると物理に対して非常に高い対面性能を持てます。
運が良ければオボンの連続発動でターンを消費しない「じこさいせい」になりますが、運が悪いと実質特性なしと変わらないランダム要素も含んでいます。
天候が『はれ』なら発動率が100%になります。
性格・努力値と調整
ずぶとい
努力値H252 B142 S116
Sに少し努力値を入れ、低速帯の調整ラインであるS50族を意識しています。
「アクアジェット」や「ふいうち」の存在からマリルリやドドゲザンはSに努力値を殆ど入れていない個体が多く、これらを抜いておく事で後出しから「やどみが」を決めやすくなります。(先制出来る事で「ちからをすいとる」ではなく「やどりぎのタネ」から入れる)
同時にラッキーの上も取れるようになるので、対面時に「でんじは」より速く「みがわり」が張れるようになります。
反面素の耐久力はやや心許なく、等倍だとA特化カイリューの「げきりん」がオボンこみで低乱数2発となっています。(オボン込み125%のHPに対し、「げきりん」2発の合計ダメージ107%〜126,4%)
宿り木の性質的にはBとDを上げる方が回復効率はよくなりますが、オリーヴァは回復ソースを複数持つ都合で今回は総合耐久値を高くする事を重視しています。
やや環境依存度が高く、無振りでもヘイラッシャやキョジオーンドオーよりも素早いので、ストレートにHB振りでも構いません。その場合はトリトドンと同足になるので、余りの4だけでもS振りを推奨します。特化する事でメジャー処では特化カイリューの「げきりん」や水TSイルカマン(マイティ)@こだわりハチマキ「ウェーブタックル」が低乱数2発→確定3発に動きます。
技構成
やどりぎのたね
相手が交代するまで相手体力の8分の1を吸収し続けるとんでもない技です。
命中率90%と草に対して無効になる点はデメリットですが、それを補って余りある詰ませ性能やサイクルでの流し性能の高さが売りです。やってる事自体は「しおづけ」より悪質です。
みがわり
最大HPの25%を消費して、その分のダメージを肩代わりしてくれる分身を出します。分身は「あくび」や「でんじは」等の状態異常技や一部の状態変化技を無効にしてくれるため、ドオーやドヒドイデ等に対しては「やどりぎのたね」よりこちらから入る方が安定します。
オボン消費後は可能な限り行動の合間に「みがわり」を挟んで収穫発動の試行回数を稼ぎましょう。
やどみがの性質、回復ソースの多さ、Sの関係からヘイラッシャキョジオーンに対しても交換読みで「じわれ」を当てられない限り負けません。
ちからをすいとる
相手の攻撃力の実数値分のHPを回復し、その後相手の攻撃力を1段階低下させます。本当にとんでもない技です。
性質上物理アタッカーに対しての初回の回復量は「じこさいせい」の倍程になる上、2回目以降回復量が落ちたとしてもオリーヴァは収穫オボンや宿り木で延々と粘れるため、「つるぎのまい」「ちょうはつ」「みがわり」「アンコール」のいずれかがない物理アタッカーならこれで大方「やどみが」の起点に出来ます。一例として、強化アイテムと性格補正がないウインディや各種ケンタロス(パルデア炎)程度の火力であれば、タイプ一致「フレアドライブ」や「インファイト」に対してもこの技を連打すれば対面から高確率で詰ませる事も可能です。
他の回復技とは違いPPが10もあるのでとりあえず増やしておきましょう。
テラバースト
通常時は癖のない一致特殊技として機能し、テラスタイプを炎か毒、飛行にしておけば宿り木が入らない草タイプに対しても緊急時に反撃が出来るようになります。
実質的に一致技を2つ持てる事になるので対面性能がかなり上がります。
Cは元々高く、無振りでもテラバースト炎でH252カットロトムや同リククラゲを確定2発、無振りキノガッサは確定1発に出来る程の火力にはなります。(前者2体は元々テラスタルせずとも有利なのであくまで目安として)
確定欄は上記の4つとします。
以下選択技です。
ギガドレイン
「テラバースト」との入れ替え候補です。回復が出来るため一考の余地はありますが、これについては火力が上がる「こぼれだね」型の方がシナジーが強く、今回は選択技とさせて頂きます。
まもる
「ちからをすいとる」もしくは「みがわり」との入れ替え候補です。あると様子見や収穫発動の試行回数を稼ぐ上で便利な技です。
ですが「ちからをすいとる」を抜くと対面からしかやどみがを決められず、「みがわり」を抜くと安定行動が出来るターンに押す技がなくなるなど、技スペの関係から採用はあまりオススメしません。
テラスタル
毒or炎or飛行
「やどりぎのたね」が入らない草タイプや、「ちょうはつ」を撃たれた際にダメージレースで勝つため、更には『宿り木を撃つターンに後出しされたオリーヴァに有効打を持つアタッカーを逆に「みがわり」で嵌めたい時』等、タイプを変えたい場面は随所であります。候補は主に3つです。
1、「どくどく」や「どくびし」を消しながら闘/虫を半減出来る「毒」
2、「ちょうはつ」持ちが多く後出しされる頻度が高いアーマーガアや、変化技が効かないサーフゴーに有効な「炎」
3、同じく「ちょうはつ」持ちが多く、積まれると手をつけられなくなるコノヨザルに有効な「飛行」
どれも一長一短ですので、パーティとの相談の上決定して下さい。本育成論ではキョジオーンやヘイラッシャドオードヒドイデラッキーハピナスモロバレルに加えアーマーガアにもある程度対抗出来る【炎】とします。
立ち回り例
強化アイテムのない物理アタッカー、または「ちょうはつ」のない受け全般に対して後出しから「やどみが」を仕掛けます。
一例として、A特化カイリュー@ラムのみを例に上げて解説します
1ターン目
カイリュー「りゅうのまい」→オリーヴァ後出し
2ターン目
カイリュー「げきりんorほのおのパンチ」(Max95%のダメージ)→「オボン発動」→オリーヴァ「ちからをすいとる」(全快+カイリューAダウン)
上記のようなパターンになった時点で、既にカイリューでオリーヴァを突破出来ない事は明白であるため「みがわり」or「やどりぎのタネ」を撃つ絶好のチャンスとなります。(最大火力となる「げきりん」×2発でもオボン込みで高乱数で耐えます)
後出しオリーヴァをオボン含めて2ターンで倒せない物理アタッカーや受け全般が役割対象と言えます。
「みがわり」を残している状態で相手が交換してきたならすかさず「やどりぎのタネ」を入れて下さい。
この時点で「オボンのみ」が復活していおり、克つ次のターン確定1発を受けない状況であれば強気に「みがわり」でOKです。後は体力が続く限りひたすら粘る事を意識し、危なくなったら「ちからをすいとる」で回復して下さい。
後出しを想定していますが、初手や死に出しのような対面でも勿論機能します。「ちからをすいとる」が特殊に対して効果が薄いため役割からは外していますが、無補正C252サザンドラ@命の珠の「あくのはどう」をオボン込みで確定3発に出来る程度の特殊耐久は備えているため、ウルガモスやサーフゴーラウドボーン以外の特殊アタッカーであれば対面からなら粘れます。
与ダメージ計算
テラバースト炎
無振りキノガッサ……121.4%〜143.7%
無振りサーフゴー……71.6%〜86.4%
無振りマスカーニャ……96.6%〜115%
H252モロバレル……60.6%〜71.4%
H252カットロトム……66.2%〜80.2%
H252アーマーガア……61.4%〜73.1%
H252ジバコイル……67.7%〜81.3%
テラバースト無
無振りサザンドラ……35.9%〜43.1%
無振りウォッシュロトム……41.6%〜50.4%
無振りガブリアス……34.4%〜40.9%
H252マリルリ……32.3%〜38.1%
被ダメージ計算
A特化カイリュー
げきりん……53.5%〜63.2%
ほのおのパンチ……45.4%〜54%
A↑げきりん……80%〜94.5%
A特化マリルリ
じゃれつく……44.3%〜52.4%
アクアジェット……9.7%〜11.8%
腹太鼓アクアジェット……38.9%〜45.9%
A特化ドドゲザン
ドゲザン……37.8%〜45.4%
アイアンヘッド36.2%〜42.7%
水TSA252イルカマン(マイティ)@こだわりハチマキ
ウェーブタックル……55.1%〜64.8%(オボン込み低乱2)
ジェットパンチ……27%〜32.4%
れいとうパンチ……69.1%〜82.1%
無補正A252ドラパルト
ドラゴンアロー……38.9%〜46.4%
テラバースト(炎)……61.6%〜72.4%
A252ケンタロス(パルデア炎)
インファイト&フレアドライブ……85.4%〜101.6%
A特化ヘイラッシャ@こだわりハチマキ
水TSウェーブタックル……43.2%〜51.8%
ゆきなだれ(60)……44.3%〜52.9%
A252マスカーニャ(変幻自在)
はたきおとす……34.5%〜41%
とんぼがえり……49.7%〜54%
B特化キョジオーン
ボディプレス……47.5%〜56.2%
しおづけ……11.3%〜13.5%
じしん……8.6%〜10.2%
苦手なポケモンと弱点
詰め性能が非常に高いポケモンですがその分弱点も多く、まず1点目に「みがわり」を主軸としているため音技や連続攻撃は総じて苦手です。特にタイプ的にもラウドボーンとセグレイブは天敵と言えます。
2点目、収穫は『直前に使ったきのみ』しか効果が適応されないため、「はたきおとす」を受けるとその後再利用が出来ません。マスカーニャやデカヌチャン等は「はたきおとす」の所持率が高く、それらに対して安易な受け出しは出来ません。(逆にオボン使用後に手持ちに戻した場合は、再度繰り出せばターン終了時に復活する可能性があります)
3点目は多くのサポート型の共通点ですが、「ちょうはつ」や「アンコール」持ちはそれだけで不利な勝負になります。
4点目、やどみが成立後なら問題ないですが、「つるぎのまい」を詰んでくる相手に対してはAダウンが追い付かないため押し負けます。
パーティ構築の際にはこれらをケア出来るポケモンを控えに置く事が非常に重要です。
相性の良い味方・構築例
ウォッシュロトムウォッシュロトム
オリーヴァの天敵であるラウドボーンやアーマーガアに対して有効なポケモンです。Cに厚く振れば先制「ハイドロポンプ」でH振りラウドボーンが確1、更に向こうからの有効打は草テラバーストしかないため低リスクで後出しが可能です。H252アーマーガアもメガネを持てば「ボルトチェンジ」で中乱数1を取れます。
「ちょうはつ」持ちや「つるぎのまい」持ちを「トリック」で縛れればオリーヴァが対面から詰みにもっていける相手が増えるため、あらゆる面で相性がいいポケモンです。
ウルガモスウルガモス
サーフゴーやサザンドラニンフィア等、環境に多くいる特殊アタッカーに対面有利が取れます。
オーソドックスなCS振りウルガモスは物理に対して弱く、その点はオリーヴァと補い合う事が出来ます。飛行が弱点として一貫する部分は注意が必用です。
ミミッキュミミッキュ&カイリューカイリュー
パーティにいるとオリーヴァの役割対象であるキョジオーンやヘイラッシャが高確率で選出されます。
セグレイブセグレイブ
ラウドボーンに対して安定した後出し性能があり、「ねつこうかん」から「りゅうのまい」が発動出来ればそのまま全抜きも難しくないエース筆頭候補です。
グラスフィールドが展開されない事から、氷の補完技として優れる「じしん」を問題なく採用出来る点もポイントです。
闘が一貫して弱点になるため、もう1枠は飛行や霊で補完しましょう。テラスタイプは【地】または【電気】がおすすめです。
コータスコータス
晴れ状態にする事で「しゅうかく」を確定で発動させるギミックを搭載したい場合に。
これを用いる場合は特化構築になるため努力値や技も見直す必用がありますが、食べ残しの要領で毎ターンHPが25%回復し続けるので、撃ち合い性能が非常に高くなります。
構築例
オリーヴァを中心として汎用性の高いポケモンで補完した対面サイクルのパーティ一例です。
オリーヴァ中心とはいえ得意不得意が非常にハッキリした性質を持つため、『毎回選出』ではなく『役割対象が複数いる(耐久型が多い等)』タイミングで選出し、それ以外の試合はもう一枚の受けを利用すると安定するかと思います。
おわりに
以上となります。
最後までご覧いただきありがとうございました。