注意点
これはレギュレーションF解禁前の育成論です。投稿地点では環境が確定しておらず、仮想敵はこの動画(大会の使用率)も参考にしつつ筆者の独断も含んでいます。今回取り上げた仮想敵の傾向が必ず実際の環境と合致すると保障しかねる点をご留意ください。
ステルスロックの概要について
ステルスロックとは、場に出た相手に体力の1/8(×タイプ倍率)ダメージを与える岩を設置する技である。
撒くことで、相手の後続の耐久低下、きあいのタスキ・マルチスケイル潰し、交代戦の抑制、ひこうタイプの牽制が可能となる。PT全体での決定力の向上及び、サイクル戦の妨害に採用される強力な設置技である。
今回はステルスロック要員としてのエアームドの特徴を概観する。
ステルスロック撒きとしてのエアームドの強み
- 行動保障
エアームドの特性「がんじょう」は1撃で倒される攻撃を受けた場合でもHP1を残し必ず1回耐えることを可能とする特性である。エアームドには低特殊耐久と弱点という欠点があるが、これを補って確実に行動しステルスロックを撒ける。
- 流し性能と連続技等への耐性
エアームドはH65B140と物理技への耐性()を有する。HorB振りだけでA252パオジアンのつららおとし2回やオーガポン(かまど)のつたこんぼうを耐えるため、がんじょう貫通の攻撃(かたやぶり・連続技・先制技)への耐性が高い。
また前述の耐久と耐性から、耐性的に有利な物理ATの交代を誘発しやすい点も行動回数の確保のしやすさに拍車をかけている。
- S操作
相手に削りを入れつつSを1段階下げるがんせきふうじを習得する。
エアームド自身の行動保障の確保になる他、相手のS補強(りゅうのまい等)の回避、相手のSを下げる事による処理の円滑化と後続への負担の軽減にも繋がる。
ただし素のSは70と低く、がんせきふうじ1回では最速パオジアンを抜けないことに留意すること。
- ちょうはつ・アンコール耐性
前述の「がんじょう」によりきあいのタスキを採用せずともほとんどの攻撃を1耐えできる。これにより、持ち物に「メンタルハーブ」を採用する余裕が出来、低火力のサポートポケモンに飛びやすい「ちょうはつ」「アンコール」を1回は無力化できる(カイリューテツノツツミハバタクカミエルフーンなど)。
- ちょうはつ
初手で出すことを想定する以上、相手方の戦術の展開(ステルスロック・トリックルーム・どくびし等)は防ぎたい。
エアームドはちょうはつを習得するため、自分よりSの低いポケモン(ポリゴン2ディンルーバンギラスドヒドイデなど)の展開を阻止しやすい。耐性が優秀であるため、有効打のない相手の機能を停止させられる。
総括
がんじょうと高物理耐久、メンタルハーブによりステルスロック撒きに求められる行動保障が確約されている。
また初手として出す関係上、相手の起点化や展開は阻止したいところだが、ちょうはつにより低速相手への一定の展開阻止性能も有するのが強みである。
一方、素の種族値の低さと構成上一つしか攻撃技を入れられない関係上、対面性能が低い。耐性的優位がある・抜群を突ければ単体突破も可能であるが、ステルスロックとS操作で裏での処理を円滑にすることを目的に採用されるためエアームドのみに有利なポケモンの相手を一任しないこと。
比較対象となるのが、エアームドと同じくステルスロックとがんせきふうじ、がんじょうを両立するブリジュラスである。耐久指数はB・D共にブリジュラスが優勢、がんせきふうじ込みでドラパルトを抜けるS、高いCによる対面性能が持ち味。しかしブリジュラスはちょうはつを覚えず、相手の展開に対する抑止力が低い。また、抜群であるためランドロス(霊獣)カバルドン等に弱く、それらに対する耐性が欲しい場合自然とエアームドが採用されるであろう。
構成
努力値:H4 B252 S252 or H252 B4 S252(S↑C↓)※1
実数値:141or172-100-192or161-x-90-134
特性:がんじょう
持ち物:メンタルハーブ※2
技構成:ステルスロック/がんせきふうじ/ちょうはつ/ボディプレスorブレイブバード※3
テラスタル:みず or ドラゴン
※1
Sは同速にちょうはつした最速キノガッサ、すぐ下に準速カイリュー(132)がいるため最速で確定。がんせきふうじを使うと最速130族(実数値200)に該当する数値になり、マスカーニャトドロクツキ等まで抜けるが、最速ハバタクカミテツノツツミ(205)は抜けない。
残りはかたやぶりオーガポン始めたとしたがんじょう貫通の攻撃への耐性を持たせるBorH振りで確定。B振りで18.7%、H振りで6.3%の乱数1となる。耐久指数は、B振りの場合は(H141*B192=27,072)、H振りの場合(172*161=27,692)とほぼ大差はない。後述する「ボディプレス」採用時は火力を伸ばすためB振り、「ブレイブバード」採用時は総合耐久上げつつ反動を減らすためH振りとなる。
※2
「確実な行動保障を得る」コンセプト上確定。耐久面はがんじょうとB耐久の高さで問題ないため、低火力ゆえ呼ぶ技の対策をしたい。
コンセプトに反するというだけで、vsハバタクカミテツノツツミ性能の上がる「カムラのみ」、積み技持ちをがんじょう込みで強引に流す「レッドカード」も実際の運用では候補になりうる。
※3
コンセプト上必須の「ステルスロック」「ちょうはつ」「がんせきふうじ」は確定。
もう一つはみがわり破壊・低すぎる単体性能の補填のため攻撃技採用。「ボディプレス」はB実数値(192)を参照する攻撃技で火力指数15,360(192*80)。仮想敵は(ブリジュラスポリゴン2ドリュウズディンルーイーユイ等)
「ブレイブバード」の仮想敵はくさやゴースト、ボディプレスを半減する低物理耐久勢(オーガポンテツノドクガコノヨザルアシレーヌミミッキュ等)。火力指数は18,000とボディプレスより高く、に通るなど一貫性も高いが反動が気懸かり。ただしがんじょう発動後起点になるのを回避しすみやかに退場できるメリットもある。
アイアンヘッドは範囲が狭く仮想敵が少ない点、火力指数は12,000と極めて低い点から採用を見送る。
※4
テラスタルは起点役である点からほとんど切ることはない。その上で考察すると、タイプとの相性補完が良く(半減)、初手で喰らいやすいつたこんぼう・すいりゅうれんだを半減できるを優先したい。
のは弱点少なく耐性も健在で場持ちは良いが、への耐性は下がる。は
に強く、じゃれつく持ち以外のオーガポン(かまど)に強く出られるが、本来有利対面の物理竜ミミッキュパオジアンに弱くなる。
運用
相手のS種族値や型に合わせステルスロックとがんせきふうじの順番を工夫しつつ、削りを入れる事で裏の圏内まで入れるのが理想。定石をパターン分けする。
大体の場合は初手ステルスロックで潰しが効く。ハッサム等耐性的に有利な場合は交代されてもアドバンテージを取れるし、ジバコイル等の不利対面でも1耐え→攻撃技による削りという一連の仕事が可能となる。テラスタル次第で確定数が変動する場合もあるが、使い捨て要員のエアームドに切ってくれるのはむしろ得。
ただし、めいそうガチグマ(アカツキ)やはらだいこマリルリ等積み技持ちは注意。
がんせきふうじ→ステルスロック安定。引かれてもそうでなくとも無効化されず削りが狙える他、S上昇技への対抗手段にもなる。
Sを下げた後、体力に余裕がある場合は補助技警戒でちょうはつを先に打ってもよい(ブリジュラスガブリアスのステルスロック、カイリューのはねやすめ等)
展開阻止+機能停止を図るため、ちょうはつ→ステルスロック安定。ほとんどの場合攻撃を2耐えできるためこれが安定行動になる。相手の大幅な減耗or2体目以降の偵察を狙える有利対面。
全員初手ステルスロック安定。攻撃は一耐えするし、ちょうはつ(ハバタクカミ)やみがわりアンコール(テツノツツミ)に怯える必要はない。その後はがんせきふうじ連打、みがわりが厳しい場合は攻撃技。
パオジアンの攻撃は2耐えの場合もあるが、特殊組への耐性はないため後続でケアできる枠が必要
こうして見ると、「ステルスロックを撒く」という役割はどのケースでも確実に果たせ、絶対的な不利対面は少ない。
しかし、わるだくみサーフゴー、トリック持ち等への対応力は低いため裏でのケアが必要。
相性の良い味方としては、Sサポート・ステルスロックを活かせるエースAT全般と相性が良い。削った相手をスケイルショットの起点にできるトドロクツキガブリアスカイリュー、打点の少ないみずに強くあまのじゃくリーフストームで積みと攻撃を両立できるジャローダ、耐性・耐久で苦手なS135族勢やサーフゴーへの圧力がある積みATウガツホムラなど。上述したポケモン全般に共通するが、弱点が一貫しない相性補完が良い並びを意識したい。
ダメージ計算
- 被ダメージ(B:27,072or27692/12,690or15,480)
A252オーガポンのつたこんぼう:86,5~103,5%/84,8~101,1%
A特化ウーラオス(いちげき)(れんげき)のテラスタルすいりゅうれんだ:76,7~94,1%:60,8~80,8%/62,7~76,7%
A252パオジアンのつららおとし:40,1~47,6%/44,1~52,3%
A252マスカーニャのはたきおとす:34,0~40,4%/33,1=38,9%
A無振りヘイラッシャのウェーブタックル:30,4~36,8%/29,6~35,4%
C特化ガチグマのテラスタルブラッドムーン:85,7~101,4%69,7~82,5%
C無振りスイクンのねっとう:40,7~47,8%/33,1~38,9%
以下、与ダメージ
- がんせきふうじ
- ボディプレス
- ブレイブバード